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株式会社パルコ(伊東勇社長)は10月6日に開かれた取締役会で、平成20年(2008)2月末で、厚木市中町2丁目の「厚木パルコ」=写真=の営業を終了し、店舗を閉鎖することを決定したと発表した。
同社は平成17年度から「中期経営5カ年計画」をスタートさせ、収益構造の見直しが必要なビルについて抜本的な改革に取り組んできたが、厚木パルコについては平成16年度に減損損失を計上したことなどを踏まえ、運営の効率化、業態転換などの対応策を検討した結果、依然として店舗を取り巻く商業環境が厳しいものと判断、閉鎖することに決めた。
同店は厚木市中町2丁目B地区市街地再開発事業となかちょう大通りの地下道延伸事業を一体として整備した民間の商業ビルに出店、平成6年3月25日に開店した。若者向けカジュアル衣料やスポーツ用品、雑貨などをメインとした営業展開を図り、初年度の平成6年度は110億円を超える売り上げを記録したが、以後徐々に売り上げが減少、平成17年度の売上高は45億円に落ち込んだ。現在のテナント数は66店舗。
パルコ本社では「ここ数年、大型のスポーツ店が売り上げを伸ばして数字的には横ばい状態が続いたが、横浜や厚木近隣の商業環境が変化し、引き続き店舗展開を続けたとしても収益性の改善が見込めない」として閉鎖を決定したと話している。
パルコとビル所有者との賃貸借契約は25年で、あと13年契約期間が残っている。今回の閉鎖決定は違約金を払ってでも撤退するという同社の厳しい経営方針
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が示されたもので、ビル所有者にも事前相談はなかった。今後、借入金の返済が始まるという一部の地権者は「マスコミ発表の前日に知らされた。突然の話で驚いている。これで返済の予定がまったく立たなくなった」と戸惑いを隠しきれない様子だ。
今後は、閉鎖整理と合わせてビル所有者がキーテナントを誘致することができるか、現在出店している各テナントが引き続いて出店を継続するのかに焦点が移されるが、中心市街地の活性化が急務な本厚木駅周辺は、厚木パルコの撤退によって一段と地盤沈下が進みそうだ。
同社では閉店に伴う現状回復費用、固定資産除却損などの費用として約23億円を見込んでいる。 |
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