第587号(2002.04.15)

「人生に夢を与える童話。ぜひ教え子やその子どもたちに読んで欲しい」と語る瀬戸恵津子さん。

 教え子たちに読んで欲しい元小学校教師が童話出版

 厚木市内の小学校の教師を29年間つとめた瀬戸恵津子さん(61歳・伊勢原市在住)が、このほどお母さんと子どものための童話11編を収めた童話集『きつねのぼうし』を出版した。
 子どもたちの心の荒廃が叫ばれる今日、読み手にほんのりとした安らぎを与え、心に語りかけてくる童話として話題となっている。瀬戸さんは玉川大学文学部を卒業後、昭和34年4月厚木市内の小学校教師となった。依知小、玉川小、相川小、北小、妻田小で教鞭をとったが、平成4年3月、実母が脳梗塞で倒れたため、教師を退職することになり、母の介護に専念することになった。
 ところが、幸運にも母の病状は悪化せず、介護をする必要がなくなってしまった。何もすることがなくなった瀬戸さんは、その後1年間をただ悶々として過ごしたという。「このままでは生きる目的がなくなってしまう」瀬戸さんは一大決心をして、好きな日本画と童話に挑戦することにした。

 日本画は厚木のカルチャーセンターに9年間通って腕を磨いた。童話は様々な作品を読み漁る一方で、童話作家の立原えりかさんが指導する通信教育講座に申し込んだが、送ってきた教材を開けた途端、なぜか急に気が進まなくなり、結局独学で始めることにした。
 7年前には、厚木市の中央図書館や伊勢原市の障害福祉センターで、視覚障害者のための音訳ボランティアにも参加した。これは現在も続いている。
「今まで教えることしかしてこなかったけれど、教わることがこんなに楽しいとは夢にも思わなかった。そう思うと学校という所がとても狭い世界に見えてきて、急に世界が開けたという感じですね。今度はあれもやりたいこれもやりたいと欲が出てきて」と瀬戸さん。最近は詩を書いて曲をつけ、童謡を作ったり、叙情歌を作って楽しむ毎日だともいう。
 童話の世界に本格的に入るようになったのは、平成9年3月。近所の道路の拡幅で枝を切られた桜の木をもらってきて丹精込めて世話をした時だ。見事に花を咲かせた桜に感動した瀬戸さんは、その気持ちを原稿にして日刊新聞に投稿したところ、紙面を飾ることになった。それがきっかけで書くことが大好きになり、その時の桜をモチーフにして「ふしぎな桜もち」という作品をまとめあげた。瀬戸さんの第1作目である。以後、年2作位のペースで書き進めるうち、いつしか作品は10編を超えるようになった。
 瀬戸さんが書く作品は、現代っ子に受ける技巧的なものではなく、ほんのりとして心に語りかけてくるものだ。今回単行本に収められた「マー君とライオン」「おばあさんの長い一日」「お月様の涙」などは、読んでいると自然に頭に絵が浮かんでくるものばかり。
 本のタイトルとなった「きつねのぼうし」は、山へ絵を描きに行ったおじいさんは、そこで出会ったきつねたちが、おじいさんのベレー帽を真似て、頭に山吹の花を飾っていることに気がつき、おじいさんがきつねに帽子を作ってあげるという物語だ。
 昨年10月、それまでの11編をまとめ思い切って単行本にすることにした。出版に際し、挿絵やカバー絵などもすべて自分で手がけた。「自分の個性を活かすことが出来て満足」と喜ぶ瀬戸さん。3月23日には教育委員会を訪れ、お世話になった厚木市の全小学校と図書館にこの本を寄贈した。 瀬戸さんは、「厚木で教えた子どもたち、そしてそのまた子どもたちに読んでいただけたら嬉しい」と話している。B6判78ページ。1部800円。ブックス・ウチダヤ厚木ビブレ店、文教堂愛川店で販売中。

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県立あいかわ公園(航空写真)

