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厚木市妻田西に住む小島すみさん(86)が、このほど、長年ほど書きためてきた随筆や小説、詩などを単行本にまとめ、『落ち穂』と題して自費出版した。
この22年間に「新作家」「農民文学」「民主文学」「文芸あつぎ」などの同人誌に発表してきた作品をまとめたもので、宮ヶ瀬ダムの建設工事中に落石事故で出稼ぎの夫を失った妻の悲しみをつづった「こだま」をはじめ、一族もので曾祖父・徳太郎が幕末に起きた荻野山中藩焼き討ち事件にかかわっていたのではないかという謎解きに挑戦した「沈め木」、従兄への思いを綴った「竹」のほか、折々にふれ花や世の移り変わり、時代などを詠んだ詩など16編が収録されている。
小島さんは昭和30年代に、農民文学の大家で厚木市名誉市民の作家・和田傳さんに認められて作家の道を志し、農業新聞や農業雑誌に小説を発表してきた。その後「農民文学」や「新作家」「いしずえ」「文芸多摩」などの同人誌に加わって自分の道を模索、昭和46年に初めての小説集『ひこばえ』、52年には『湖の音』、そして61年には宮ヶ瀬ダムの水問題を取り上げた社会派小説『病める水系』を自費出版した。
平成4年には随筆集『歳月のしおり』、その後もポケット詩集『押し車』『八十路まで』などを刊行している。創作集の刊行は『歳月のしおり』以来で、小島さんは「落ち穂のような作品を、残り少なくなった人生のしめくくりとして集めた」と話している。表紙絵は同市林に住む杉山勇さんが描いてくれた。 |
『落ち穂」はB6判102ページ。1部1,000円(送料別)。申し込みは厚木市妻田西1丁目7-11小島すみさんへ。
tel:222・4333番。 |
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