第651号(2004.12.15)

市道の廃止・付け替えは違法―「公益性ない」  西山を守る会が住民監査請求 

監査請求の中身について写真を示しながら説明する「西山を守る 会」の花上義晴代表(左)  市長に契約解除と現状回復求める
 厚木市中荻野の高取山の採石増設計画に反対している市民団体「西山を守る会」の花上義晴代表ら101人が12月6日、市が行政財産である高取山の市道(1,281メートルの尾根道)I―705号線を廃止して付け替えた行為は、一企業に対して便宜をはかっただけで何ら公益性がなく、道路法と地方自治法に違反するとして、市監査委員に対し住民監査請求を行った。
 請求では、市と採石業者が締結した土地交換契約書にもとづく財産の処分は、違法な財産の処分管理に当たるので、契約を解除するなどして契約締結前の現状に戻し、市が蒙った損害を回復するよう求めている。
 同市は昨年9月議会に、採石業者の増設計画にもとづいて出された「市道路線の付け替え申請」を受けて、高取山の市道を廃止して付け替える議案を提出したが、議会は地元説明が十分でないなどの理由でいったんは継続審議にした。守る会も昨年12月議会に、廃止付け替え議案の否決を求める陳情を提出したが、議案は賛成多数で可決された。
 市は今年7月13日、採石業者と土地の交換契約を締結、普通財産となった市道は廃止され、高取山ふもとにある業者所有の山林(5905.39平方メートル)に付け替えられた。
 道路法第10条1項によると、「市長は市道について、一般の交通の用に供する必要がなくなったと認める場合、廃止することができる」とある。請求では、「西山の市道は尾根道として八菅修験の歴史的コースであり、発句石など郷土学習資料の宝庫として昔も今も好学の士の足跡が絶えず、ハイキングコースとしても市域はもちろん広く首都圏から登山者が訪れている。市が交通の用に供する必要がなくなったとして廃道にしたのは大きな事実誤認であり、道路法に違反した違法な処分である」と主張している。
 また、一企業の利益のために普通財産を処分した行為は、「厚木市財産の交換等に関する条例」第2条1項「本市において公用又は公共用に供するため、他人の所有する財産を必要とするとき」とする規定に違反するほか、普通財産の処分はその財産の市場価値によってなされるべきで、採石業務を30年にもわたって行うという商品価値があるにもかかわらず、等価交換とするのは経済価値を無視したやり方で、地方自治法第2条14項と地方財政法第8条にも違反するとしている。
 守る会では、廃止・付け替えされた市道は、市の日常管理の怠慢を示すものでもあり、「地方公共団体の財産は常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に運用しなければならない」とする地方財政法第8条にも違反するとしている。
 採石業者は、現在採掘している飯山側の事業区域が完了するため、新たに荻野側29・3ヘクタールのエリアを30年間にわたって採石する増設事業を計画している。採石量は1日当たり10トンダンプ500台分に相当するもので、海抜600メートルある高取山の稜線が、約200メートル削られる大規模開発だ。
 監査請求の審査結果は、60日以内に請求人に通知されることになっており、花上代表は、「行政訴訟も視野に入れており、結果を見守りたい」と話している。

