第591号(2002.06.15)

上:上顎部の空洞(右側)に患者の血液でつくった再生骨を移植する。下:骨造成された上顎部。歯槽骨がきれいに出来上がっている。写真はインプラントと骨造成を同時に行ったもの(アイ歯科で)

 これが21世紀の最先端治療患者の血液で歯槽骨を再生米国で話題のPRP法アイ歯科が導入
 近年、歯槽膿漏や歯周病で、顎の骨(歯槽骨)が極端に少なくなったため、インプラント(人工歯根)を入れることが出来ない患者に、歯槽骨を再生する「 サイナス・リフト・テクニック」といわれる治療が普及してきた。
 骨幅の薄い人や骨欠損部の補填に、患者の腸骨や他臓器から骨を採骨して移植する方法で、1週間ほどの入院が必要だが、人工歯根をあきらめていた患者にとってはまさに朗報だ。
 県央・湘南地区では1年前より、アイ歯科の厚木診療所と丹沢診療所の城所善夫副院長がこの治療を手がける草分け的存在。城所副院長は腸骨を移植せずに、セラミックと患者の顎骨を混ぜ合わせ、少なくなった歯槽骨を造成させる手術にも取り組んでおり、こちらは全く入院の必要がないから、患者の負担もずいぶんと軽減されている。
 ところが最近、21世紀の最先端治療といわれるPRP(多血小板血漿)による骨造成術が脚光を集めている。患者の血液を遠心分離器にかけて血漿を採取し、濃縮した血小板を作り、ここに塩化カルシウムとトロンビンと呼ばれる凝固促進剤を混ぜ、それを移植用に採取した自分の歯槽骨とを混ぜて、ゼリー状にしたものを、インプラントを打ち込む部分に移植するというやり方。
 昨年12月からこの治療に取り組んでいるアイ歯科では、これまでに3人の患者の上顎洞にこのPRP法を施術、歯槽骨の再生に見事成功している。骨移植後、3〜4ヶ月でインプラントの埋入手術が可能で、入院の必要性がまったくない。
 城所副院長は「自分の血液で骨を作るわけですから、異物感やショック症状が出ないのが最大の特徴。それに腸骨などの自家骨移植は、他臓器からの移植を余儀なくされるという点で患者の肉体的、精神的負担が大きかったが、このPRP法にはそうした負担がなく、インプラント治療にとってはまさに画期的なものです」と話している。
 まさに21世紀の最先端治療だが、今、アメリカでは、こうした自前の素材で歯槽骨を再生、インプラントを可能にする治療が話題となっている。日本では最近になって東京歯科大学や帝京大学口腔外科、日本歯科大学、町田市民病院など20施設でこの治療に取り組み始めた。城所副院長は、この秋に開かれる日本捕綴学会でこのPRP法の臨床例を発表するという。

 
 
放送大学と単位互換協定東京工芸大学
 厚木市飯山の東京工芸大学(本多健一学長)=写真=と放送大学(丹保憲仁学長)が、このほど単位互換協定を締結、6月13日、東京工芸大学厚木キャンパス本館大会議室で調印式が行われた。
 単位互換協定は、東京工芸大学の学生が、平成14年10月1日の第2学期から、特別聴講生として放送大学の科目を履修できるほか、放送大学の通信指導および単位認定試験に合格した場合、放送大学長がその学生に単位を授与し、東京工芸大学長は放送大学で取得した単位を卒業要件の単位として認定するもの。  

