第696号(2006.12.15)

豊かな自然や温泉生かして健康に 健康づくり大学

 自然豊かな市内の温泉地に滞在し、総合的な健康づくりを目指す「健康づくり大学・厚木キャンパス」が11月26日、同市七沢の東丹沢七沢温泉郷で開かれた。市内外の21歳から77歳までの男女103人が参加。旅館や公共施設などで温浴・温泉や食事療法、医師からのアドバイスなど健康づくりの秘けつを学んだ。
 同大学は、経済産業省の外郭団体「民間活力開発機構」が進める事業。地域住民と連携して「温浴・温泉」「食事」「運動」「環境」をキーワードに健康講座や体験型講座など「総合的な健康づくり」を展開する。群馬県の草津温泉など全国で11の温泉地が選定されており、同市では厚木キャンパスと銘打ち、七沢温泉郷のほかに飯山温泉郷でも来春の開講が予定されている。
 
 同日は、七沢自然ふれあいセンターでの講義でスタート。医学博士で同機構の温泉療養システム研究会の植田理彦会長が「七沢は都心からも近く、健康資源が豊かなため滞在型や日帰り型の健康づくりプログラムが可能。温泉はアルカリ性で、ナトリウムイオンや炭酸水素イオンを含む重曹泉なので、肌も滑らかになりかゆみなどの慢性の皮膚病も治りやすい」と解説した。
 その後、参加者はあつぎ観光ボランティアが七沢の歴史などをガイドしながら進む林道でのウオーキングや広沢寺での座禅に参加、旅館では温浴・温泉療法、食事療法などを体験した。 
 食事療法では、旅館組合が一括して仕入れた食材を、8つの旅館で低カロリーの統一メニューとして提供。七沢産のニジマスの塩焼きや薬用ニンジンやコンニャクなどの天ぷら、低脂肪・高たんぱくで知られる名物料理しし鍋など8品目の健康食が並び、参加者からは「低カロリーを感じさせないほどしっかりと味が付いている」と評判は上々だった。

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東京農大で世界学生サミット開催 3キャンパスを通信で結び学生が意見交換

 東京農業大学世田谷キャンパスに世界19カ国の学生が集まり、11月30日と12月1日の2日間、「新世紀の食と農と環境を考える」第6回世界学生サミットが開かれた。
 海外の大学教授の基調講演や、テーマに基づくさまざまな討論会を展開する中、サミットの様子は、電話回線を使った通信システムで、厚木キャンパスと北海道網走市のオホーツクキャンパスにも中継され、各キャンパスの学生らが聴講したり意見交換したりする姿が見られた。
 サミットは、平成13年に創立110周年を迎えた同大学が記念事業として毎年開催しているもので、今回は留学生を含む同大の学生や姉妹校など19の国と地域から学生や教員ら約40人が参加した。
 初日の30日は、開会式や米国・ミシガン州立大学の教授などによる基調講演が行われたほか、「教育と農業生産革新」をテーマに11人による発表、討論会が行われ、厚木キャンパスでは「トリニティーホール」(講堂)に大型画面でサミットの様子が映し出された。同大3年の男子学生による「食育からみる北海道の農業環境」の発表では、日本の食育の進歩や、輸入に依存した食生活の改善の必要性が述べられ、厚木キャンパスでは学生らが画面を見ながら熱心にノートをとる姿が見られた。
 初日、サミットを聴講しに来た1年の女子学生は、「世界の農業を学ぶために参加した。講演や意見発表など大変興味深く、自分の学習にも参考になったと思う」と話していた。サミットの2日目は「教育と食の安全性革新」「教育と環境保全革新」の2つのテーマに基づき15人の発表が行なわれた。

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出荷最盛期のシクラメン 市園芸協会花き温室部会

 本格的な出荷シーズンを迎えたシクラメンとポインセチアをPRしようと、12月12日、厚木市園芸協会花き温室部会鉢物部会(本間貞夫会長)のメンバーが、山口市長を訪問、ピンクや白のシクラメンとポインセチアを贈った=写真。
 本間会長は「今年も成育状況は良好で、多くの市民に季節感あふれる鉢植えを楽しんでほしい」とアピールした。現在、花き温室部会(清田徳治会長)の会員20人のうち、鉢物生産者は11人。市内鉢物の生産数約53万鉢のうち、出荷の最盛期を迎えるシクラメンは約3万5千鉢。ポインセチアは約5千鉢にのぼり、市内の直売所で販売しているほか、横浜や東京方面にも出荷している。

