第629号(2004.01.15)

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伝統のだんご焼き 昔からのやり方伝える 厚木市飯山の千頭上自治会

飯山街道沿いにある道祖神の上にお宮をつくる

子どもたちがお宮をかついで小鮎川のサイトまで運ぶ

上千頭橋を渡るお宮の一行

もうすぐ河川敷のサイトだ

午後3時サイトに火がつけられた

サイトにお宮を投げ込む

昔はだんごを樫の木の枝に刺したが……

現在は竹の先に針金をくくりつけ、それに刺す

だんごを金網に入れて焼く人もいる

小鮎川の河川敷のだんご焼きサイト
 1月12日午後、厚木市飯山の千頭上自治会(三田洋会長・110戸)の主催で、古くから伝わるだんご焼き(セエトバレエ)が行われ、地域の人たちが無病息災を祈った。
 同地区には29の自治会があり、今でも8割の自治会が毎年道祖神まつりを行っている。中でも千頭上地区のセエトバレエは、飯山街道(厚木清川線)沿いにある道祖神の上に、正月のお飾りと杉の葉を使って高さ一メートル、巾1メートル、奥行1メートル大のお宮をつくり、太鼓の合図とともに子どもたちが担ぎ、だんご焼きの火の中に入れるという昔ながらの行事を伝えている。
 だんご焼きの会場となるのは、上千頭橋下流の小鮎川河川敷。前日のうちに自治会役員が竹の木を切ってきてお飾りなどを寄せ、高さ5メートルほどのサイトをつくる。当日の午後3時ごろになり、人々がゾロゾロ集まってくるとサイトに火をつける。
 子どもたちが担いできたお宮を、火の中に投げ込むとサイトが勢いよく燃え上がった。火が下火になってくると、各自が持ち寄ってきた赤、白、緑のだんごを樫の木の枝に刺して焼く。最近は竹の先につけた針金に刺したり金網に入れて焼くのが主流だ。焼いただんご食べると「虫歯にならない」「風邪を引かない」などの言い伝えがある。
 昔は子どもたちが書き初めを持ってきて投げ込んだり、5色の紙に「奉納道祖神」と一文字づつ書いた旗を燃やしてだんごを焼いた。「書き初めが高く燃え上がるほど字が上達する」といわれたが、三田会長は「最近は書き初めを持って来る子どもたちがいなくなった」と話していた。

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新たな50年に向け「決意と共感」 職員には勇気・忍耐・智恵を  山口市長が年頭会見

 厚木市の山口巌雄市長は、1月8日年頭の記者会を行い、平成16年度の抱負を述べた。同市長は今年のキーワードを「決意と共感」に定め、新たな50年の一歩を刻む重要な年と位置づけた。
 同市長はこの50年間、厚木市はめざましい発展を遂げてきたが、これは先人のたゆまぬ努力の結果であり、現在では昼間人口比率116.6が示す通り、昼間は厚木市内に滞在する方が、約26万人もいる。このように若い世代の方々が多く集まる都市、人・モノ・情報が絶えず行き交う賑わいのある都市として発展してきた。
 これまで、情報化社会へ対応するための取り組みやぼうさいの丘公園など、安心安全なまちづくりへの取り組みについて積極的に取り組んできたが、これからも「市民が主役」の市政を推進し、だれもが「住んで良かった」「住んでみたい」と心から思える厚木を目標に邁進したい。そのためにこの50年の成果を生かしながら、困難な問題へも挑戦意識をもって立ち向かい、対応策を「決意」として示し、次の50年を見据えたまちづくりを市民の「共感」をいただきながら実施してまいりたいと抱負を述べた。
 特に厚木市のさらなる発展に向け、企業誘致対策を研究・検討するなど全庁的な取組を展開し、賑わいのある県央の中核都市にふさわしいまちづくりをすすめていくと述べた。
 また、職員に対しては、「勇気・忍耐・智恵」をキーワードに仕事に打ち込んで欲しいと述べ、市民生活の向上と地域経済の活性化に向けてできる限りの努力をしたいとして、職員は「勇気」をもって忍耐強く、「智恵」を出して、市民から「共感」が得られる仕事を提示していると新年度の決意を語った。
 平成16年度予算については、財政運営が引き続き厳しい中で、歳入の根幹をなす個人市民税や固定資産税などの市税収入は多くを望めないものの、福祉予算などの増大で一般会計は対前年度比約1.4%増の739億円規模になる見通しを示した。

 同市長は、新年度予算の中で、市立小学校の児童約1万2,700人を対象に、携帯型防犯ブザーを購入して配布することを明らかにした。児童たちが登下校時に犯罪に巻き込まれないようにするのがねらいで、市立中学校生徒(約5,700人対象)にも希望者全員に配布することにしている。 
 市では新年度予算に約1,000万円を計上、5月を目処に配布することにしているが、私立小中学校に通う児童・生徒にも防犯ブザーを配布したいとしている。
 防犯ブザーは手の平に収まるサイズで、ボタンを押すかひもを引くとブザーが鳴る仕掛け。各学校に使用の手引き書を配布して、使い方を指導する。
 県内の自治体で小中学校の児童生徒にこれほど大量の「防犯ブザ」ーを配布するのは珍しいという。

