第690号(2006.09.15)

馬で横断2800kmの旅 中学生がモンゴルの砂漠と草原地帯を行く

前列左から大西君正雄君、中野海さん、高岡良助さん

モンゴルの草原を行く3人
 厚木市のNPO法人「国際交流は子どもの時から・アジアの会」(高岡良助代表・63)が企画した「少年は荒野をめざす・がんばれモンゴル・馬で横断2800キロの旅」に参加した、横浜市金沢区の中野海さん(13・並木中2年)と同市戸塚区の大西正雄君(13・南戸塚中2年)の2人が80日間の旅を終え、代表の高岡良助さんとともに9月5日帰国した。
 2人の中学生と高岡さんは、6月8日空路でモンゴル入り。現地で馬を購入し、乗馬の練習を行った後、ウランバートル東部のチョイバルサンを6月12日に出発した。ガイドには日本語を学ぶ現地の大学生を雇った。砂漠や岩山を通り抜け、全行程のほとんどはテントでの野宿生活だ。 晴れた日は38度、雨や雹が降ると10度まで気温が下がり、夜はうっすらと氷が張るほど冷え込むこともあった。
 埃と汗、垢にまみれ、砂嵐や強風、雷雨に遭遇しながら 1時間に5キロのペースで進むが、スタート時は馬と息が合わない高岡さんと大西君がたびたび落馬したり、荷物用の馬が暴れるため、荷車を買って運ぶようになるなど予期せぬ事態にも見舞われた。中間の砂漠地帯は草がないため、馬が骨と皮になるほど痩せてしまい、四脚をたたんで座り込むことも。ゴール2週間前には眠っている間に馬を盗まれたこともあった。後半は岩山で荷車が通れないところが続いたため、ラクダに切り換えて荷物を運んだ。期間中、調達した馬は10頭、ラクダ1頭、荷車1台だった。
 中野さんは「雨の日に風邪を引き、不安で日本に帰りたいと思った」、大西君も「来る日も来る日も同じ景色が続くので、飽きて眠くなってしまった」と横断の旅を振り返る。
 そうした過酷な旅でも、現地の人たちが、チーズやヨーグルトなどを差し入れてくれたほか、ゲルに泊まらせてくれた人もいて、その親切が何より嬉しかったという。出発してから80日目の8月30日、モンゴル西部のホブドで旅は終了、全員無事にゴールインした。
 6日、日焼けした顔で記者会見にのぞんだ中野さんは、「モンゴルに行く前は悪口を言われたりするとくよくよしていたが、今は何を言われてもへこたれなくなった」、大西君も「荷物を運ぶことなど日本でつらいと思ったことが、帰国してからは全然つらくなくなった」と満足そうに話していた。高岡さんは「800年前のチンギスハン以来の大冒険だった。過酷な旅に挑戦した2人の子どもたちの勇気、体力、精神力には本当に驚かされた。言葉の世界より実行がどんなに大きな意味をもつか体で体験できたと思う。心からほめてあげたい」とモンゴル横断の旅を振り返っていた。風見鶏06.9.15「言葉よりも実行」

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伊福部玲さんが厚木で初の個展  食器中心に存在感のある作品150点

 厚木市七沢に住む陶芸家・伊福部玲(いふくべれい)さんが、9月15日から20日まで飯山の「ギャラリー結(ゆい)」で、地元では初めての個展を開く。
 伊福部さんは学習院大学を卒業後、一時華道の道に進んだが、72年自宅のある世田谷の尾山台に開窯、独学で作陶を始めた。
 83年、厚木への転居を機に陶房も移転、窯は父方の先祖が明治初年まで因幡国一ノ宮宇倍神社の神官であった伊福部(いほきべ)にちなんで「五百城(いほき)窯」と名づけた。89年、七沢の山奥にある陶房庭に薪を燃料とする窖窯を設置、本格的な作陶を開始した。
 元東京音楽大学学長で数多くのオーケストラ曲のほか「ゴジラ」を初めとする映画音楽の作曲家として知られた伊福部昭さんは、実の父親。
 90年から、韓国や中国の福建省、浙江省の博物館、古窯、窯址巡りも始める。
 厚木に来てからは地元の多摩川公民館や七沢森林公園森のアトリエ、七沢沢更生ホーム、厚木西高校、七沢幼稚園、多摩川グリーンホームなどの福祉施設で陶芸指導やボランティアなどもつとめ、自宅では「七沢工房」を開設して陶芸教室も開いている。
 伊福部さんの作品の中では、釉薬を使わずに薪で炊き上げる「焼き締め」に定評がある。燃料の灰が作品にくっついて粘土と溶け合って釉薬になる色彩・模様はまさに絶妙。この焼き締めに魅せられて教室に通う根強いファンもいる。
 室町や鎌倉期に作られた越前の焼き物が好きだという伊福部さんのこだわりは、越前産の粘土。初めは越前焼きの工芸所の粘土を使っていたが、そのうち
納得いくものを調達しようと自分で探し求め、やがて上質の土に巡り逢うことができた。産地に野積みしておき、必要な時にトラックで運んでくる。上薬(うわぐすり)もほとんどは、燃料を燃やした後に残る灰を使ってオリジナルの釉薬をつくる。その作風は見かけのやわらかさとは異なって、荒々しく男性的な感じさえするが、食器などは使いやすくそれでいて存在感のある作品だ。
 85年以降、デパートや画廊の企画展を主に毎年のように個展を開いているが、厚木で行うのは初めてだ。今回は地元の人に五百城窯を知ってもらうための個展で、釉薬物が主だが、焼き締めも何点か出品する。皿や鉢物などの食器類、花器類、茶器類のほか、干支物の陶板など150点あまりを出品する。
 伊福部さんは「開窯以来、ずっと越前の土にこだわり、上質を求めて探し歩いたすえに現在の土に巡り逢いました。大地の豊饒さを抱く作品を味わっていただければ」と話している。時間は10時から19時まで。問い合わせはTEL247・7877番。