県立あいかわ公園中央広場

 県立あいかわ公園4月27日より一部開放地域文化のふれいと交流の拠点に面積53.5ヘクタール 

 神奈川県が愛川町半原に平成7年度から整備を進めてきた「県立あいかわ公園」の一部が完成、4月27日より一般開放される。
首都圏最大の水ガメを誇る宮ケ瀬ダムを直近に望む地区に位置し、雄大な眺望に恵まれたで県下で22番目の都市公園となる。
 県が「様々な地域文化とのふれあいが楽しめる憩いと交流の拠点」をテーマに、隣接する宮ケ瀬ダム湖や水とエネルギー館などの施設と一体となった広域レクリエーション拠点の形成を図ることを目的に計画されたもので、総面積は53.5ヘクタール。平成19年春全面開園の予定で、総事業費は約152億円。このほど全体の約4分の1に当たる13.4ヘクタールが完成、4月27日から供用開始されることになった。
 今回開園する主な施設は来園者への公園の情報提供と管理の中心的施設となるパークセンター、眺望が楽しめる風の丘、芝生地として整備されたふれあい広場、ミツバツツジを中心に40種類のツツジの花が楽しめる花の斜面、緑とふれあう疎林広場、また、子どもたちがエアークッションで飛んだり跳ねたりできるふわふわドームなどもオープンする。駐車場スペースは462台。
 4月27日午前10時から、関係者を集めて現地で開園式典が行なわれ、公園内に設置した橋の命名者の表彰や地元小学生による記念植樹などが行なわれる。
また、午後4時まで県と愛川町、宮ケ瀬ダム周辺振興財団、地元産業界などが実行委員会を組織して「つつじまつり」が開かれ、会場では相模太鼓やアルプホルン演奏会のほか、一般参加による藍染め、草木染めの体験教室や機織り体験、絹製品、地酒、酒まんじゅうなど地場産業の展示即売も行なわれる。交通は厚木方面より国道412号線「服部牧場」または「清正光交差点」左折。

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山口市長を訪問、出発の抱負を語る大西さん(中央)と加賀谷さん(左)

 大西さんと加賀谷さんが青年海外協力隊員として出発  

 4月3日、平成13年度の第3次青年海外協力隊員として海外に赴任する市内鳶尾在住の大西奈苗さん(26)と、毛利台在住の加賀谷にれさん(27)が山口市長を訪問、出発の抱負を語った。
 大西さんは聖マリアンナ医科大学産科病棟に3年間勤務後、派遣研修を経て、ラオス人民民主共和国のチャンパザック県病院の助産婦として看護技術向上に協力するため派遣される。「助産婦として、まだ3年半ですが、専門的な知識や技術だけでなく、自分の人間性も現地の人たちと一緒に成長していきたい」と抱負を語った。

 また、加賀谷さんは多摩美術デザイン科卒業後、 商業写真の仕事に携わり、今回、中東のヨルダン・ハミット王国の観光遺跡省考古学局で、現地カメラマンやスタッフの写真技術向上のために派遣される。「考古学という学問に携わることやイスラム圏の異文化での生活に興味があり、積極的に体を動かして活動をしていきたい」と抱負を語った。
 

新入消防団員が初の研修 

 4月7日、厚木市三田の消防訓練場で、平成14年度の新入消防団員研修会が行なわれた。
 研修は厳正な規律の保持と迅速、的確で秩序ある行動を要求される消防において、4月1日から新たに入団した消防団員に消防活動の基礎を身につけてもらおうと実施したもの。市内各地から選出された20代から40代までの市民101人が参加した。
 訓練は消防隊員や8個分団の正副分団長が指導に当たり、全体での集合、整頓、基本姿勢などの礼式訓練や実際の火災現場で使用するホースの担ぎ方、延長方法、筒先の結合、注水姿勢など、器具の取り扱い方の基本動作が何回も繰り返された。


真剣に訓練を行う新入消防団員

 訓練前に森久保純生厚木市消防団長は、「消防団員は地域の防火、防災を担う大事な役目がある。ときには家庭を犠牲にすることもあるが、これから市民のかけがえのない生命、財産を守って欲しい」と訓示した。新入団員は「厳しい訓練でしたが、一日も早く先輩に追いつき、地域のために頑張りたい」と話していた。

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 マスコット「あっぎー」携帯ストラップに 

 厚木市ではハーモニカのまちづくりを進めるマスコットを市民から公募していたが、このほど市内飯山に住む榊原勇城さんの作品をもとにしたデザインが出来上がった=上図。厚木のアユとハーモニカを組み合わせたもので、愛称は「あっぎー」。7月30日から8月4日まで開かれる「第4回アジアハーモニカ大会2002」を盛り上げるため活躍する。
 市ではこのほどPR用グッズとして、携帯ストラップ=写真=5,000個を作成した。あっぎーをプラスチックで成型し、「ハーモニカのまちあつぎ」とアジア大会名が入ったリボン紐をつけた。若者から「可愛い」と好まれそうで、市では「緑のまつり」などのイベントを通じて市民に無料で配布していくという。

