第649号(2004.11.15)

郷土資料館特別展「養蚕書と出版文化」 11月12日〜12月12日

  厚木市寿町3丁目の市郷土資料館で、郷土資料館第7回特別展「養蚕書と出版文化―養蚕文化はどう伝わったのか」が、11月7日から始まった=写真。
 養蚕はかつての厚木の主産業であったばかりでなく、明治時代の国を支えた日本の基幹産業でもあった。昭和35年には1,500戸あった厚木市内の養蚕農家は現在9軒だけになってしまったが、かつては「厚木音頭」にも歌われるほど厚木の人々にとって養蚕は身近な存在であった。
 古くは鎌倉時代に書かれた養和2年(1182)の『吾妻鏡』に、飯山金剛寺の記録として「蚕養(こかい)」の文字を見ることができるが、養蚕が急激に発展したのは江戸から明治期にかけてで、近代に入ると、繭市場や繭検定所などの施設が置かれ、養蚕が厚木の主産業であったことを物語っている。
 また、遺伝学の立場から養蚕を研究し世界的な業績をあげ、『蚕種論』を著した外山亀太郎、タイの養蚕業に尽くした永島安太郎など日本を代表する傑出した人物を輩出したのも厚木であった。
 特別展では厚木市文化財保護委員の飯田孝氏(61)が収集した資料の中から、養蚕書や浮世絵などの関連資料約200点を展示、養蚕に関する技術書が果たした役割や江戸時代の関連版本から養蚕知識がどのように普及していったかを紹介している。
 飯田コレクションには、板行されたことが明らかな近世養蚕書58種のうち35種があり、収蔵比率は60%を占める。また、明治以降に初めて刊行された10種のうち5種を所蔵するほか、多数の錦絵、図録、翻訳本、掛軸なども所蔵している。
 展示会場は、1厚木と養蚕2養蚕書と江戸の出版文化3新しい養蚕書と海外へ伝わる養蚕文化4養蚕書、掛軸と養蚕信仰の広がり5あつぎの養蚕道具\など6つに分類され、最古の養蚕書といわれる元禄15年(1702)の「蚕飼養法記」や経験的養蚕技術から科学的養蚕法を記した正徳2年(1712)の「蚕養育手鑑」、全国に普及した最もポピュラーな養蚕書であった享和3年(1803)の「養蚕秘録」のほか、慶応3年(1867)の養蚕を題材とした双六「奥州本場養蚕手引寿語録」や国利の浮世絵「かゐこ養艸」、葛飾北斎の「北斎漫画」、初代歌川広重の「かゐこやしない之図」など錦絵や粉本なども展示されている。
 また、1848年にパリで刊行されたホフマン訳の「養蚕秘録」、明治以降の養蚕書である「養蚕問答」や、養蚕神「稚産霊大神」「馬鳴菩薩」などの掛軸、養蚕の道具なども展示されている。12月12日まで。
 なお、特別展に合わせ11月14日から郷土資料館1階の学習室で、外山亀太郎の功績などを学習する関連講座も始まった。講座はこの後11月20日「養蚕を守護する神仏―金色姫の物語」(小島瓔禮琉球大学名誉教授)、12月4日「おもちゃ絵で遊んで養蚕を知ろう」、12月5日「浮世絵と養蚕書の世界」(湯浅隆駒沢大学助教授)が予定されている。時間はいずれも午後14時から15時。問い合わせはTEL:225・2515番。