東京工芸大学厚木キャンパス

 放送大学が受け入れる学生数は30人程度で、同大学で習得できる単位は60単位以内。単位互換予定科目は、一般12科目、共通2科目、専門39科目の合わせて53科目。
 放送大学が単位互換協定を締結するのは全国で237校目。私立大学では113校目で、神奈川県内の大学では10校目になる。
 東京工芸大学では単位互換を推進することによってカリキュラムが豊富になり、教育課程を一層充実させることができるため、豊かな教養と幅広い視野を持つ創造性に富んだ学生の育成につながるとしている。
 東京工芸大学は大正12年(1923)、写真技術による芸術の創造をなし得る人材の養成を目的として設立した小西写真専門学校が前進で、その後、東京写真専門学校、東京写真短期大学、東京写真大学を経て、1977年東京工芸大学に名称変更した。現在工学部、芸術学部のほか、芸術別科、大学院工学研究科・芸術学研究科を用意している。学生数は5月1日現在4,208名。
 一方、放送大学は昭和60年、テレビ・ラジオ放送で授業を行うまったく新しいタイプの通信制大学として発足、生活科学、産業社会、人文自然の3コースと生活と福祉、社会と経済などの6専攻で構成されている。平成14年度第1学期の授業科目は302科目。学生数は平成13年度第2学期で89,770人。
 調印式は午後1時から行われ、本多健一東京工芸大学長、放送大学からは麻生誠副学長が出席、単位互換協定を盛り込んだ締結書に署名した。

献立を運ぶ依知小の児童

 給食調理場が完成依知小・飯山小自校方式で4校目 
 厚木市立依知小学校(木村文夫校長・児童数443人)と飯山小学校(神崎忠義校長・児童数343人)で、給食調理場が完成、5月1日から自校方式による給食が始まったが、このほど両校で「給食調理場完成を祝う会」が開かれた。
 依知小学校では5月24日午前10時30分から同小体育館で開かれ、山口市長や市会議員、PTA役員などの地域関係者が出席する中、6年生児童が完成した給食調理場の概要や給食の様子などを発表、出来たての献立に舌鼓を打った。
 この日は、アジア太平洋ハーモニカ大会の気運を盛り上げようと考案されたハーモニカをかたどったハーモニカパンが登場、子どもたちを喜ばせた。
 一方、飯山小学校でも5月28日、午前10時15分から体育館で「給食完成を祝う会」が開かれた=写真下。児童代表の大崎柚果さん(6年)が、「みんなで給食室で作られる給食を待ちに待っていました。陶器の食器に盛られた給食はとてもあたたかくおいしいです」と喜びのことばを述べた。
 会場の体育館では、子どもたちが紙粘土で作った「食べてみたい給食メニュー」や、自校方式給食の感想文や絵画も展示された。式典の後は、出席者を交えて出来たての給食に舌鼓を打った。

 厚木市では平成12年度から、小学校の給食を共同調理場方式から単独調理場方式に移行させるため、給食調理場の整備を進めており、依知小は上荻野小、厚木第二小に続き3校目、飯山小学校は4校目となった。市では平成14年度も2校の整備を計画している。

 山際・下川入で地下水調査環境基準を超える有機塩素系化合物検出
 厚木市の旭町や尼寺工業団地、上依知の内陸工業団地各周辺地区の地下水に、環境基準を超える有機塩素系化合物の検出が確認されているが、市では周辺井戸所有者への影響が懸念されることから、今年の2月、県と愛川町の協力を得て、内陸工業団地周辺35カ所の水質調査を実施した。
その結果、山際上中原地区で新たに環境基準を超える1,1-ジクロロエチレンが検出されたため、4月にこの井戸周辺10カ所の地下水調査を実施したところ、3カ所の井戸から環境基準を超える1,1-ジクロロエチレンが検出された。最大値は0.062mg/ャで環境基準の3.1倍だった。市ではこの3カ所の井戸の1カ所が飲用として使用されているため、充分沸騰させて使用するよう周知した。
 また、下川入九の域の北側で、環境基準を超えるテトラクロロエチレンが検出されたことから、下川入地区7カ所の地下水調査を実施したところ、2カ所の井戸から環境基準を超えるテトラクロロエチレンが検出された。最大値は0.037mg/ャで環境基準の3.7倍だったが、この2カ所については飲用には使用されていなかった。
 両地区で検出された塩素系化合物は発ガン性などの健康被害が懸念されるが、揮発性が高く充分沸騰させることにより水道水の基準を下回るため、市では井戸水利用者に面談して使用方法を指導している。