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愛川高校の「三増の獅子舞」北京公演が決定

 県立愛川高校が選択科目として取り組んでいる「三増(みませ)の獅子舞」が、財団法人地域伝統芸能活用センターの推薦を受け、9月21日から24日まで北京で開かれる「日中青少年伝統芸能交流」に、岩手県立雫石高校の「さんさ踊り」、熊本県の秀岳館高校の「和太鼓」とともに参加することが決まった。
  北京では伝統文化交流公演会や日中学生意見交換会のほか、中国北京国際交流文化祭パレードへの参加と舞の披露などを行う。また、中国高校生の修学旅行の神奈川への誘致のための県の観光紹介のプレゼンテーションや「心と心をつなごう神奈川あいさつ一新運動」の旗を持参し、中国の若者達と積極的にあいさつを交わすことにしている。
 「三増の獅子舞」は、300年前より愛川町三増地区の神社に伝わる奉納舞で、毎年7月20日頃、雨乞いや五穀豊穣を願って舞う一人立ち三頭獅子」と呼ばれる獅子舞の一つ。バンバ(老婆)に先導されて父の巻獅子、母の玉獅子、子の剣獅子の三頭が腹につけた太鼓を打ちながら踊るのが特徴だ=写真。
 現在22名の生徒が保存会の指導をうけ、週2時間の稽古に取り組んでいる。これまでに県や全国公演のほか、地域に根
ざした活動を地道に展開し、小中学校でも発表を行っている。生徒達は「保存会や地域の方々への感謝の気持ちを込め、一生懸命舞ってきます。今後も和太鼓や紙漉きの選択者とともに、伝統文化を守り伝えていきたい」と話している。

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厚木歯科医師会の摂食・嚥下診療が順調  2次障害者歯科診療所では県内初 

 厚木歯科医師会(水野修会長)が、新年度から同市中町の歯科保健センターで障害児を対象に始めた「摂食・嚥下機能発達支援治療」が順調に進んでいる=写真はモデル。
 同医師会は今年4月、同センター内に2次歯科診療所としては県内初となる摂食・嚥下機能発達支援治療科を開設、これまでに延べ20人が受診している。患者からは「むせが減って食事が安心して取れるようになった」などの声が上がっている。
 摂食・嚥下機能障害は、食物を誤嚥(気管に詰まらせるなど)する、飲み込めない、噛めないなど、食事を思うように取れない障害。場合によっては窒息や肺炎を起こし、生命に影響を及ぼすこともある。同医師会では障害者の歯科治療だけでなく、「食べる」という機能を含む口腔機能の健康保持を目的に、昭和大学歯学部の協力を得て診療を開始した。
 診療は月1回、10時から13時30分の間に行われ、一人につき1回約30分。患者が持参した食事を一口ずつ医師が与えながら、噛み方や飲み込み方の指導をしたり、食事を取る時の適正な姿勢などを指導しており、診療は常に予約でいっぱいだ。
 水野会長は「運動発達や知的発達の遅れなど障害のある子どもが、正しく食事ができるよう、また食べる機能の異常を改善できるように診療を行い、子どもの成長、発達を支援していきたい」と話している。

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緑から藍へ!  市民が藍の生葉染めに挑戦

 8月26日、厚木市七沢の七沢自然ふれあいセンターで、第2回ななさわ森の学校が開校した。講座は市民が充実した余暇を過ごし、心豊かな生活ができるようにと開設されたもので、当日は、公募で集まった市内在住・在勤の11人が、サラサ染色会を主宰する安斎蒼慶さんの指導で、藍の生葉染めに挑戦した。
 まずセンター内で育った藍を刈りとり、葉の部分だけをミキサーにかけ、それを布でこして藍液をつくる。次にあらかじめ糸で縛った絹のショールやハンカチを藍液に入れる。藍液は葉っぱの色の緑色だが、それに作品をさらしていると、徐々に藍の生葉特有のスカイブルーに染め上がっていく。
 安斎さんが緑色の藍液から鮮やかな色に染まった作品を取り出すと、参加者から感嘆の声が上がった。
 最後に縛った糸をほどき、作品を広げると、糸で縛ったところが白くなり、藍色との美しいコントラストが出来上が
る。藍の生葉染めはこの時期にしかも刈り取ってすぐにしか出来ない貴重なもの。参加者は思い思いの模様が描かれたオリジナルの作品を完成させ、「葉は緑で花もピンク色の藍から、あの鮮やかな藍色が出来るのは不思議」「今度は栗や山桜でも染めてみたい」と話していた。

