第590号(2002.06.01)

県下で唯一の介助犬育成団体TAC 財政基盤の強化が課題

ボランティアやサポーター会員求む

 身体の不自由な人の手足となって日常生活を手助けするため、特別な訓練を積んだ介助犬。携帯電話や鍵、コインなど落ちた物を拾ったり、玄関ドアや冷蔵庫の開閉、電話の受話器を取るほか、上着や靴なども脱がせてくれる。また買い物にも同伴して品物を選んだり、横断歩道のボタンを押すなど、パートナーのニーズによりさまざまにサポートしてくれる。
 米国ではすでに20年以上の歴史があるが、日でもようやく5月22日、「身体障害者補助犬法」が成立した。介助犬や聴導犬、盲導犬を「補助犬」と位置づけ、身体の不自由な人が介助犬などを連れて公共施設や交通機関を自由に利用できるようにするほか、育成費用を公費で助成してその普及を図るもので、10月1日から施行される。
 厚木市妻田南に、神奈川県下では唯一の介助犬育成団体「トータルケア・アシスタント・ドッグセンター」(TAC)がある。主宰するのは、全身性障害者で電動車椅子の生活をする千葉れい子さん(43)。
 千葉さんは生後9か月でポリオにかかって上下肢がマヒ、以後、車椅子の生活を送っている。87年、八王子で自立生活を始めた後、2年後に渡米して、アメリカの介助犬育成団体を視察した。翌年再渡米して1年間、ペンシルベニア州の介助犬育成団体訓練所でトレーナーの訓練を受けて資格を取得、91年日本で初めての介助犬「ブルース」を連れて帰国した。
 だが、次第に日本の環境に合わなくなり本国に返したため、再び介助犬のいない生活に戻った。ある日知人から、「自分で介助犬を育ててみないか」と言われた千葉さんは一念発起、98年東京江戸川区にTACを設立した。日本で本格的な育成が始まったのは92年からだが、民間の育成団体が数カ所あるだけでトレーナーの数も十分ではない。現在、全国で26頭の介助犬が活躍しているが、そのうちの2頭はTACが育成した介助犬である。
 1頭は埼玉で活躍しているオリバー、そしてもう1頭は千葉さんの介助犬シーナーで、現在、愛知県の障害者から3頭目のサクラを預かりトレーニングを続けている。スタッフは代表の千葉さんのほか、トレーナーの金美華さん(22)、そして事務職の宮本幸一さん(25)の3人。
 介助犬は「テイク」「ギブ」など70種以上の言葉を理解し、細かいことは飼い主の目線をキャッチして行動する。
「人に人格があるように、犬にも性格があります。障害者が愛情を持って犬を理解しなければ、犬も決められたことしかできません。犬も障害者のことを支えたいという感情がなければ本当の意味でのカップルは生まれてこないのです」と話す千葉さん。まさに愛情と信頼が絆だという。
 介助犬の育成費は1頭30万円から50万円。人件費、諸経費を含めると200万円以上を要し、トレーニングにも相当の時間がかかる。行政の援助がないため、運営はすべて自前だ。1口3000円の賛助会費、寄付金、バザーの売り上げ、講演活動などが主な収入だが、台所はいつも火の車。千葉さんは昨年9月、結婚のために江戸川から厚木に拠点を移した。このためボランティアも減り気味で、最近は賛助会員もなかなか増えてこない。
「今後、育成団体として国の認定を受けるには会の法人化が必要で、いかに財政基盤を強化するかが課題です。地域に根ざした活動を行うためには、市民の皆さんの理解と協力がぜひとも必要」と話す千葉さん。TACでは現在、賛助会員になってくれる人と支援のボランティアを呼びかけている。連絡はTEL:223・9606番へ。  

介助犬シーナは電話の受話器取り(左上)、冷蔵庫から品物を取り出す(右上)、横断歩道のボタン押し(上)など千葉さんの手足となってさまざまな活躍をする。上の写真の3頭はTACが育成した介助犬。右がシーナ、左がオリバー、中央は訓練中のサクラ。