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シルバー人材センターで正月用しめ縄飾り製作

 厚木市松枝の社団法人厚木市シルバー人材センター(藤井信義理事長・1207人)に登録している、会員たち手作りの「正月用しめ縄飾り」の受付が、11月1日から始った。
 同センターでは昭和61年の高齢者事業団の時からしめ縄飾りの製作に取り組んでいる。原料となる稲ワラは同市下川入の水田を借りて植えた喜寿モチで、穂が実る前に青刈りして乾燥させたもの。
 センターに登録している古内昭五郎さん(74)=
写真、苅宿ウメ子さん(85)ら4人の会員が9月中旬ごろから作り始め、長さ70センチの玄関飾りのほか120センチのごぼうじめ、一文飾り、輪飾り、自動車飾りなど12月中旬ごろまでに合わせて、3,450本を製作する。昨年からは若者に人気の玄関リース飾りの製作も手がけ、今年は直径25センチと16センチのリースを100本作る。神社や企業からは3メートルの長さのごぼうじめの特別注文もあるそうだ。
 値段は市価の約半値。玄関飾りで2,800円、ごぼうじめ1,500円、輪飾りや一文飾りは100円で、玄関リースは大が2,500円、小1,500円となっている。毎年注文する市民も多いが、ここ数年は売れ残り気味だという。例年通り12月26、27の両日午前9時から午後4時までセンターで引き渡しするが、今年は2,500円以上お買い求めの方で、依知、睦合北、荻野、小鮎、玉川、相川、森の里地区に限って会員が配達することにした。予約申し込みは同センターへ。TEL:224・9585番。

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荻野は民権のメッカ  戒善寺に自由民権碑建立 

 今年は明治の自由民権運動から数えて120年目に当たるが、民権運動のメッカであった厚木市荻野の地に記念碑を建立しようと民権家の子孫や研究者の手で、同市中荻野の戒善寺に「自由民権の里」記念碑が建立され、10月31日序幕式が行われた。
 明治初期、荻野を中心とする厚木地域は県下でも最も民権運動が盛んだった地域で、難波惣平、難波春吉、佐伯十三郎、小宮保次郎、大矢正夫、天野政立など30人を超える民権家を輩出した。
 記念碑の建立は今年の4月、研究者の大畑哲さんが、民権運動120周年を記念して先祖の偉業を顕彰し、その足跡を次代に伝えていこうと子孫など関係者に呼びかけ、建碑実行委員会を組織して進めてきたもので、民権運動ゆかりの地である戒善寺の協力を得て記念碑を建立、合わせて記念誌を刊行することにした。
 序幕式には子孫や関係者など100人ほどが出席した。戒善寺住職による読経の後、関係者が見守る中、民権家神崎正蔵の子孫が序幕を行った=写真。 
 記念碑は高さ約170センチ、横100センチの大きさで、荻野の地が活動家を多く輩出したことから「自由民権の里」と命名され、裏には厚木・愛甲で活躍した民権家44人の名前が刻まれた。
 この後、実行委員会を代表して大畑哲さんが建碑建立にいたる経過を報告、子孫を代表して難波春美さん、檀家代表の井上清さんが挨拶、早稲田大学の安在邦夫教授らがお祝いの言葉を述べた。本堂では資料展も開かれ、参加者した人たちは明治の先人たちの偉業を偲んでいた。

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元プロ野球選手招いて小学生を指導 神奈川工科大学
 11月3日、厚木市下荻野の神奈川工科大学グランド で、厚木市や伊勢原市、愛川町、清川村の少年野球チームを招いて、元プロ野球選手による野球教室が開かれた。
 同大学が主催する幾徳杯争奪少年野球大会の一環として行われているもので、今年で12回目。第1回大会からプロ野球選手による野球教室が行われている。今回の指導者は、元横浜ベイスターズの遠藤一彦氏と久保文雄氏、元ヤクルトスワローズの苫篠賢治氏、元千葉ロッテマリンズの庄司智久氏の4人。
 教室が始まる前に、遠藤氏が選手たちに「少しでも自分たちの野球技術向上のために頑張って練習に取り組んでください」と声をかけると、選手たちは目を輝かせながらコーチ陣に拍手を送っていた。
 教室では4人のコーチがそれぞれ投手や内野手、外野手に分かれ、ボールの投げ方や取り方、打ち方など基本的な動きを一人ひとりていねいに指導した=写真。
 参加した南毛利小学校6年で長谷スポーツ少年団の川島和也君は「普段と違う練習ができてよかった。プロの選手やコーチはやっぱりすごいと思います」と話していた。

