第626号(2003.12.01)

西山の市道廃止しないで 市民の貴重な観光・文化資源

市の付け替え議案に地元住民が反対陳情

荻野の西山を構成する右から経ヶ岳、華厳山、高取山(鳶尾団地から)
 厚木市が9月議会に提出して継続審査になっている「市道I-705号線ほか6路線の廃止及び4路線を認定する議案89号」に関して、11月21日、同市中荻野の花上義晴さんほか111名が、「市道は近隣のハイキングコースを結ぶ重要な位置にあり、文化財が存在するなど市民の貴重な観光・レクリエーション資源になっている」として、議案の否決を求める陳情書を市議会に提出した。
 廃止が予定されている市道は、中荻野地区の通称西山(経ヶ岳、華厳山、高取山)の尾根道で、6つのハイキングコースを結ぶ位置にあり、晴れた日には新宿副都心の高層ビルや相模湾を一望に眺めることができる。尾根道には荻野の俳人小林芹江の俳句が刻まれている発句石があり、近くには経石、松石寺88カ所の石仏など貴重な文化財も散在している。また西山は、荻野音頭や荻野中学校の校歌にも歌われるなど、ふる里の山として荻野地区住民の精神形成にも大きな影響を及ぼしてきた。
 西山を所有している採石業者が、現在採掘している飯山側の事業区域が完了するため、新たに荻野側29.3ヘクタールのエリアを30年間にわたって採石する増設事業を計画した。総採取量は1,677万6,000立方メートルで、海抜600メートルある西山の稜線が、約200メートル削られるという大規模開発だ。
 昨年12月「環境影響予測評価書案」の住民説明会が荻野運動公園など3カ所で開かれたほか、今年の1月中旬まで地元公民館でも縦覧が行われ、環境アセスの手続きが最終局面を迎えている。
 採石業者は岩石採取の事業拡大にともない、市に対して市道路線の払い下げと付け替えを申請、市は9月議会に7路線の廃止と新たに付け替える4路線を認定する議案を提出した。都市経済常任委員会で審議されたが、地元への十分な説明がなく、廃止の理由も明確でないとして現在継続審査になっている。
 この市道は昭和49年7月11日、当時議員だった花上さんが、採石事業によって市道の一部が損壊され、文化財の発句石も掘削移動されてその価値が失われているとして、市長に対して損壊した市道と発句石の現状回復の措置をとらせる監査査求を行った。当時の監査委員は花上さんの請求を認め市長に対して、昭和50年2月末日までに採石業者に現状回復の措置をとらせる決断を下している。
 花上さんは、「今回、市が道路の廃止と付け替えの認定を行おうとするのは、こうした経緯をまったく無視したやり方だ。岩石採取という何ら公益性のない一企業の経済活動に、市が便宜を図るのはおかしい」と話している。
 陳情は12月15日に開かれる都市経済常任委員会に付託審査されるが、市の議案とともに、議会がどういう判断を下すか注目される。

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厚木市がまなび債発行 住民参加型ミニ公募債
 厚木市は高齢者福祉対策の一環として、満60歳以上の市内在住者を対象に、安全で確実な資産運用を提供しようと、住民参加型ミニ市場公募債を発行することに決め、来年1月22日より申し込みを受け付ける。
 市債発行の目的は、現在同市長谷に建設中の(仮称)厚木市学習支援センターと北小学校給食調理場の建設費の一部として活用するもので、「厚木まなび債」と名付けた。
 発行額は5億円。額面10万円と100万円の債券を一人10万円から最高100万円を限度に10万円単位で購入できる。1月中旬の国債利回りを参考に確定利率を決定、8月25日と2月25日の年2回、利子が受け取れる。満期は5年だが、償還期限前でも換金の必要が生じた場合は取り扱い機関で換金できる。
 債券は来年2月25日発行、平成21年2月25日が償還日となる。市では満60歳以上の市内在住者を対象に優先発行し、発行額に満たない場合は一般市民の申し込みも受け付ける。取り扱い機関は横浜銀行厚木支店・愛甲石田支店・緑ヶ丘特別出張所、野村證券厚木支店。
 希望者は官製往復ハガキに氏名(ふりがな)性別、住所、生年月日、年齢、電話番号、購入希望金額、購入希望取扱機関を記入の上、〒243-8511厚木市中町3丁目17番17号厚木市財政課厚木まなび債抽選受付まで申し込む。申し込み期間は1月22日から28日(消印有効)まで。
 2月2日に抽選を行って本人に返信、9日から17日までを購入期間とする。問い合わせは厚木市財政課。TEL:225・2170番。