16日から「あつぎ大潮展」 

 あつぎ大潮会(梅沢善和会長・27人) の第7回「あぎ大潮展」が、4月16日から22日まで、同市中町の市民ギャラリーで開かれる。
 同会は平成7年10月、写実の殿堂として知られる「大潮会」の会員と一般出品者を中心に発足した。中央画壇と直結した会として知られ、毎年1回上野の大潮展に出品した作品を地元で展示する「あつぎ大潮展」を開くほか、写生会などの活動を行なっている。特に「あつぎ大潮展」には、毎回2,000人を越えるギャラリーが押し寄せ、他画壇の注目を集めるとともに、名実ともに厚木美術界をリードする存在だ。   
 今回も昨年12月に、上野で開かれた「大潮展」に出品した作品を中心に、会員が2点ずつ出品する。作品は50号から100号が主で、風景や静物画など見ごたえのあるものばかり。

昨年の大潮展

 昨年会友努力賞を受賞した藤村陽子さんは「高原の朝」、同じく藤條昭二さんは「山門」、また、西上泰二さんは「八菅の春」、大根田雄康さんは「山間の水田」、大場三郎さんは「故郷」、森川俊一郎さんは「道保川寸景」などの風景画を出品するほか、会長の梅沢善和さんは鉄瓶や練炭入れなどの古道具シリーズ「あの頃」、顧問の杉山勇さんは「枇杷」を出品、ギャラリーの目を楽しませてくれる。

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1日警察官の森山綾子さんもパレードに参加

 新入学児に1日警察官春の交通安全パレードに参加 

 4月5日、厚木市の中心市街地で春の交通安全パレードが行なわれ、新入学児童の「1日子ども警察官」が、道行く人に事故防止を呼びかけた。
 パレードは6日から15日まで展開される「春の全国交通安全運動」を広く市民に知らせ、交通安全意識を高めてもらおうと、厚木市と交通安全対策協議会、厚木署、交通安全協会などが合同で実施したもの。パレードの出発場所である厚木中央公園では、東京農業大学の学生による大根踊りのアトラクションや県警ヘリコプターから交通安全旗の投下が行なわれたほか、市立毛利台小の飯田達郎さんと小鮎小の森山綾子さんの2人が、「一日子ども警察官」の委嘱を受けた。
 出発前には山口市長が参加者に対して、「子どもたちを交通事故から守るのは私たち大人の役目。季節も暖かくなり、人の心も暖みがちになるこの季節、事故が激減するように交通安全を呼びかけましょう」とあいさつした。

 この後、パトカーと白バイの先導で約150人の関係者が、厚木中央公園、本厚木駅、厚木一番街を通って厚木中央公園に戻って来る約1・3キロをパレードした。スローガンの「安全は心と時間のゆとりから」「新入学(園)児を交通事故から守ろう」の横断膜を先頭に掲げ、オープンカーに乗った山口市長や簗田市義会議長、1日子ども警察官が歩行者やドライバーに交通安全を呼びかけた。
 一日子ども警察官の飯田さんと森山さんの2人は、「学校への行き帰りは交通ルールを守り、事故に遇わないように注意します」と力強く答えていた。