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厚木中・森の里中  東関東吹奏楽コンクールに出場

 9月に行われる東関東吹奏楽コンクールへの出場が決まった厚木中学と森の里中学の吹奏楽部の代表が、8月24日、長谷川美雪教育長を訪問、出場報告を行った=写真。
 厚木中学校吹奏楽部は、8月11日に行われた神奈川県吹奏楽コンクール中学校A部門(演奏者50人以下)で、森の里中学校吹奏楽部は、8月9日に行われた県吹奏楽コンクール中学校B部門(演奏者35人以下)でそれぞれ金賞を受賞した。
 コンクールに出場する生徒たちは、「審査員がびっくりするような演奏をしたいと思います」「協力してくれたお父さんやお母さん、地域の方、さらに一緒に頑張ってきた仲間たちの思いを胸に頑張ってきます」と大会への決意を語っていた。
 長谷川教育長は「みなさんの気持ちが一つになった時、人に感動を与える演奏が生まれると思います。厚木市を代表して日ごろの練習の成果を発揮して頑張って来てください」とエールを送っていた。

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あつぎのまちづくりを身近に体感

 厚木市のまちづくりを見て、触れて、学んでもらおうと8月27日、「あつぎまちづくりフェア2006」が厚木中央公園で開かれた。
 フェアは「都市と交通」をメインテーマに、市が進める交通施策や、さまざまなまちづくりを紹介するもので、約20コーナーが設置された。市内の道路整備の状況をパネルや模型で紹介するコーナーや、連接バス、白バイ、ショベルカー、クレーンカーなどを展示して試乗もできる「はたらくくるまコーナー」のほか、無料で木造住宅の耐震診断が受けられる「住まいとまちの美観コーナー」などが設けられ、大勢の市民で賑わった。会場中央では、ミニSL乗車会も行われた。
 会場の公園に隣接する市役所第二庁舎16階には、市街地が一望できる展望コーナー=写真=が設けられ、眼下に広がる景色に来場者は「思ったよりもビルが密集している」「厚
木は自然に囲まれていて美しい」などと声を上げていた。

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四つ子茄子を収穫  妻田南の藤井さん

 厚木市妻田南の藤井妻次さん(79)の畑で、8月末、4つの実が連なった珍しい「4つ子ナス」が収穫された=写真。藤井さんは、「家族でおいしくいただきました」と収穫の模様を話してくれた。
ナスは、2つの房がくっついた形状で、一房にそれぞれ2つの実がなっている。大きさは17センチ×12センチで、重さは約180グラム。藤井さんは8月上旬、自宅前の畑になっている珍しいナスに気付き、収穫せずに成長を待ち、大きさが十分になった26日に収穫したという。
 藤井さん宅では、7、8年前にも3つの実が連なったナスが収穫されているが、4つの実が連なったものは今回が初めて。今年は、このナスのほかにも実から葉が生えたキュウリも収穫された。60年の農業歴を持つ藤井さんにとっても異例の事態で、原因について「分からない」と話していた。

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小中学生らが平和の尊さ呼びかける 平和のつどい

 平和の大切さを考えてもらおうと9月2日、厚木市文化会館で「平和のつどい」が開かれ、市民230人が、戦争と核兵器の廃絶を訴える中学生の声に耳を傾け、平和への誓いを新たにした。
 市の主催で同市友好都市交流委員会の協力で毎年行っているもので、今年で13回目。つどいの前半は8月に市が主催した「2006親と子で平和をハ考える旅・長崎」に参加した市内の小中学生3人が、長崎で被爆者の体験談を聞いたり、爆心地周辺を歩いてきて感じたことなどを一人づつ話した=写真。中学3年の村岡美紗都さんは「平和は願うだけでは実現しないので、長崎で見たり聞いたりしたことを友達に話し、一緒に考えていきたい」と訴えた。
 後半は世界52カ国で医療支援活動をしている医師の桑山紀彦さんによる「地球のステージ」の公演。大画面の映像とライブ演奏によるコンサート形式のステージでは、温暖化が進むケニアや津波で被害を受けたスリランカなどの様子をスライドで映し出しながら、語りと歌、演奏を
組み合わせ、そこで暮らす人達や子どもたちの様子を臨場感たっぷりに表現した。

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