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ロス大会で3人が入賞  絵里香バレエの3小中学生

入賞した柴野さん、山花さん、山嵜さん(前列左から)と指導者の亜甲さん(後列中央)  11月8、9の両日、米国ロサンゼルスで開催された「第2回ダンスコンベンションロス地区大会」に、厚木を本拠地として活動している亜甲絵里香バレエスタジオに所属する小中学生3人が入賞、来年7月ニューヨークで開かれる全米大会の出場権を獲得した。
 入賞したのは同市立依知南小2年の山花玲美さんと、厚木中学2年の柴野由里香さん、そして座間市立中原小3年の山嵜優衣さん。
 大会はニューヨーク・シティ・ダンス・アリアンスの主催で、7歳から18歳までを対象に「ダンサーを育てるためのコンクール」として昨年から始まった。審査員にはブロードウェイやハリウッドを代表する振付家が名前を連ね、毎年全米21都市で地区予選が行われている。
 ロス予選にはジャズやモダンダンスなどの種目に250人が参加。亜甲さんは次男でニューヨーク在住のプロダンサー瀬河寛司さんの呼びかけで、今年初めて大会に生徒を出場させた。その結果、子どもの部に出場した山花さんと山嵜さんが最高賞である「プラチナ賞」、中高生の部に出場した柴野さんがプラチナ賞に続く「金賞」を受賞した。
 また、グループ部門でも3人は金賞と審査員と観客に最も注目を浴びた作品に贈られる「特別賞」を受賞したほか、亜甲さんも「振付者賞」を獲得した。
 3人は「英語で言われたので、最初は入賞したのが分からなかった。トロフィーを手にした時は信じられなかった」と話している。

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相川中学校 本物の舞台芸術鑑賞藤原オペラと共演!

 11月17日、厚木市酒井の相川中学校(田巻秀夫校長・324人)で、藤原オペラを招いて生徒と団員が共演する「本物の舞台芸術体験学習事業」が行われた=写真。
 文化庁が進めるこの事業は、本物の舞台芸術にふれる機会を子どもたちに提供し、芸術を愛する心と豊かな情操を育てるのが目的で、藤原オペラの公演は県下の中学校では同校だけが選出され、「カルメン」ハイライトを共演することになった。今年の6月ごろから合唱部、吹奏楽部などが練習を開始、闘牛士役の16人もオペラ団員から直接指導を受け、10月には音楽監督が来校して合同練習を行った。
 当日は、団員30名で構成された歌劇団の中に、合唱部や闘牛士役の生徒、市長役の校長らが出場すると、会場となった体育館に大きな拍手がこだました。
 講演後、生徒会長の長谷部陽さんは「近くでオペラを体験でき、夢のような2時間でした。迫力ある演技や歌は私の心の中にずっと残っています」とお礼の言葉を述べた。 

  

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ヘリで救助訓練 消防本部が川崎消防局と山岳救助合同訓練を実施
 11月13、14の両日、厚木市消防本部と川崎市消防局との山岳救助合同現地訓練が行われ、2日間で延べ80人の職員が参加した。
 訓練は市内の山岳地で登山者などが負傷した際、他都市へ航空機を要請、航空隊と連携して安全で確実、迅速な救助活動を進めるため、航空機の知識や誘導などを含む技術の向上をはかることを目的に行われたもので、航空機を使っての本格的な訓練は今回で3回目。
 当日は、飯山白山森林公園での救助訓練をはじめ、ぼうさいの丘公園でのヘリコプター地上誘導訓練、傷病者搬送訓練などが行われた。
 ヘリコプターによる救助訓練=写真=では、登山者2名が山道から滑落して負傷したとの想定で、川崎市消防局へ応援を要請。同市からヘリコプターが離陸して、現地山頂で負傷者2名を吊り上げ、ぼうさいの丘公園へ移送、待機中の救急車に搬送した。
 永井隆厚木消防署長は「山岳地を抱える本市では、航空機を要請した時の受け入れ態勢を強化しておく必要がある。今後も訓練を重ねていきたい」と話していた