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環境基準を超える数値内陸工業団地と周辺の地下水調査

 昨年10月から12月に、神奈川県と厚木市の合同で行なった内陸工業団地およびその周辺地区の地下水調査で、環境基準を超える有機塩素系化合物が認められたため、県と市、愛川町ではさらに広範な地域を対象とした地下水調査が必要と判断、今年の2月25・26の両日、3自治体合同で、事業所および民家が所有する井戸を対象に地下水調査を行ない、このほどその結果を発表した。
 調査対象地域は厚木市の上依知、山際、下川入、愛川町中津の地下水35カ所(事業所22カ所・民家13カ所)で、トリクロロエチレンなど有機塩素系物質10項目を調査した。
 その結果、環境基準を超えて検出された有機塩素系物質は、トリクロロエチレンで環境基準の2倍(最大で0・060mg/r)、テトラクロロエチレンで環境基準の8・9倍(最大で0・089mg/r )、1,1-ジクロロエチレンで環境基準の5・5倍(最大で0・11mg/r)という数値が検出された。
 これら3物質のうち、いずれかの環境基準を超えた井戸の数は11カ所あり、井戸所有者の内訳では、8事業所の中にある10カ所の井戸と民家1カ所の井戸で、各物質ごとではトリクルルエチレンが4カ所、テトラクロロエチレンが3カ所、1,1-ジクロロエチレンが5カ所であった。
 同地区の地下水については平成8年にも3物質(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン)を対象にした調査が行なわれており、今回調査した地点のうち20カ所が重複している。ほとんどの地点で濃度の低下が見られており、最高濃度や平均濃度についても低下が認められた。
 県では環境基準を超えた8事業所のうち、過去に超過物質の使用実績がある2事業所に対しては、これまでも地下水や土壌調査を指導してきたが、今後も必要な対策を講じるよう指導していくという。
 また、基準値を超えた民家1カ所は、地下水を使用していなかったが、今後も飲用を避けるよう指導、また汚染の恐れのある地域の民家に対しては地下水の直接飲用を避けるよう指導を行なった。
 今後は、過去に有機塩素系物質を使用した事業所について立入り調査を行なうとともに、汚染源の究明のための調査や浄化対策への指導方法、汚染状況の長期的監視について検討を行なうことにしている。

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県トラック協会相模支部が横断旗を寄贈

 4月4日午前、社団法人神奈川県トラック協会相模支部(吉田幸一支部長)の役員が厚木市役所を訪れ、山口市長に交通横断旗1,600本と横断合図旗80本を寄贈した=写真。
 交通安全運動の推進と事故防止に役立てる目的で平成2年4月から毎年行なっている事業で、この日は副支部長の大塚義一さんと伊澤進さんが市役所を訪れ、山口市長に手渡した。
 大塚さんらは「4月から新学期が始まった。この時期は特に児童の交通事故が増える時期でもあり、新入学児の交通事故防止に役立てて欲しい」と話していた。市では交通安全対策協議会が受け入れ、交通安全花の会やPTAに配布して利用してもらう。

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葉桜でも賑わうあつぎ飯山桜まつり

 4月5日から8日まで飯山白山自然公園で、恒例のあつぎ飯山桜まつりが開かれ、葉桜見物とはなったが大勢の観光客で賑わった。森林公園にある3,000本のソメイヨシノは、県央一の桜の名所として知られるが、今年は全国的に2週間も早い開花で、公園内は桜吹雪にはほど遠い新緑の風が吹き、葉桜見物となった。
 6日は小鮎中学校吹奏楽部の演奏=写真=が、会場の雰囲気を盛り上げたのに続いて、ハーモニカのチェリーズの演奏や飯山芸妓衆による飯山温泉花見踊りなどが催され、訪れる人々が楽しんだ。7日には荻野山中藩保存会による鉄砲隊演武、芸者衆による桜輿、白龍太鼓雨乞いの舞いなどが披露されたほか、子どもに人気のハリケンジャーショーが行なわれた。

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 厚木市文化振興財団が発足 

 厚木市の新たな文化活動の拠点となる「財団法人厚木市文化振興財団」が4月1日発足した。昨年10月から財団の設立準備を進めてきたもので、設立に必要な基本財産(出えん金)3億円は全額市からの拠出。
 市の施設である文化会館の管理運営をはじめ、ハーモニカのまちづくりを進めるコンサートやワークショッブ、この夏開催されるアジア大会などの事業や、厚木シアタープロジェクト、あつぎ子ども舞台芸術祭のほか、文化会館から外に出て行なわれる「アウトリーチ事業」にも取り組むなど、これまでの文化会館の活動とは異なった事業展開が期待される。
 アウトリーチ事業は、市が買収して整備した同市上荻野の「古民家岸邸」を会場に、市民を対象にした講談や古典落語などの開催を予定しているという。
 理事長には山口巖雄市長が就任、常務理事には3月に市を退職した農業委員会事務局長の横山昭史朗氏が就任した。職員7名は全員が市からの派遣となる。県下の文化財団としては、20万都市では相模原市、平塚市、大和市、茅ヶ崎市などに続いて8番目となる。

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