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田植えを体験する市民(厚木市上荻野で)

 里山マルチライブプランスタート市民40人が田植え
 6月2日、地域の人たちや環境ボランティアと連携して、地権者の協力を得ながら里山を保全していく厚木市の「里山マルチライブプラン」がスタート、初めての活動となる市内上荻野の休耕田で田植えが行われた。
 厚木の豊かな自然環境を形づくる里山の自然を守ろうとの呼びかけに、市民から47人の応募があり、この日の田植えには親子連れなど40人が参加した。参加者の中には、初めての田植えに戸惑う人もいたが、地元農家の人たちの指導を受けながら、約3時間ほどで2千平方メートルの水田に田植えを行った。

 参加者は「米作りに興味を持っていたので、すぐに応募しました。市内でこうした体験が出来てよかった」、また「田んぼに吹く風が涼しくて気持ち良く田植えが出来ました。収穫が今から楽しみです」と話していた。今後、月1回ほどの手入れを行ない、10月の稲刈り、精米まで作業が続けられる。

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 カワラノギクを植栽相川中の生徒総合的な学習で
 6月3日、市立相川中学校(田巻秀夫校長・生徒数338人)の1年生103人が、相模川河川敷の酒井スポーツ広場横の河原に、環境庁のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されているカワラノギクの植栽を行った。
 これは同中学の生徒会が中心となって、カワラノギクを通して自然環境への配慮や郷土愛を育もうと実施したもので、学校でも総合的な学習として位置づけ、取り組むことになった。
 この日、体操着に軍手で参加した生徒たちは、地域の環境ボランティアや保護者約30人と一緒に、スコップで穴を掘ったり、川から汲んできた水をジョウロでまいたりと苗の植栽に汗を流した。  

カワラノギクを植える相川中学校の生徒たち

 植栽された苗は、カワラノギクの保護に取り組んでいる海老名市国分の河又猛さん(76)から提供されたもので、7日には2年生、10日には3年生が1人当たり6、7本の苗植えを行ない、約1,000平方メートルの河原に2500本のカワラノギクが植えられた。今後、植栽された河原は、生徒会の植物委員会の生徒を中心に管理され、秋にはカワラノギクが薄紫の可憐な花をつける。

 

 あつぎ大潮会グループ展25日までギャラリー悠で
 あつぎ大潮会(梅沢善和会長・27人)のグループ展が、6月15日から本厚木駅南口のギャラリー悠で始まった。平成7年10月、写実の殿堂といわれる「大潮会」の会員を中心に厚木支部として発足した会で、厚木を代表する絵画グループ。27人中、名誉会員を含めた大潮会本展の会員は11人。
 グループ展はギャラリー悠が、メンバーに呼びかけ毎年企画しているもので、今年で3回目。今回は会員24人が参加、油絵、水彩、パステルなど1人2点づつ作品を出品した=写真。
 作品は6号、8号クラスが主で、4月と5月に厚木市七沢の県立自然保護センターで行った写生会での風景画のほか、花や果物などの静物画合わせて48点が展示されている。


あつぎ大潮会のメンバー

 風景画では大場三郎さんの「七沢の湿原」、松本弘子さんの「湿原の初夏」、梅沢善和さんの「初夏の七沢」、森川俊一郎さんの「浅春の七沢」のほか、大根田雄康さんの「埠頭の家並」、吉村史郎さんの「上高地の梓川」、足立修さんの「渓谷」、静物画では杉山勇さんの「柿と椿」、内山典子さんの「パンジー」、中戸川陽子さんの「やぶ椿」など力作ぞろい。
 梅沢会長は「年々作品の質も向上しており、12月の本展やあつぎ大潮展への出品など意欲的に描いています」と話している。25日まで開催。TEL:248・8367番(松本)。