 6月1日鮎解禁・天然遡上戦後最大
 釣りファン待望の鮎が6月1日解禁された。今年の鮎は天然遡上が戦後最大級といわれ、5月13日、相模川の三川合流点、旭町、海老名市中野付近の3カ所で、相模川漁連(菊地光男会長・6単協)が行った試し釣りでは、約15分ほどの間に6人の組合員が、15センチから20センチほどの鮎を190匹余り釣り上げた=写真。
 同漁連の菊地会長は、「年々、河川環境が良くなってきたため、今年は戦後最大級の天然遡上が見られる。このままでは鮎の成長に必要なエサが足りなくなるのではと心配するほど。試し釣りではやや小ぶりの鮎もいたが、予想どおりの魚影が確認できた。解禁日以降は間引きのお手伝いをしていただく意味もあり、小ぶりの鮎もどんどん釣っていただきたい」と話している。

5月13日に行われた試し釣り

相模川は鮎の取れる川としては全国で第3位。同漁連ではこれまでに350万尾を責任放流、5月16日には鮎の移動状況などを調べる標識鮎1000匹を放流した。釣り上げた人にはデータを報告をしていただけるよう協力を呼びかけている。 

 本厚木駅東口献血ルーム 6月3日から三井ビル1階に移転
 神奈川県湘南赤十字血液センターでは、現在の厚木市中町2丁目厚木三井ビル4階で献血を受け付けている「本厚木駅東口献血ルーム」を6月3日から1階に移転、献血ルームの広さを拡大するほか年中無休で業務を行うことにした。同献血ルームは平成3年9月に、厚木市愛甲にある湘南赤十字血液センターのサテライト献血ルームとして開設、年間1万8000人を超える献血者を受け付けている。
 少子高齢化を迎え、年々血液の需要が伸びる傾向にあるが、同センターでは常に安定した血液製剤の供給をはかるため、現在の三井ビル4階にある献血ルームを1階に移転して所在地をわかりやすくした。これに合わせてこれまで休みだった第2・第4日曜日も休まず年中無休(ただし元旦は休み)にすると共に、献血ルームの面積を25%広げ、献血ベッドもこれまでの10台から12台に増やした。また献血者の安全性と避難経路を確保するため、出入り口を対面の2方向にした。6月3日午前10時より開所式が行われる。

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鳶尾団地バス停前にできた花文字

 鳶尾団地バス停ロータリー前に花文字
 厚木市の鳶尾団地バス停ロータリー前に、このほど「花文字」がお目見えした。同団地の住民が「私たちの手で花いっぱいの街づくりをすすめよう」と取り組んだもので、4月28日3丁目2街区自治会『花の愛好会」(小野寺信郎会長)が、管理組合と市公園緑地課の協力を得て行なった。5月中旬、マリーゴールドの花で飾られた「とびお」の文字が、黄色やオレンジの花を咲かせて、ロータリー前の土手に鮮やかに浮かび上がった=写真。
 同団地にはここ数年、子どもからお年寄りまでバスを利用して鳶尾山にハイキングに訪れる人が増え、土・日曜などは大勢のハイカーで賑わっている。そこで自治会が「安心、安全・明るいまちづくり」の一環として、花いっぱいのまちづくりをすすめようと「花文字」の制作を考えたという。
 
バスの利用者からは「とてもきれい」「心が和む」と好評で、同自治会では、今後も積極的にすすめていきたいと話している。

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 ロシアの国立バレエ団にモダンダンス振付日本の舞踊家では初めて “気”の舞踊家亜甲絵里香さん