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楽しく学ぶ理科教室 依知小で神奈川工科大教授が指導
 11月9日、厚木市立依知小学校で、市内にある神奈川工科大学工学部システムデザイン工学科の石綿良三教授による「理科教室」が開かれた。
 同大学が簡単な実験や耕作、体験を通じて楽しみながら学ぶことで、理科に興味を持ってもらおうと行ったもので、5年生3クラスが授業を受けた。
 当日は、石綿教授のゼミの学生6人も補助として参加、子どもたちと一緒に風船やドライヤーを使って、空気や水の流れについて指導した。子どもたちは工作をしながら流体力学を学んだり、体を動かしながら加速度運動などの物理学を学んでいた。
 同教授は「今の子どもたちはバーチャルな世界にふれることは多いが、実際の空気や水の流れなどの現象に気づく機会は少ないと思う。実際に体験することで多くのことを学び、将来科学に興味をもってくれればうれしい」と未来の科学者が育つ環境づくりを願っていた。
 なお、同大学では11月27日と12月4日、公募により小学4年生を招いた無料の体験型科学教室「ロボット電子工作」を実施する。

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  30周年市民朝市  県内朝市4団体や友好都市の物産も販売
 11月7日、開設30周年を記念した「市民朝市」が厚木中央公園で開かれ、およそ1万2千人の人出で賑わった。朝市には、友好都市の秋田県横手市や網走市の物産のほか、三浦、平塚、相模原、伊勢原など県内の朝市4団体が出店するなど、全部で38店が軒を連ねた=写真。
 9時30分の販売開始には、どの店先にも買い物を待つ来場者で長蛇の列ができ、正午前にはほとんどの店が完売するほどの盛況ぶりだった。
 旭町から訪れた田中フミさん(71)は、「大勢の人で活気にあふれていて驚きました。お店に並んでいる物もとても新鮮で楽しく買い物ができました」と話していた。
 市民朝市は昭和49年11月に旧厚木小学校跡地で始まったもので、開設当初は月1回の開催だったが、昭和51年に月2回、55年には毎週開催となり、市民の台所として定着している。今回で通算1,366回目の開催となった。

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楽しく学ぶ理科教室 神奈川工科大教授が指導
 11月2日、厚木市立戸田小学校(宮田幸紀校長・422人)の図工室で、厚木建築職組合(鈴木信男組合長)の大工さんを迎えて木工授業が行われ、教室内はノコギリで木を切る音や金槌で釘を打つ音が絶え間なく響いた=写真。
 「まなびをひらく」推進事業の一環として、さまざまな分野の専門家を招き、学習指導の充実を図っている同校が、3年生の木工の授業で、大工さんから道具の使い方などを学ぼうと開いたもの。
 指導に当たったのは同組合に所属する大工さん5人で、それぞれ45分ずつ3年1組と2組を指導した。
 ほとんどの子どもたちはノコギリを使って木を切ったり金槌で釘を打つのは初めて。家や船、動物など思い思いの作品づくりに悪戦苦闘する子どもたちに、大工さんさんたちは優しくノコギリや金槌の使い方を教えていた。
 授業を終えた子どもたちは「金槌で指をたたいて痛かったが、すごく楽しかった」と笑顔で話していた。
 同校では今後、目が不自由な方を招いた講演や大学生を招いてピアノや弦楽器、和楽器などの音楽鑑賞会なども予定している。

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晩秋のあつぎ路を完走 あつぎマラソンに1,9796人が参加
 10月31日、04あつぎマラソンが同市中荻野の荻野運動公園競技場をスタート・ゴールに行われた。コースは競技場を出た後、宮の里の住宅地やアップダウンがきつい飯山地区の県道や荻野地区の国道などを走る変化に富んだコースで、参加した選手は晩秋の澄み切った空気の中、厚木路をさわやかに駆け抜けた。
 午前9時30分、小学3、4年生1キロの部のスタートに皮切りに、小学5、6年生男女1.5キロの部、10時には10キロの部とハーフマラソンの部の参加者1,400人が一斉にスタート、競技場から沿道に飛び出していった=写真。
 この日はスポーツの秋にふさわしい絶好のマラソン日和となり、選手たちには沿道にかけつけた市民から大きな声援がおくられていた。
 大会は経費節減や参加賞の充実を図るため、2年前から有料の大会となったが、参加者は年々増え続け、今年は昨年よりも440人多い1,979人の参加となった。
 優勝者は次の通り(敬称略)。▽1キロ小学3、4年生男子の部/田畑耀▽同女子の部/高原侑里▽1.55キロ小学5、6年生男子の部 /平山健太▽同女子の部/雨宮みずき▽3キロ中学生男子の部/杉本巧▽同女子の部/村上愛▽10キロ男子29歳以下の部/遠藤文康▽同30歳代の部/北重治▽同40歳代の部/細谷文男▽同50歳代の部/星野力▽同60歳代の部/佐々木勝二▽10キロ女子39歳以下の部/佐々木律子▽同40歳以上の部/鈴木秀美▽ハーフマラソン男子29歳以下の部/服部雄亮▽同30歳代の部/熊谷真樹▽同40歳代の部/小林伸吉▽同50歳代の部/佐藤一夫▽同60歳以上の部/大塩東洋一▽ハーフマラソン女子39歳以下の部/新倉麻貴▽同40歳以上の部/中山光子。