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反対派住民「守る会」結成 1月25日西山登山で現地調査
 厚木市議会が昨年12月に開いた定例議会で、市が9月議会に提案して継続審査となっていた議案第89号「(西山の)市道路線の廃止及び認定」について、都市経済常任委員会および本会議で審議の結果、賛成多数で可決したほか、同市中荻野の花上義晴さんら111人が同議案を否決するよう求めていた陳情第30号をみなし不採択とした問題で、この採決の結果に納得しない反対派住民は、1月10日、荻野公民館で集会を開き、今後の対応について話し合いを行った。
 集会には荻野、鳶尾地区などから住民53人が参加、花上義晴さんがこれまでの経過説明を行い、問題点などを整理したあと、出席者が次々と意見を述べた。
 意見の中には「議会で可決されたとはいえ、このまま諦めてしまうのは問題だ」「議会では道路の廃止、付け替えについて十分な審議が尽くされたとはいえない」「行政不服審査、監査請求、行政訴訟などの手を考えるべきだ」「環境アセスのための市長の意見書と実際の行動に矛盾がある」などの意見が出され、今後、「西山を守る会」(花上義晴代表)を結成して、反対運動を盛り上げていくことを確認した。
 同会では今後、学習会やフィールドワークを重ねながら、広報紙などを発行して運動を広げていく考えだが、まず手始めに「市道が通っている西山に登って現地を調査しよう」と、1月25日午前「西山登山」を実施する。参加は自由。希望者は午前10時荻野公民館前に集合する。問い合わせは同会の荻田さんへ。TEL:241・8990番。

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 話の花咲く茶会が年の瀬の民家に120名  水上寛裕(日本ペンクラブ会員)

 あわただしい世相であり、それも去年の年の瀬の迫る12月26日のこと。普通の民家に120名もの人が集まっての「手打ちそばといっぷくのお茶で語る会」が開かれた。いまどき驚いた光景。主催は裏千家茶道教授・足立原宗智(三紀子・愛川町中津3628)の同会である。
 和風の印象深いそこの同家の門を入ると、「在釜(ざいふ)」と墨書した木の札がかかっていた。在釜とは釜をかけ茶の湯の用意が出来ていることを伝えるという意味。
 こういう茶会となると通常は、その格式なりで一般にはどうも敬遠されがちである。何とか日本の伝統美を多くの人に知ってもらうことはできないものか。日頃からそれが宗智さんのテーマであった。
 そこで「手打ちそばと…」と親しみの茶会の実現となった。はたして人は集まるだろうか心配だったという。
 午後2時\同8時まで、1席50分、平均20名で6回を消化、120名を越してしまった。茶の湯の生徒さんをはじめ、その友人知人、抹茶大好きという男子高校生一家、パート帰りの主婦、役所関係、建設会社の社長、営業マン、まったく茶を知らない老人仲間、子連れの近所隣の父母や教員など多彩。
 応接間に入って、そば膳を食べて、それから飛び石づたいの露地を通って茶室へ。陽が落ちてからは行燈(あんどん)がともり、引き締まった寒い冬の庭のそこかしこにぬくもりが。
 本来は正客がいて亭主がいてと席順も難しいが、宗智さんが「どうぞどうぞご自由に」と気軽に声をかけて、「ああいいもんですなあ」。床の間の香合はふくろう。うずくまるの花入には侘助椿(わびすけつばき)が。冬なごみという銘のお菓子を味わい、「もういっぱい貰いたい」という声も出て、何度もお替わりの茶が。冗談から話に話が咲いて格別の茶会となった。みな帰るのが惜しいよう。一期一会の妙。
 茶を運ぶ人の中に小学6年生の中村萌さん、幼稚園児の横田祐季君が「お茶をどうぞ」「お下げします」と、その姿の見事な緊張美が、けなげで何とも愛らしかった。なぜにこんなに素直に人前に出て自然の立居振舞いが出来るんだろう。宗智さんは「幼い子ほど習得が早いんです」という。
 小さな文化運動の一環として、人間関係の希薄になっている現代に、この冬の愛川町にぽっと咲いた心の集いは、それぞれに忘れがたいドラマとなった。茶の湯の普及はかくあれと、宗智さんの念願が実った談笑の集いであったと思う。
 点前をする姿の美しさ。これを手伝う同会の生徒たちの表情のいいこと。それは修練によるものか、気高いものがあった。

  

