第575号(2001.10.15)

「オーストラリアで人生最後の夢をかなえたい」と語る原誠さん
人生最後の夢実現豪州の小学校で日本語教師元小学校長の原誠さん
 厚木市元町に住む元小学校長・原誠さん(64)が、インターンシップ・プログラムスの日本語教師としてオーストラリア・アデレードの小学校に赴任することが決まり、10月20日成田を出発する。現地の小学校で週3日「日本紹介」の授業を受け持つが、原さんは「外国で教壇に立つという人生最後の夢を実現させたい」と張り切っている。
 原さんは横浜国大を卒業後、横浜市内の小・中学校で教鞭に立ち、昭和61年から厚木市の戸室小、三田小の教頭を経て、平成5年4月清川村立緑小学校の校長に就任、9年3月に退職した。
 退職後は旅行代理店に勤めて第2の人生を送っていたが、長女がアメリカのシアトルに嫁いでいるため米国に行く機会が多く、英会話の必要性を身をもって感じていた。緑小学校時代の平成7年には、年4回米国人教師を招いて「国際交流ふれあいの時間」を設け、子どもたちに英会話を体験してもらった。
 昨年夏、新聞で元米国駐日大使夫人だった故ハル・ライシャワーさんが名誉会長をつとめた「インターンシップ・プログラムス」(IIP)のことを知り、「英会話を身につけるには外国へ行くのが一番の早道」と、老骨に鞭打ってスクールインターンに応募することにした。スクールインターというのは、世界各国の小・中・高校の教壇に立って、生徒たちに日本語や日本の生活習慣、文化などを紹介するもので、派遣された教師はカリキュラムの一環として「日本紹介」の授業を受け持つ。滞在は原則としてホームステイで、食費や旅費などの費用はすべて自己負担だ。赴任する期間は3か月から1年。
 原さんは1月に開かれた説明会に参加、書類選考、面接、簡単な英会話のテストを受けて合格、今年の3月、本年度の最年長者としてオーストラリアへの派遣が決まった。派遣先は南オーストラリア州の州都であるアデレード市の公立学校。人口120万人のアデレードは、オーストラリア第5の都市で碁盤の目の町並みと美しい自然、1年置きに開催されるアデレード芸術祭やバロッサ・バレーのワイン祭で知られている。
 原さんは出発に先立って日本地図や日本語の本、ビデオ、写真、習字の道具、音楽CD、ラジオ体操のテープ、凧、独楽、めんこ、お手玉などを教材としてそろえた。授業は日本語と日常会話程度の英語を交えたものになるという。「初めての体験なので多少不安だが、現地にいると否応なしに英会話が身につくと思う。オーストラリアの子どもたちに日本語の基礎と正しい日本の文化、そして日本の子どもたちの様子を教えてあげたい」と話している。
 文部省は来年4月から新学習指導要領の導入にともない、「総合的な学習の時間」を活用して小学校3年生から英語教育の指導を認めており、原さんは「老骨に鞭打っての海外研修。現場の教師の刺激になってくれれば」と話している。赴任期間は3か月で、帰国は来年1月中旬の予定。

歌や給食で交流園児とお年寄り寝たきり老人ゼロ運動の一旦担うもみじ保育所
 10月4日、厚木市松枝の市立もみじ保育所(藤井信子施設長・園児135人)で、地域のお年寄りとの交流会が開かれ、給食や歌を歌って交流を深めた。園児とお年寄りとの交流を図ることによって情操を深め、世代へのつながりへの思い、感謝の気持ちなどを学ぼうというもので、市が行なっている「寝たきり老人ゼロ運動」の一端を地域保育所でも担おうと取り組んだ。この日招待されたお年寄りは13名。世話係として民生委員4名も参加した。

 この日は、午前10時にゆりぐみ代表の園児らが、お年寄りを近くの松枝自治会館に迎えに出て、保育所まで案内した。そして、あいさつや紹介を行った後、一緒に「虫の声」を歌って交流を深めた。この後、近くを散歩、お昼にはお年寄りと園児が一緒に給食を楽しんだ。そして年長の園児が一針ひとはり縫ったきんちゃく袋をプレンゼントすると、お年寄りからは折紙で作った「ハムタロウ」がプレゼントされ、大喜びだった。園児たちは「今日はおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に給食を食べることができてとても楽しかった」と笑顔では話していた。最年長の高部寅之助さん(92)は、「短い時間だったが、一生の思い出になった」と話し、帰りにはいつまでも園児らに手を振っていた。