 厚木市水引でモダンバレエスタジオを主宰している「気の舞踊家」亜甲絵里香さんがこの4月、日本人の舞踊家としては初めてロシアの国立バレエ団のプリンシパルにモダンバレエを振り付け、現地での公演を成功させこのほど帰国した。
 亜甲さんは、昨年5月、ロシアのノボシビルスク市で開かれた「第1回国際振付家コンテスト」に出場、創作舞踊「希望への脱出」が観客にもっとも愛された作品に贈られる「観客賞」を受賞した。
 ロシアとはこれが縁で交流が始まり、今年もノボシビルスク市の舞踊家の招きで訪ロ、同市の姉妹都市である札幌市との交流施設「シベリア北海道文化センター」での現地公演が決定した。
 亜甲さんは公演作品に、昨年ギリシャのイオアニアで初演した「白と黒」、昨年の国際振付家コンテスト入賞作品「希望への脱出」、97年に渋谷のジャンジャンで発表した丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」を選んだほか、新たにギリシャ神話の「オルフェウス」と「祈り」を加えた。
「オルフェウス」のキャストには、国立ノボシビルスクバレエ団プリンシパルのE・グラシチェンコさんと娘の瀬河華織さんを起用したほか、「祈り」には、同バレエ団のM・ポロブニコワさんを起用、日本人として初めてロシア国立バレエ団の団員にモダンバレエの振り付けを行った。

 
国立ノボシビルスクバレエ団プリンシパルのE・グラシチェンコさんと「オルフェウス」を踊る瀬河華織さん。

 リハーサルには同市のオペラ劇場を無料提供してくれたほか、国立バレエ団の芸術監督や団長が全面的に協力、滞在中、華織さんは国立バレエ団のレッスンに参加できる特別な許可ももらったという。
「気」の舞踊家で、テクニックより心の踊りを重視する亜甲さんの振り付けは、ロシアでも評判となり、バレエ団の団長から、世界的に知られるロシアの演出家「スタニスラフスキーと同じ指導」という高い評価を受けた。4月25日の公演前日には、複数のテレビ局から取材を受け、公演当日は市長の文化アドバイザーや市の職員も大勢観賞に訪れた。 
 公演終了後のインタビューでは、自ら踊った亜甲さんの代表昨「原爆の図」に話題が集中、「この深い内容の作品をなぜ創作しようと思ったか」「観客が泣いていたが、そのことについてどう思うか」「クラシックバレエのダンサーに振り付けた感想は」などの質問攻めにあった。
「原爆の図は初演の渋谷でも再演した青山でも、そしてアテネでも観客は同じところで涙を流してくれました。今回のノボシビルスクでも、やはり同じところで泣いてくれ、観客全員が総立ちになって拍手で迎えてくれとても感激しました。国や民族が異なっても踊りを通して平和を分かり合えるという人間の心はすばらしい」と亜甲さん。
 亜甲さんは公演の成功を振り返って、「今後もバレエを通して日露の文化交流の橋渡し役として頑張りたい」と話している。 
 

竹を使って昔ながらのおもちゃづくり

 5月19日、厚木中央公園で昔ながらのおもちゃを作る「少年少女フェスティバル」が開かれ、多くの子どもたちで賑わった=写真。
 同市の青少年指導員(玉井久子会長・110人)が、子どもたちに物づくりの楽しさを知ってもらおうと開いたもので、今年で5回目。当日は延べ1500人の親子が参加、竹などの身近な材料を使って、風車や竹笛、割り箸でっぽうなど昔ながらのおもちゃを完成させた。
 参加した子どもたちは、「初めて竹とかを切ったのでおもしろかった」と話し、一緒に来た母親も「家ではナイフを使わせたことがなかったが、教えてもらったら結構上手に使っているのを見てビックリしました。いい経験になったと思います」と話していた。