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本場NYのプロと共演  聖歌隊に市民132人が参加―ゴスペルコンサート    
 厚木市文化会館で12月18日に開かれるゴスペル・コンサートに、市民132人がクワイヤー(聖歌隊)として出演、本場ニューヨークのプロと共演する。
 コンサートは厚木市文化振興財団が主催して、本場ニューヨークの「N・Y・ハレルヤ・カンパニー」を招いて開くもので、この中の2曲を一般参加の市民が聖歌隊として団員と一緒に歌う。
 同財団が10月に聖歌隊を募集したところ、大人122人、子ども10人の合わせて132人の申し込みがあった。参加者は、出演メンバーの一員であるモーリス・リンチさんの指導をうけ、12月3日から10日まで行われた4回のワークショップで特訓を積んだ=
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 参加者の中には家族や夫婦、友達同士といった取り合わせも多く、最年長で参加する66歳の男性は、「声を出すことがあまりないので、思いっきり声を出して応募しました。ゴスペルはノリが良くて、歌っているととても楽しい。本番でも大きな声を出して頑張ります」と意気込んでいる。
 聖歌隊が歌う曲は、「Ineed you to Survive」「I Go To The Rock」の2曲。中でも「I need you to Survive」は、9.11ニューヨークの自爆テロ事件があった後に書かれた曲で、モーリスさんは「この歌には ”私はあなたが必要です。あなたは私が必要です“という歌詞から始まるように、お互いがお互いに思いやる心を持って、世界は1つなんだというメッセージが込められています。日本の皆さんにもぜひ歌詞に込められた思いの心でこの曲を歌ってほしいと思います。ゴスペルは年齢や国境を問いません。本番でも楽しく歌ってほしい」と話している。入場料はS席3,500円、A席3,000円。問い合わせは同財団へ。TEL:224・9999番。

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クリスマスコンサートでハンドベル演奏 厚木市立病院

 12月7日午後5時15分から、厚木市水引の市立病院1階外来ホールで、クリスマスコンサートが開かれた=写真。
 コンサートは入院患者などにクリスマスの雰囲気を楽しんでもらおうと、院内で活動しているボランティアグループ「ボランティア21」(根岸美穂代表)と同市立病院が主催したもの。同市関口の昭和音楽大学音楽療法コースの2年生を中心とする22人を招いてハンドベルの演奏と歌を披露した=
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 コンサートでは「きよしこの夜」、や「ホワイトクリスマス」などクリスマスにちなんだ10曲が演奏された。
 会場には美しいハンドベルの音色と歌声が響き渡り、曲目が終わるたびに会場を埋めた入院患者や見舞客から大きな拍手が送られていた。
 演奏を聴いていた患者は「透き通るような音色ですばらしい演奏でした。楽しい気持ちになりました」「知っている曲ばかりだったので、一緒に口ずさみました。こういう機会はありがたい」と話していた。
 演奏した昭和音大二年生の前場由香利さんは「たくさんの人たちの前で緊張しました。でも皆さんに喜んでもらえてうれしい」と笑顔で話していた。

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本厚木周辺で立て看板など撤去活動  厚木商議所
 12月3日、本厚木駅周辺で、厚木商工会議所が同駅周辺の5つの商店会や厚木市と共に、道路などに置かれた違反屋外広告物の撤去やごみ拾いを行った=写真
 同商議所が「厚木TMO青少年の健全育成に資するまちづくり推進事業」の一環として、自分たちのまちは自分たちの手できれいにし、街環境の保護や商店街のイメージアップを図ろうと実施した。午前10時30分、約40人の参加者が本厚木駅北口広場に集合。3班に分かれて1時間30分ほど違反立て看板や張り紙などの撤去、ごみ拾いを行った。参加者は「一人ひとりが意識を持ち、みんなでまちをきれいにしていくことが大切です」と話していた。
 TMOとは「まちづくりを企画・調整・実施する機関」で、同会議所が、平成15年に厚木市から認定を受け、「厚木TMO構想」を展開している。

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  20カ国200人の外国人が交流深める  日本語フェスタ
  11月28日、あつぎパートナーセンターで、「日本語フェスティバル」が開かれ、厚木市内の外国籍市民20ヵ国約200人が参加して、お互いの文化への理解を深め合った。市と厚木日本語ボランティアの会、厚木日本語クラスの会が主体となって実施したもので今年で9回目。
 お国自慢や日本での生活、文化の違いなどを日本語で話すスピーチの部には、韓国、中国、ペルーなど6カ国の外国籍市民が発表に立った。「日韓バス事情」について発表したキム・テウさんは、「日本のバスはラジオが流れていなくて、とても車内が静か」「お年寄りに席を譲ったら座ってもらえなかった」などのエピソードを披露していた=
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  交流会では、民族舞踊の披露や母国の伝統料理を持ち寄って振る舞ったり、日本の伝統文化書道を体験するなど、国や人種の壁を超えた多彩な交流が繰り広げられた。