愛川町長選16日告示4人が立候補予定
 相馬晴義町長の任期満了に伴う愛川町長選挙が、10月16日告示・21日投開票で行なわれる。6期24年務めた相馬町長の引退を受けて、これまでのところ現職町長の後継といわれる前助役の山田登美夫氏(57)、元建設会社社長の大野治雄氏(50)、前町議の熊坂敏雄氏(54)に、市民グループがインターネットで公募した元大学教員の山中正樹氏(38)が立候補を表明している。
 保守の分裂、地元対よそ者、自薦とネット公募などこれまでの町長選とは対立の図式も大きく異なっており、有権者がどのような判断を下すか注目される。9月2日現在の有権者は32,973人。前回の投票率は48・29%だった。投票は21日午前7時から午後8時まで町内12か所で行なわれ、午後9時から即日開票される。大勢判明は午後11時過ぎになる模様。

F・ベアトが撮影した幕末の厚木宿

「東海道と矢倉沢往還」展広重や国芳の錦絵など200点を展示郷土資料館
 厚木市寿町の郷土資料館で、9月29日から東海道宿駅制度400年を記念する特別展「東海道と矢倉沢往還」が始まった。慶長6年(1601)に徳川家康が、京都と江戸を結ぶ「東海道」の各宿場に対して伝馬を用意するように命じてから今年で400年を迎えるのを記念して企画したもので、当時の厚木には東海道の脇往還として「矢倉沢往還」が通っていた。この往還は、別称「大山道」「青山道」「相州道」ともいわれ、赤坂御門を起点に、三軒茶屋、瀬田、溝口、長津田、厚木、伊勢原、松田惣領、関本、矢倉沢(南足柄市)、駿河に通じる現在の国道246号線に沿った道で、大山詣での道としても多くの人が行き交った。
 特に厚木宿はこの矢倉沢往還の宿場として栄え、幕末に厚木を訪れた渡辺崋山は「小江戸」と称して、その繁栄ぶりを『游相日記』にしたためている。 
 特別展では、東海道と矢倉沢往還の風景や旅の様子を描いた絵画資料、旅の様子を伝える文芸作品、また、今日のガイドブックともいえる道中案内や地図、そして実際に旅した人たちが記した道中日記のほか、幕末以降の風景写真など合わせて200点あまりを展示している。
 中でも、東海道の神奈川宿を中心として、楽しげな江ノ島詣での一行の様子を描いた歌川広重の「東海道五十三次図絵」、歌川国芳の「相州大山道田村渡の景」などの錦絵や、江戸から駿河の国に至る矢倉沢往還を描いた絵図「再版増訂関東十九州路程便覧」のほか、明治初期の厚木村や天保時代の岡田村の絵図、渡辺崋山の「游相日記」など貴重な資料が目につく。また、幕末にベアトが撮影したといわれる火の見やぐらのない厚木宿の写真など珍しい資料も展示されている。教育委員会では「東海道や矢倉沢往還、旅の様子、幕末の厚木などふるさとを見つめる機会としていただければ」と話している。
 また、教育委員会では、この特別展に合わせて、関連事業として「矢倉沢往還を歩こう」4回の講座(10月6日・20日・11月3日・17日、講師は飯田孝さん)と「江戸時代の東海道と旅」と題する講演会(11月11日、講師は櫻井邦夫さん)を開催する。講座・講演会の問い合わせは、文化財保護課郷土資料館へ。TEL:225・2515番。なお、特別展は11月25日まで(10月22日と23日は休館日)。入場無料。
 

稲刈りと架け干し体験上依知小学校の児童
 10月3日、厚木市立上依知小学校(木藤一郎校長・児童数368人)の児童が、近くの水田で稲刈りと架け干しを体験、収穫の喜びを味わった。これは、JAあつぎ依知支所の「依知の農業を考える会」の協力を得て行なったもので、5年生の児童69人が、稲刈りや脱穀などを体験して、自然や人とのふれあい、米づくりの苦労や喜びを味わった。
 水田は小学校が地元の農家から借り上げ、5月に田植えをして順調に育った。この日は水田を貸している井上謙治さん(52)や会のメンバーも応援にかけつけ、児童と一緒に稲刈りやかけ干しに取り組んだ。参加した斉藤美紀さんは、「とても面白かった。お米を食べるのを楽しみにしています」と笑顔で話していた。刈り取りした稲は今月中旬に脱穀を行ない、12月始めに全員で試食会と稲藁を使った縄づくり体験が予定されている。