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手作り衣裳でハローウィン 鳶尾1丁目子ども会
 10月31日、鳶尾1丁目子ども会(黒木由美会長・65人)の児童50人が、キリスト教の万聖節(11月1日、天国の諸聖人を祭るキリスト教の祝日)の前夜祭である「ハローウィン」を行った=写真。
 集合場所の自治会館には、地域の老人会が昨年とれた種を蒔いて1年間大事に育てたカボチャの顔をくりぬいたランタンが飾り付けられた。子どもたちは思い思い手作りの衣裳で魔法使いや悪魔に変身、日が落ちた午後5時30分、10グループに分かれて自治会館を出発、自治会内の60軒の家を訪問した。
 
 玄関にカボチャのランタンの火が灯る家を訪れると、子どもたちは大きな声で「お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ」と声をそろえて呼び鈴を押すと、出てきた家主から「とてもきれいな衣裳だね」と褒められ、両手に持ちきれないほどたくさんのお菓子をもらって喜んでいた。参加した子どもたちは「とても楽しかった」とうれしそうに話していた。
 黒木会長は「ハローウィンは今年で3回目。毎年好評で、子どもたちも地域の皆さんをはじめ、異なった学年の子どもたちと交流ができ、有意義な時間を過ごしている。これからも続けていきたい」と話していた。

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自然を守りながら収穫の喜び味わう里山マルチライブプラン

 地域の人たちや環境ボランティアと連携して、里山を保全していく厚木市の「里山マルチライブプラン」事業の一環として行われている米作りの脱穀作業が11月7日、同市上荻野の棚田で行われ、約30人の市民が参加した。
 この日は6月の田植えから数えて6回目の作業で、脱穀機2台を田んぼに持ち込んで、10月に稲刈りして掛け干ししておいた稲を脱穀機にかけた。稲を運ぶ人、脱穀機を操作する人、わらを運ぶ人などそれぞれの作業を役割分担して手際よく行われたが、完了するのには丸1日かかった。

 水田はイノシシに荒らされたり、掛け干し後はスズメの餌になったりしたが、約3,000平方メートルの水田からは、予想以上の収穫が期待できた。次回の活動日にはみんなで作った米を味わうことになっている。参加者は「この里山の環境を守ることが一番の目的ですが、それでもこんなにたくさんの米が収穫できてうれしい」「回を重ねるごとに参加する仲間と親しくなれて、活動がどんどん楽しくなりました」と話し、収穫の喜びと活動の充実感をかみしめていた

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中学校選択制 96人が申請
 中学校の選択制導入に伴い、厚木市教育委員会は新たに中学1年生(現在の小学6年生)になる2,085人の児童を対象に申請を受付けていたが、11月4日、その申請結果をまとめた。
 それによると受入上限枠490人に対し96人の申請があった。内訳は厚木中24人、玉川中20人、睦合東中19人、南毛利中、藤塚中各9人、その他の中学校15人となっている。なお、東名中、相川中の申請は0人。
 選択制の申請による中学校転出状況は、依知中22人、南毛利中16人、睦合中・東名中各12人、林中8人、その他の中学校26人の転出となっている。
 申請の主な理由は部活動が32人、友人関係(友達と一緒に通学したい)が32人、現在の就学校より距離が近いなどの通学距離が12人となっている。
 市教委では、受入上限人数を超えなかったため、12月下旬保護者宛に希望した中学校を就学校とする予定の通知書を発送する。

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