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 心の集い「あわぜんざい茶会」  茶道家・足立原三紀子さんが呼びかけ

 なんと今どき、あったかい。愛川町の足立原三紀子さん(59)の呼びかけで、地域密着の文化運動の寄り合いが盛大の限り。初冬の静けさの、この12月3日の日曜日、同町中津の古民家・山十邸に、近隣のサラリーマン、主婦、商店主、教員、親子連れ、友人知人一六〇名が集い、寒さを吹き飛ばす賑わいだった。中でも中学生四人が独自で出席していて、緊張感ある元気な姿が印象に残る。
 その名は「あわぜんざい茶会」。主催は裏千家・足立原茶道会、後援は神奈川ふだん記。代表はいずれも同・正教授の足立原三紀子さん。
 この日、朝九時半\午後三時まで、切れ間なく人々が訪れ、山十邸は明るく輝いた。あわぜんざいを味わう。次に和室へ。ここでは亭主の三紀子さんが、客のそれぞれと一言ずつ話したり、くつろぎの薄茶を楽しくいただく。それから椅子席でなごやかなお茶を。やがて、同邸の土間にしつらえたテーブル席や、外で自由にお弁当を食す。話に夢中。あちこちで談笑が。
 このたび三紀子さんが、『歩々是道場(ほほこれどうじょう)』を出版、その祝いも兼ねた。出席者に一冊ずつ進呈。そのため干菓子は本の形をしたものを特注。思わず「かわいい」と声を上げる人も。
 本書で筆者は中津の地に嫁いだこと、夫の他界の混乱を必死にくぐってきたことなどの諸々を、淡々と一つの人生史として記述している。しかし、茶の道を通しての生きる上の厳しい考え方も心を打つ。一読の価値あり。
 同書の序文にヴァイオリニストの佐藤陽子さんは「一見ミスマッチに思える茶会とクラシックコンサートを結びつけてしまったのも彼女の力だった」と書いている。ヴァイオリンと茶会で四五〇名を集める大型の催しも二度ほど行っている。
 あわぜんざい茶会は、四年前から年の瀬の自宅稽古場に一四〇名ほどで喜びあふるる集いを。すべては三紀子さんの地域に向けての文化運動としての姿勢である。
 このたびの茶会も準備が一苦労。前日に運んだ道具類は軽トラック五台分。同会、ふだん記、友人知人の献身的協力によった。
 受付、案内、水屋、点前、あわぜんざいを作る人、運ぶ人、それは綿密な配慮。足立原一門総勢三〇名、それは日頃の修練によるのか、みずみずしい闊達な動き。にじむ美しさ。その中に小六の高橋琴恵さんの点前。お運びの小四の同美彩季さん、中三の中村萌さん、小二の大野桃さん。そして準備の小三の横田祐季君。ひたむきな子供たちの姿は感激であり注目された。
 
 いま、教育問題が話題。地域と学校と親の協力がといわれるが、社会全体の協力も必要だ。具体的にどうするということになると難問。このたびの茶会は、ある種、地域密着という意味で、教育の現場にあるいじめ問題と、暗い事件の多発の時代に、ささやかだが重要な一石を投じた三紀子さんの勇気ある試みであったといえる。人口五万弱の小さな町の出来事だが、大マスコミは、これを見逃して何を書く。一主婦の大きな志、それは気高い。

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詩や作文など小中学生141人が受賞  和田傳文学賞

厚木市初の名誉市民で日本農民文学作家である故和田傳氏の業績をたたえた「第21回和田傳文学賞」の受賞者141人がこのほど決まり、11月25日、総合福祉センターで授賞式が行われた=写真。 
 昭和60年、遺族からの寄付金を基に創設された「和田傳文学基金」により実施しているもので、61年から小中学生から募集した詩、作文、短歌、俳句の中から優れた作品に文学賞を贈っている。
 毎年小学生が作文と詩、中学生が詩、作文、短歌、俳句の各部門に参加し、今回は大賞3点、特選8点、入選24点、佳作106点となった。
中学校の部で「家族」と題した作文で大賞を受賞した青木春奈さん(小鮎中3年)は「兄との喧嘩がきっかけで、家族のあたたかさを感じました。大賞受賞はびっくり。とてもうれしいです」と遠慮がちに喜びを表していた。