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橋のある風景など描き友好都市横手で個展 飯山の榊原勇城さん
 厚木市飯山在住の画家榊原勇城さん(66)が、2月12日から17日まで、厚木市と友好都市の横手市で個展を開催する。
 榊原さんは、平成8年2月、厚木市が毎年公募している横手市の「ゆきまつり訪問団」に初参加、水と緑豊かな街並みや人情味あふれる市民とのふれあいに引かれ、これまで6度同市を訪れている。この間、両市で、互いの街の風景を描いた個展を開くなど、市民の立場で精力的に友好を深めている。
 横手市での個展は、平成8年と13年に続いて3回目。今回も雪まつりの時期に合わせ、市役所隣の「横手ふれあいセンターかまくら館」で開く。
 作品は1昨年同市を訪れた際にデッサンした街並みなどを昨年完成させた水彩画で、ライフワークである「橋」のある雪景色を中心に、6号から20号までの作品10余点を展示する。
 榊原さんは2月15日から17日までの「雪まつり訪問団」の団員として同市を訪れるが、「3年前の個展では、厚木市民の目を通して描いた風景に、ふるさとの良さを再発見できたと横手の皆さんから好評をいただいた。今回も個展を通して多くの人と交流し友好を深めたい」と話している。

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観光いちご狩り始まる
 厚木市内のいちご栽培農家で、今年も1月上旬から食べ放題の「いちご狩り」が始まった。同市内のいちご栽培農家は20戸で、栽培面積は2・5ヘクタール。このうちの8戸が「厚木観光いちご狩り組合」(清田正組合長)を組織、毎年シーズンになると、いちご狩りを企画している=写真。
 厚木のいちごは昭和12年ごろ、園芸作物の先駆けとして、相川地区で石垣いちごの栽培が始まり、現在は相川・睦合地区の栽培農家が「章姫(あきひめ)」「鬼怒甘(きぬあま)」「女峰(にょほう)」「さちのか」などの品種を栽培している。
 
 いちご狩りの季節は1月上旬から5月下旬まで。毎年市内外から延べ1万人以上の観光客が訪れ、もぎ取りを楽しんでいる。清田組合長は「今年も生育は順調。甘くて味の良いいちご狩りが楽しめます」と話している。
 入園料は30分食べ放題・ミルク付きで、1月が大人1500円、5歳未満700円、2月が大人1300円、5歳未満600円、3月が大人1200円。5歳未満600円。開園時間は9時から15時。問い合わせTEL:223 0111番。

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伝統行事の伝承にと市役所ロビーにだんご飾り
 1月7日、厚木市役所1階ロビーに「だんご飾り」がお目見えした。だんご飾りは、厚木北公民館文化振興事業の一環として地域の歴史などを調査研究している北地区文化振興会と婦人会のメンバーが飾ったもので、昭和57年から毎年行われている=写真。
 会員たちは、7日の朝から米の粉で作った白、ピンク、緑のだんごと縁起物の鯛、大判、小判などの飾りを市役所に運び、高さ3メートルのヤナギとミズキの枝に飾り付けを行った。
 養蚕が盛んだった昔の厚木地方では、地元農家が、小正月にまゆに見立てた「まゆ玉」という米を粉にひいただんごを飾って養蚕の豊作を祈願した。今では飾りつけを行う家が少なくなり、伝統行事が消えてしまわないようにと、同会が14日まで市役所のほか、厚木北公民館、児童館、小学校に飾って伝統行事の伝承を市民に伝えた。
 中丸武夫会長は「地域の伝統をこれからの時代に伝えていくのは私たちの務めです。特に今年は全世界の平和と幸福を願い数多くのだんごを飾りつけました」話していた。

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愛川で初の本格的ハーモニカコンサート 1月24日愛川町文化会館
 1月24日愛川町文化会館で、世界的なハーモニカ奏者・和谷泰扶や竹内直子、深沢剛、オジョイメイトリオなど地元のハーモニカアンサンブル7組が出演するハーモニカコンサートが開かれる。
 同町でハーモニカ教室やライブなどを行っているハーモニカ専門店ブックスコアの岡本吉生さんが、「ハーモニカ音楽のすばらしい魅力にふれていただきたい」と開催するもので、これだけのハーモニカ奏者が愛川町に集うのは初めて。
 和谷泰扶は、クロマチックを主とした世界的なハーモニカ奏者。オーケストラとの共演など精力的な演奏活動を続け、楽器としてのハーモニカの可能性にチャレンジし続けている。
 竹内直子は、福音ハーモニカの岩崎重昭に師事、94年からドイツに留学して、和谷泰扶に師事した。97年の国際ハーモニカコンクールで第1位、その後プロの演奏活動を展開している。
 またテンホールズハーモニカ奏者の深沢剛や日本の代表的なコードハーモニカ奏者・大矢博文を中心におじ、おい、めいのトリオでで編成したオジョイメイトリオ、大内友哉、井上初美、有野剛など厚木の若手3人によるハーモニカアンサンブル・Hサンプチュアス、このほかトリプルワイズ、ザ・フーフー、愛川ハーモニカアンサンブルなどの実力派が出演する。入場料は前売2000円。申し込みはブックスコアへ。TEL:286 3520番。

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