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 飯山あやめの里で「あやめ祭り」
 厚木市飯山の「あやめの里」で、6月9日、恒例の「あやめ祭り」が開かれ、大勢の見物客で賑わった。
 飯山あやめの里は、小鮎川の堤防に面した久保橋の南側に位置し、約1ヘクタールの畑に2万株の菖蒲が植えられている。今年は例年より早い開花で、紫や白、黄色などの花を色鮮やかに咲かせた=写真。
 あやめ祭りは今年で10回を数え、会場に設置された特設ステージでは、咲き誇る菖蒲を前に、飯山芸妓衆の花踊りや白龍太鼓公演などが行われた。会場を訪れた人々は、菖蒲を背景に記念写真を撮る姿も見られ、一面に咲き誇る菖蒲の花を楽しんでいた。

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 地域社会に貢献する老人会旭町1丁目老人会
 6月2日朝9時から、厚木市旭町1丁目老人会(高村正彦会長・52人) が、地域のあさひ公園の草むしりや清掃作業に汗を流し、きれいになった公園の藤棚の下で、「365歩のマーチ」や「椰子の実」などの歌を合唱した=写真。
 これは平成8年ごろから、高齢者が家に閉じこもることなく、会の親睦をはかりながら地域社会に貢献しようと始めたもので、毎月の月初めに実施しており、情報交換の場ともなっている。
 この日、軍手にビニール袋、草削りなどを手にした会員は、「自分たちがくつろいだり、子どもたちが遊んだりする公園がきれいなってうれしい。また、月に1度、仲間と一緒に歌うのが楽しみです」と話していた。

 同老人会では、厚木南公民館を会場にストレッチ体操なども行っており、高村会長は「いつまでも若々しく健康で、地域社会に貢献していきたい」と話している。

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 古典から新舞踊まで流派を越えて合同発表会
 6月2日、市内の舞踊愛好家が一同に集まって日頃の練習の成果を披露する「合同舞踊発表会」が厚木市文化会館で開かれた。
 平成8年、市内妻田北に住む舞踊家小林鈴子さんが、「お金のかからない普段着の発表会を」と愛好者に呼びかけて始めたもので、今年で7回目。毎年、古典、民舞、新舞踊など流派を超えて70曲以上の参加者がある。
 今回も藤間流、小桜流、五條流など小学生から70代のお年寄りまで曲に合わせて、普段の練習の成果を披露した。
 発表会には徳間ジャパンの歌手井上まり子さんや劇団を率いる吹雪とも子さんらも出演したほか、男性で女踊りを発表した石橋照豊さん=写真=の「浜唄」が、会場の笑いを誘っていた。
 小林さんは「毎年出場者が増えています。この日のために一生懸命練習してきた人も多く、毎年踊りを通して多くの方との交流を楽しんでいます」と話していた。 

 地域ボランティア・地域環境交流会開催ソニー厚木テクノロジーセンターで 
 厚木市旭町のソニー厚木テクノロジーセンターで、5月29日、「地域ボランティア・地域環境交流会」が開かれ、地域住民ら50人が参加した。
 「someone needs you」を共通メッセージとした地域ボランティアは、ソニーグループの社員が、ボランティア活動を通じて地域住民との交流をはかり、ソニーグループ全体のイメージアップをめざしたもので、今年で3年目。また、地域環境交流会は、同社のグループ各社で世界展開しているもので、厚木センターでは、地域交流を目的とする「環境月間2002」に合わせて開催された。
 交流会ではソニーと厚木テクノロジーセンターの環境経営の取り組みについてビデオ紹介が行われ、半導体関連事業の担当責任者から、製品開発段階での環境への取り組み事例や成果が説明された。
 参加者はその後2班に分かれ、窒素酸化物の排出を低く抑えたボイラー施設や、半導体の製造に伴う排水を無害化する処理施設のほか、工場内の廃棄物分別処理場などを見学した。当日は、市内の地域作業所が出店し、障害者が作成した物品の販売も行われた。
 交流会終了後は、地域の自治会と同社のボランティア約60人が、地元自治会館前の約50メートルの花壇に、日々草などの草花1400ポットを植えた=写真。また、同社のボランティア35人が、相模川に自生し絶滅の危機に瀕しているカワラノギク救済のための除草と植栽活動を行った。

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