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大井交差点ミニバイパスが開通

 平成15年度から工事が進められてきた厚木市道水引小野線の「大井」「萱山」の両交差点を1つに統合しし「大井交差点ミニバイパス改良事業」が完成し、12月2日開通式が行われた=写真。
 同地区は朝夕のラッシュ時には、わずか100メートルほどの区間に2つの交差点を通過しなければならず、交通渋滞が慢性化していた。工事はこの2つのT字交差点を統合して1つの十字交差点に集約するため、延長220メートル、幅員14メートルのミニバイパスに改良した。
 式典では地元の自治会長や小学生らによるテープカットのあと、信号の切り替えなどが行われ、道路の供用が開始された。出席した地元の自治会長は「みんながイライラしていた渋滞の緩和に大いに期待している。同時にスピードの出し過ぎによる事故が起きないよう祈っています」と開通を喜んでいた。

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七沢にジャンボクリスマスリース点灯

 県立七沢森林公園の石橋「森のかけはし」に、巨大なクリスマスリースが掛けられ、12月1日からライトアップが始まった=写真。毎日夕方になると、点灯して浮かび上がる大きなリースが、ことしも道行く人たちにクリスマスの訪れを告げている。
 このリースは、地域商業の発展と観光の活性化を目指し、地元商店会の玉川商栄会(越智一久会長)が中心となって平成4年から実施しているもの。鉄筋でできたリング状の骨組みを擬似のモミの葉で覆い、赤いリボンや鐘を飾り付けた。今年新たに1400個のLEDを使い、電球と合わせ5000個もの光源で輝くリースは、例年より色鮮やかに輝いた。
 越智会長は「20メートル以上の高さに宙吊りになっているリースは珍しいと思う。長年続けてきたが、最近はリースが厚木の名物のように有名になってきてうれしい。この地を訪れる人たちに、ライトアップされたリースで冬の夜のひとときを楽しんでもらいたい」と笑顔で話していた。ライトアップは12月25日(午後4時から11時)まで毎日点灯される。

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畑で取れた小麦粉でうどんづくり 玉川小学校で地域の自然を生かした体験授業

 小学生が栽培して収穫した小麦粉を使い、うどんを作る体験学習が12月7日、厚木市立玉川小学校(田中伸一校長・児童数242人)で行われた。 子どもたちに自然を生かしたものづくり体験をしてもらおうと、同校が地域の老人会と協力して10年ほど前から行っているもので、1、2年生80人が「七沢老友会」メンバーの指導を受け、保護者80人と協力してうどん作りを楽しんだ=写真。
 小麦粉は同校から歩いて5分ほどの畑で栽培されたもので、昨年12月、生活科の時間を使って種まき、刈り取り、掛け干し、脱穀作業などの体験学習を積み重ねて収穫した。
 この日、子どもたちと保護者は、体育館に集まり、12人づつ12班に分かれてうどん作りに当たった。子どもたちはボールに小麦粉と塩水を入れて混ぜ、ビニール袋に入れて足で踏むなどしてよくこねた後、手回し式の製麺機に小麦粉の生地を入れてハンドルを回した。やがて器械から細いうどんがにょきにょき出てくると、子どもたちから喚声が上がった。
 出来上がったうどんを釜でゆでて食べた子どもたちは「老友会の人が教えてくれたので上手に出来た。機械を回すと麺が出てきて楽しかった」「小麦粉は手でこねたり、足で踏んだりするのに苦労した」「一生懸命作ったうどんはとてもおいしかった」などと感想を話していた。

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豪州から日本文化学びに大学生来厚  湘北短期大学

 厚木市温水の学校法人ソニー学園湘北短期大学(米澤健一郎学長)と姉妹校にあるオーストラリアの2つの大学からこのほど学生が来日し、11月28日、厚木市役所を訪れ山口市長を表敬訪問した=写真。
 訪れたのは、11月24日に来日したオーストラリアの国立ニューカッスル大学と国立オーストラリアン・カソリック大学の学生23人と教員1人の合わせた24人。山口市長は「ホームステイなどを通じて、日本の文化や歴史などを肌で感じながら多くの市民と交流してください」と歓迎の言葉を述べた。
 留学生を代表し、ナタリー・ウォリスさん(国立ニューカッスル大学)は「私たちが日本とオーストラリアの友好関係をさらに深めることに貢献できたらと思っています」とあいさつ。また、ジョーダン・ローソンさん(国立オーストラリアン・カソリック大学)が「日本の文化や生活について勉強したい。日本の家庭で過ごせることを楽しみにしています」などと流ちょうな日本語で抱負を語った。
 
 学生たちは12月10日まで滞在、同市の指定無形民俗文化財「相模里神楽」の鑑賞や、臼ときねを使ったもちつき、茶道、十二単の体験など、交流プログラムを通して日本の伝統文化を学んだ。

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