稲刈りを体験する上依知小の児童

狂牛病対策求め議会が国に意見書提出
 厚木市議会は10月5日の本会議で、狂牛病への十分な対策を国に求める意見書を全会一致で採択した。意見書は「日本で初めての狂牛病が千葉県で確認された。発見された際、農林水産省は、乳牛は焼却処分したと発表したが、事実は飼料向けの肉骨粉として工場で加工されていた。この不適切な対応によって、消費者の不安は拡大し、畜産農家・関連業界の被害も甚大になっており、食の安全を確保するために、正確な情報と適切な対応が求められている。よって、政府においては、感染ルートの早期解明と、生産農家、飼料メーカーなどへの積極的な対策を講ずるとともに、狂牛病に関する情報開示を徹底して行なうよう強く要望する」というもの。意見書は小泉内閣総理大臣と厚生労働大臣、農林水産大臣のほか、衆参両院の議長にも提出した。
 厚生労働省は10月5日から全国一斉に月齢30カ月以上のすべての牛を対象に検査を行なうことを決めたが、神奈川県では月齢による制限を設けず、食肉処理されるすべての牛を対象に延髄を採取して免疫学的な検査を行なっており、18日から実施している。

特集「愛川町の昔と今」神奈川ふだん記53号
 文章は誰にでも書ける。庶民の生活や人生の記録を書いて残そう―を合言葉に続いている「神奈川ふだん記」の機関誌第53号が出来上がった。
 巻頭言はふだん記の創始者である故橋本義夫氏の「みんなの言葉と文」。名文も美文もあってよい。文章職人の文もあってよい。同時に万人の文があってもよい。万人は万人の言葉で話してよい。万人は万人の自己流の文でよい。誰でも書ける、かなだけ知っていれば誰でも書ける。みんなで書ける文章、みんなにわかる文章、これがふだん記だ」とふだん記の心得を紹介している。
 53号のテーマは「昔のこと」と「わたしのペット」。今回も地元の神奈川をはじめ、全国各地の文友から多くの原稿が寄せられた。また、特集は「21世紀に残す愛川町の昔と今」で、文友13人が、横浜興信銀行と糸屋の旦那衆、三増の獅子舞、昔の八菅の祭、鳶尾山頂の記念碑、酒饅頭、ダムと化した石小屋、劇団新星、中津川の想いなどを書き綴っている。このほか、各地グループから寄せられた北から南からのおたよりも収録された。編集、校正・発送などすべてが文友による作業だ。入会などの問い合わせは窓口の足立原三紀子さんへ。TEL:285・2973番。

子育て支援の機能強化ファミリーサポートセンター活動開始
 厚木市が子育て支援対策の一環として準備をすすめてきた「ファミリーサポートセンター」の開所式が、10月1日同市中町の総合福祉センター2階で行なわれた。会員は育児の援助を受けたい「依頼会員」と援助を行ないたい「提供会員」で構成され、センターが両者を仲介して相互援助を行うというシステム。勤労者や家庭の主婦、子どもを持つすべての親が対象で、資格、経験、性別は問わず、入会金は無料。 
 援助内容は、保育活動や幼稚園、学校などの開始時間と終了後の子どもの預かりと送迎、冠婚葬祭など一時的な子どもの預かりのほか、急な残業など依頼会員の援助が必要な子どもの預かりで、援助活動は提供会員の自宅で行なう。

 保育対象は3か月児から小学校3年生までの子どもがいる家庭。提供会員への報酬は対象児の年齢によって異なるが、1時間あたり700円から800円(土・日祝日はそれぞれ100円増し。兄弟姉妹を預ける場合は2人目から半額)。報酬の受け渡しは会員間で行なわれる。会員になると自動的にファミリーサポート保険に加入してもらい、提供会員が傷害を負ったり、子どもや物品に損害を与えた場合に補償する。保険料は市が負担する。
 県下ではすでに藤沢、秦野、小田原の各市が取り組んでおり、今年度は厚木市を含め5市が取り組む。他市の場合、委託運営が主だが、厚木市の場合は直営方式。スタッフとして事務局職員1人とアドバイザー2人が配置され、事業の運営と相談業務を行なう。同市では7月から会員を募集しており9月26日現在、依頼会員35人、提供会員56人、両方会員10人で、合わせて101人。開設時間は月曜から金曜日の午前8時30分から午後5時まで。問い合わせはTEL:225・2933番。
 開所式であいさつした山口市長は「センターの活動が、増えつづけている児童虐待や待機児童の増加などの歯止めの一助となるとともに、このセンターを拠点として、地域のふれあいがさらにはかられることを期待しています」と述べた。

日本製トラクター求むアジアの会がロシア支援に
 国際交流は子どもの時からアジアの会では、10月からロシア沿海州アルティム市(人口5万人)の2つの孤児院に、中古パソコン20台を贈るが、孤児院が自給自足の生活を行なっており、農作業に使う小型トラクターを求めているため、日本製トラクター2台も合わせて贈ることにした。孤児院にはロシア製が1台あるが、大きくて子どもは運転できない。会では中古トラクターの寄贈者を求めている。連絡は代表の高岡良助さんまで。TEL:090・6107・7124番。

