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「厚木で自分たちの観たい演劇を定期的に観劇しよう」と発足した市民による演劇鑑賞団体「厚木演劇鑑賞会」が、今年4月設立20周年を迎えたが、会員減少のため運営がピンチに立たされている。
同会は1986年4月、町田演劇鑑賞会からの根分けの形で発足した。チケットを買って観劇するのではなく、会費を納め自らも運営に参加する会員として観劇を行うもので、会員制、サークル制、運営参加が基本だ。
発足時の会員数は483名だったが、翌年には昼夜2回公演を開始、会員も1,179名にまで達した。しかし財政的には厳しく、文化会館での公演も昼夜2回から夜1回、その後昼夜2回、また夜1回に戻すという迷走が続いた。
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92年からは観劇回数を年6回から年5回に減らして財政再建を図り、94年には1年6回に戻したが、その後会員数は一進一退を繰り返しながら徐々に減り、とうとう採算ラインの800人を割ってしまった。
こうした危機感から98年には「会費の口座自動振込」「運営基金制度」「観劇振替制度」といった新しい観劇システムも導入した。その結果、退会数は半減したものの、入会数がそれを上回ることができず、800台への回復を図ることは出来なかった。低迷は厚木だけでなく、
海老名、川崎、相模原、湘南、平塚、横浜など、県下の8団体も同じで、全国的にも九州を除いて演劇鑑賞団体は軒並み低迷を続けている。
徳原浩之事務局長は、「会員が高齢化したため介護が忙しくなったこと、夜出ることが難しくなったことなどが大きな理由」と説明する。会では劇団四季劇場への都内観劇バスツアーや会員交流を目的としたカルチャー教室、ワークショップなどを開いて、減少を食い止めたが、歯止めはかからなかった。
02年から公演回数を年5回に戻し、その後、前観劇会より1名でも多い会員数で劇団を迎えるという「1名クリアー」に取り組むほか、経費の削減や劇団の出演料値下げ交渉などで支出の抑制に取り組んだ。累積赤字は一時1千万円を越えたが、徐々に返済して200万円までに減らした。
今年に入ってから会員数が再び800人を割り込み、以後減少に歯止めがかからない。10月25日現在の会員数は725名。現在、10人の運営委員と20人のサポート員で対策などを検討しているが、有効な打開策はなかなか見つからない。
会員は50代から70代までの高齢者が多く、40代未満の入会者が少ないのが特徴だ。ここ数年、退会者数は横ばい状態だが、新会員が増えない状態が続いている。採算ラインの800人を維持するには毎年100人近い新会員が増えないと運営に支障を来す。今年は4回公演を終えた段階で新会員は47名。目標の半分にも満たない。11月29日には118回目の観劇会となる加藤健一事務所の「詩人の恋」公演が行われる。
徳原浩之事務局長は、「このままいくと、今年も赤字は避けられない。年5回色々な作品に出逢える楽しさがあるので、若い人もぜひ入会をしてほしい」と呼びかけている。入会金は1人500円、一般会員月額2,400円。家族会員2人で月額4,000円、大学生月額1,200円、小中高校生のユース会員は登録料年額500円・会費は無料。入会時に2月間の会費と入会金が必要。問い合わせは同会事務局揩Q28・9325番へ。 |
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