初めてのノコギリに挑戦

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選手宣誓する石橋かおりさん

 ドリームズカップドッジボール大会・三田パイレーツが優勝
 厚木市内の子ども会が参加する「第5回厚木ドリームズカップ・ドッジボール大会」(ドリームズカップ実行委員会主催・株式会社興研後援)が、5月25日、厚木市立飯山小学校グランドで開かれた=写真。
 スポーツへの夢を育て、友達をつくろうと玉川、森の里、南毛利、宮の里、恩名のドッジボールチームが主管となって4年前から開いているもので、今年も市内28チームの子ども会が参加した。通常の大会は13人以上だが、ドリームズカップは10人以上なら出場できるのが特徴。
 午前8時10分に始まった開会式には、色とりどりのユニフォームに身を包んだ選手たちがグランドに整列、松本袈裟文大会名誉会長があいさつに立ち「元気いっぱいがんばって」と試合に望む子どもたちを激励した。また、山口巌雄市長、千葉景子参院議員らも出席してお祝いの言葉を述べた。
 審判長注意の後、レボリューション・ドッジボールの石橋かおりさんが選手宣誓して試合が始まった。
 大会は予選をリーグ戦、準々決勝以降をトーナメントで行うリーグ・トーナメント方式。子どもたちの「おねがいします」「ありがとうございました」という元気いっぱいのあいさつも好評で、選手のキビキビしたプレーに応援にかけつけた父母から盛んな声援がおくられていた。
 試合は順調に勝ち進んだ三田パイレーツが、10対7で荻野ハピネスを下し優勝した。3位は宮の里わか草、4位は山際サニーズだった。 

 大潮会の梅澤さんが個展風景画など展示
 厚木市山際に住む洋画家梅澤善和さん(67)が、5月23日から本厚木駅南口の「ギャラリー悠」で、4回目の個展を開いている。
 梅澤さんは川崎、厚木、座間、愛川、清川などの小中学校で社会科と美術の教師をつとめ、平成7年小鮎中学校長を最後に定年退職した。中学・高校時代から絵をたしなみ、同市下古沢の画家藤江理三郎氏に師事して写実の基礎を学ぶなど、早くから絵画の道を志した。
 昭和38年、写実の殿堂といわれる大潮会に初出品、以後連続出品を重ね、昭和52年には大潮会特選を受賞して、会員に推挙された。これまでに2度審査員をつとめるほか、平成7年には「あつぎ大潮会」(6月15日からグループ展を開催)設立に参加、現在会長をつとめる。この間、本厚木駅南口に私設の「ギャラリー悠」を開設、地域の文化振興にも力を注いでいる。

梅沢善和さん

 梅澤さんの画風は花や果物など生活に身近なものを素材にした静物画や風景画を描く写実主義。近年は古道具を描いたり厚木近郊の風景画にも力を入れていり。今回はギャラリーのウィンドーを中心にバラやボタン、椿、さくらんぼ、いちご、ぶどう、柿、柚、早春の自然保護センター、秋の芦ノ湖などの近作26点を展示、道ゆくギャラリーに語りかけている。個展は6月11日まで。TEL:245・1207番。

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  市民実行委が発足/交流テント村など運営
 5月20日、「第4回アジア太平洋ハーモニカ大会市民実行委員会」が発足、同市中町の市女性センターで設立総会が開かれた。
 市民実行委員会は、7月30日から8月4日まで、厚木市文化会館をメイン会場に開催されるアジア大会の交流テント村の運営や、アジア諸国から参加する人たちとの友好交流事業の運営に当たるもので、各地区の公民館長をはじめ、自治会連絡協議会の地区会長、大学、高等学校、市内の各種団体など112の団体で組織している。この日の総会では実行委員長に太田金太郎自治会連絡協議会会長を選出した。
 交流テント村は市民と大会に参加する人たちとのふれあいの場として、物産、飲食などのコーナーを設けるほか、特設ステージでの演奏や郷土芸能など歓迎イベントを実施する

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 鮎まつりDANBEパレード参加者募集
 あつぎ鮎まつり実行委員会では、8月3日に行われる「DANBEパレード」に参加する出場チームを募集している。コンテストは仮装・企業PR、フリーパフォーマンスなど自由。2名以上30人以内で、パレードに参加できるのが条件。音楽自由、主催者の放送設備の使用は出来ない。エンジン付車両の持ち込み禁止。小学生以下は引率者、中高生は保護者の同意が必要。添付スタッフは1名以上必要。賞金総額50万円。申し込みは6月3日〜28日までに実行委事務局へTEL:225・2820番。 

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