猪木さんからビンタで気合いを入れてもらうファン

元気下さい!30人がビンタを志願アントニオ猪木講演会厚木青年会議所
 厚木青年会議所と主催による「アントニア猪木講演会」が、10月7日午後、同市文化会館で開かれ、猪木ファンをはじめ約1000人が集まった。お馴染みの猪木コールで入場した猪木さんは、同時多発テロの時にニューヨークにいたことや20年前にもらったパラオの島で財団を設立してサンゴ礁の再生に取り組んでいること、参院議員時代に外務委員会に所属していろいろな国を訪問したことについて、エピソードを交えながら話した。
 そして、全国から「元気を下さい、勇気を下さいと言われるが、本当は糖尿病なので元気ではない」と冗談を交えながら、「人生はホームレスだ。心の持ち方次第でいかようにも変わる。それには自分なりのイベントを作っていくことが大事で、そこからはみ出ることもまた楽しい。皆さんも自分なりに人生をプロデュースして、そこから元気を生み出して下さい」と話した。
 この後、猪木さんから来場車にサイン入りポスターや詩集、写真集、タオルなどのプレゼントがあり、恒例の「ビンタで気合い」が始まった。そして公募の30人が壇上に上がって、猪木さんのビンタを受けて気合いを入れてもらった=写真。
 「一生の思い出にしたい」という女性や、「ナックルパートでお願いします」という学生、「本気でお願いします」と言って、歯を食いしばりながらビンタをもらうと、勢い余ってのけぞりかえるものもいた。中には「クラス全員分の生徒のビンタをお願いします」という厚木市内の中学校教師や、レスラーのコスチュームに赤いタオルとガウンをまとい、はでな仕種でビンタをもらうファンもいて、会場を沸かせていた。
 最後は、来場者全員が猪木さんお馴染みの「1、2、3、ダー」の掛け声で、こぶしを突き上げ、講演をしめくくった。

鮮やかにコスモス開花!荻野運動公園
 厚木市中荻野の荻野運動公園に、今年も赤や白、ピンクなどのコスモスが鮮やかな花を咲かせている。これは秋の代表ともいえるコスモスの花を、同公園を訪れる市民に楽しんでもらおうと、市が公園内にある「野草園」入口の花畑に丹精込めて育てたもの。花畑の面積は約8700平方メートルで、5月下旬に種をまいた。今年は空梅雨の影響で背丈が短いが、9月中旬より可憐な花をつけている。
 公園を訪れた市民は、一面のコスモス畑の中を散歩したり、写真を撮ったりして、思い思いに秋の風情を楽しんでいる。公園管理事務所では今月下旬ごろまで見ることができる」と話している。 また、野草園は、ダンギクやワレモコウ、リンドウ、ハコネギク、アキノキリンソウなども咲いており、日曜、祭日は大勢の行楽客で賑わっている。
 交通は厚木バスセンターより鳶尾団地・まつかげ台・上荻野車庫・半原行きで稲荷木下車。または宮の里行きで荻野運動公園下車。月曜休館。TEL:225・2900番。

見事に咲いたコスモス

スラロームのコースを車椅子で体験

地域ぐるみで運動会施設入所者とも交流玉川地区
 10月7日、厚木市の玉川地区において、31回目の運動会が開催された。今年は地域のふれあいを図るため、地元の障害者施設や高齢者施設、小中学校の児童・生徒など150人が各種目や運営の補助に参加、文字通り地域総ぐるみの運動会が行なわれた。
 高齢者施設の入所者と地域住民によるレクリェーション種目では、スラロームのコースを車椅子で体験し、日頃と違う視点や歩くことの出来ない煩わしさに戸惑いながらも、車椅子を動かしていた。参加者はみな、車椅子利用者の気持ちを理解できたと話していた。また、施設入所者には、各自治会が快く自前のテントへ招いて交流を深めるなどの光景も見られた。大会会長で玉川公民館長の前場政行さんは「さわやかな青空のもと、盛大のうちに終了できた」と喜んでいた。

10月1日消費者相談開始
  9月28日、厚木商工会議所会館4階で、厚木消費生活センターの移転にともなう開所式が行なわれた。この消費生活センターの移転は、商工会議所の新築工事が完成したため、今までの県合同庁舎から移転したもので、市民の消費生活にかかわる相談、情報の提供、消費者支援などの業務が行われる。
 厚木市民のほか清川村との「消費生活相談業務に関する協定書」にもとづき、清川村民の消費生活相談も受け付ける。センターには職員3名のほか、専門相談員2名が常駐、契約や解約、販売方法、商品・サービストラブルの相談や情報提供などを行なっている。

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