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ファンタ爺さんの日本語レッスン  依知南小学校
  厚木市立依知南小学校(山本玲子校長・児童数529人)で11月26日、元NHKのアナウンサー・塚越恒爾(つねじ)さんを講師に招き、「ファンタ爺さんの日本語レッスン」と題した日本語講座が行われた。
 これは、「まなびをひらく学校づくり推進事業」の一環として、児童に正しい日本語の文法や発音、使い方、話力などを指導することを目的に、5・6年生を対象に行われたもの。
 講座では、塚越さんが「笑い方、笑い声にもいろいろあるんだよ」と自ら大きな声で発音の違ういろいろな笑い声を発声したり、「おなかから大きな声を出してみよう」などと、身振り手振りではっきりと相手に伝えるための発声方法を指導した=
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 最初は大きな声を出すことに照れていた児童も、授業の後半には大きな声で塚越さんの問いかけに答えていた。
 山本校長は「子どもたちがコミュニケーションに大切な話し言葉を身に付け、自分の気持ちをしっかり伝えられるようになってほしい。自ら話すことの意識を持つきっかけになってくれれば」と話していた。

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未来の車はどんな車 毛利台小児童が発表会
 12月1日、厚木市温水の湘北短期大学(山田敏之学長)で、オーストラリアから訪れた留学生の交流プログラムの1つとして、日本の伝統文化への理解を深めてもらう「十二単講座」が開かれた。
 留学生は同短大と姉妹校の提携をしているオーストラリアのニューカッスル州立大学と、国立オーストラリアン・カソリック大学の学生25人(うち男性8人)で、11月26日に来日した。
 「十二単講座」には同短大の学生150人も参加、着物学校の講師を招いて日本の着物についての説明を受け、展示された十二単を見学した。この後、一人ひとり着付けをしてもらい、あでやかな着物姿になった留学生たちは、うれしそうに着物を見せ合ったり写真に収まったりして、日本の民族衣装の着心地を確かめていた=
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 講座終了後は、同短大の学生たちが企画・運営して日本の伝統遊びを披露、羽根つきや折り紙などを教えてもらったり、絵馬に新年の願い事を一緒に書いたりして、学生同士のなごやかな交流が繰り広げられた。
 また、7日は厚木市の指定無形民俗文化財「相模里神楽」を鑑賞、留学生4人と同短大の学生1人も出演して、「天孫降臨一日向の高千穂の峰の場」が上演された。公演後は、里神楽の面、衣裳、道具などが展示され、留学生たちは衣裳を着たり面をつけたり、道具にふれるなどして里神楽の触りを体験した。