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睦合中学2年生が職場体験学習 社会の厳しさや働く喜び学ぶ
 厚木市立睦合中学校(下島光久校長)の2年生163人が、11月13日、職場体験学習を行った。社会の厳しさや働く喜びなどを、実際の仕事を通して学ぼうというもので、地域の病院や幼稚園、サービス業など30の職場を訪問した。
 当日生徒たちは未知の体験に不安を抱きながらも、それぞれのコースに分かれ、徒歩やバスなどで各職場へ向かった。
 市立病院で職場体験をした生徒たちは、最初は緊張のためかなかなか仕事が手につかなかったが、担当の看護士から説明を受けながら、血圧測定や食事提供などのお手伝いをしていた。また、花屋さんを訪れた生徒たちは、お花の手入れの仕方などを学び、水やりなどを実習した=写真=ほか、幼稚園では、園児と手をつないで共に遊んでいくうちにすっかりうち解け、劇の練習を見たり一緒に食事を楽しんでいた。
 学校へ帰ってくると、生徒達は、「将来ぜひこの仕事に就きたい」と話していた。

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健康福祉スマイルティーボール大会に13チームが参加
 第5回かながわ健康福祉スマイルティーボール大会が11月16日、厚木市立林中学校グランドで開かれた=写真。
 主催したのはNPO法人日本ティーボール協会神奈川県連盟(頼住道夫理事長)で、県教育委員会、県社会福祉協議会など6団体が後援した。ティーボールの特性を活かして、障害のある人もない人も共に汗を流しコミュニケーションを深めるのが目的。
 大会には県下の障害者地域作業所、養護学校などから10チームが参加、ボランティアをかって出た地元林中や厚木中学のソフトボール部など健常者3チームも出場した。
 試合は日本ティーボール協会公認ルールに準ずる特別ルールで行われ、選手たちはバッティングや守備に広いグランドを走り回っていた。また、元日本ハムコーチで2軍監督の種茂雅之さんのバッティング教室も開かれ、参加者は熱心に指導を受けていた。優勝チームは次の通り。
Aコート=すずらんの会B、Bコート=すずらんの会A、Cコート=伊勢原養護学校、Dコート=小鮎フェニックス。

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規則正しい生活で100歳  佐々木敏夫さん
 11月11日、厚木市元町に住む佐々木敏夫さんが100歳の誕生日を迎え、19日午後、山口市長がお祝いに訪れた=写真。
 佐々木さんは明治36年11月11日、宮城県で5人兄弟姉妹の4番目として生まれた。70歳まで公務員として働き、5人の子どもに恵まれ、11人の孫と7人のひ孫がいる。趣味は野球観戦で、長寿の秘訣は「規則正しい生活をすること」と話している。
 この日、午後3時半、山口市長がお祝いにかけつけ、「おめでとうございます。これからも長生きしてくださいね」と声をかけると、にっこり微笑んで、花束や祝い品を受け取っていた。
 今年同市内で100歳を迎えた高齢者は5人(男性2人・女性3人)で、市内の100歳以上は佐々木さんを加えて14人になった。

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12月5日から輝く生命の絵画展
 県央地区の障害者が描いた油絵や水彩、パステル画などの作品を展示する「輝く生命の絵画展」が、12月5日から海老名市民ギャラリーで開かれる=写真は絵画展のポスター。
 グループ完の主催で、世界身体障害芸術家協会、県社会福祉協議会、県総合リハビリテーションセンター、国際ソロプチミスト厚木・海老名などが後援する。絵画展は84年、「石山完とその仲間たち」でスタート、91年に「グループ完」と名称を変え、現在23名の会員と家族や会を支えるボランティアで活動を継続している。体にハンディを負っている人々は、脳性麻痺、リュウマチ、片麻痺、頚髄損傷などさまざまで、在宅者ばかりでなく、施設入所や入院中の会員もいる。
 足の指に絵筆を挟んで描く人、口に筆をくわえて描く人、寝たきりの状態で枕元で描く人など描き方もさまざまだが、残された機能を駆使して独自の方法で制作に取り組んでいる。
 今回は20回の記念展とあって、赤瀬陽久さんや石原生美夫さんなど19人が静物や風景画などを出品するほか、作品を「記念画集」にして出版する。 
 代表の松田美八重さんは、「年々障害の重い会員も増えていますが、少しでも外とのつながりをもてる場づくりに貢献していきたいと考え、活動を続けています。多くの人に見ていただければ」と話している。会期は14日18時まで(最終日は15時)問い合わせはTWL:229・2805番(松田)へ。

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