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屋敷周りを3万個の電球で装飾 厚木市下古沢の加藤年一さん
 厚木市下古沢704の加藤年一さん(64)方の屋敷を飾る豪華なイルミネーションが師走の夜をライトアップ、訪れる人の目を楽しませている。
 イルミネーションは屋敷の玄関正門=写真上=を中心に延長100メートルのフェンスと入口の門扉、門柱、そして高さ4メートルのもみじやしだれ桜などの庭木に、赤、青、緑、黄色など3万個の電球を飾り付けた。今年は来年、厚木市が市制施行50周年を迎えることから、「あつぎ50」と題した1文字2メートル大の文字をブロック塀に貼り付け、光の文字をくっきりと浮かび上がらせている=写真下。
 イルミネーションを始めたのは30年ほど前。当時、海外勤務だった加藤さんは、スウェーデンのストックホルムに駐在していたとき、クリスマスになると空港や公共の建物、民家を飾るイルミネーションの美しさに感激、帰国したらぜひ自分もやって見ようと思ったという。
 自宅が下古沢のたんぼの中にある高台で、周囲に民家がなく、敷地約3千平方メートルは周囲が道路に囲まれていて絶好のロケーション。最初は庭木1本から始めたが、門柱や門扉にまで広げ、左右のフェンスを含めて屋敷全体を飾るようになったのは4年前からだ。
 始めた当初は、地元に電球を売っている店がなく、浅草まで買いに出かけた。1度使った電球は保存しておくが、切れて使用不能になるものもあるため、毎年1割程度は補充する。今年は「あつぎ50」の文字のほか横浜ベイスターズの野球人形を取り付けたため、例年より約8千球プラスした。
 イルミネーションは庭木の落葉を想定して、フェンスとの組み合わせを考えながらレイアウト、光の芸術をイメージする。今年は11月20日から飾り付けを始め、27日には近所に住む甥8人が来て仕上げを手伝ってくれた。電球が全部点灯するかをチェックし、イメージ通りにいかない時は修正するという。
 「口コミで広がり、最近は相模原や座間、綾瀬、伊勢原方面からもわざわざ見物に来る人がいます」と加藤さん。地元の人からは「子どもたちの夢。感動を与える地域の名物としていつまでもやめないでほしい」と頼まれている。宮ヶ瀬のクリスマスツリーとともに師走の観光コースの一つだ。点灯は例年は25日のクリスマスまでだが、今年は市制50周年を記念して、近所の神社などに初詣客が見える元旦の明け方まで点灯するという。

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区内の歴史と記録まとめる  愛川町細野区100年史
 愛川町細野区(佐々木力夫区長・19町内会)で、このほど住民自治組織としては珍しい「100年史」=写真=を刊行、会員932人に配布した。
 同区は明治35年(1902)1月7日、細野区の母体である「細野壮友会」を設立、100年以上にわたって地域住民の自治組織としての道を歩んできた。平成2年の総会で、「100年史」の刊行が満場一致で決議され、この10年間にわたって残された記録や写真など資料の収集にあたってきた。
 同区の歴史は古く、半原台地を構成する細野台地からは、縄文式土器や敷石住居跡の遺跡が見つかっている。中世には小田原北条氏の幕下に入った内藤下野守秀勝が自然の地形を利用して防備した武士の居館「細野城」を築城している。江戸時代に入ると、江戸城御本丸御作事方となった矢内右兵衛高光など矢内家を中心に多くの宮大工職人が活躍した。また、桐生、八王子の絹の道を通って半原に撚糸業が伝わると、細野でも水車を利用した沢撚り屋がいくつも生まれた。また、仏果山を背景に山林では造林業が盛んとなり、戦後は国道412号バイパスなど交通網が整備され、平成に入ってからは宮ヶ瀬ダムが完成、細野区は新しい時代を迎えている。
 記念誌は細野の歴史から始まって、区の歩み、地名の由来、撚糸、宮大工、造林業などの産業の解説、災害や消防の記録、教育・文化の歩み、史蹟や区内の神社・仏閣なども紹介したほか、現在も続いている秋葉講など講の様子も収録した。このほか宮ヶ瀬ダムへの対応、建設省との交渉の記録、町への陳情や要望の記録などもおさめ、巻末には細野区年表をまとめた。
 いわば区の「風土記」ともいえるもので、佐々木区長は「先輩諸氏が数々の荒波を越えて刻んだ100年の歴史は単なる過去の記録ではなく、現在を知り、将来への手がかりとなる貴重な教科書。多くの方に読んでいただき細野区の歴史と現状を認識していただきたい」と話している。
 愛川町で自治会や区などの住民自治組織で「100年史」を刊行した例はなく、県下でも極めて珍しい。 A5判156ページ、一部カラー刷り。希望者には実費(送料込2,500円)で頒布している。問い合わせは佐々木さんへ。TEL:281・01496番。

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