第697号(2007.01.01)

厚木市長選立候補予定者に聞く 山口・小林両氏に30項目の公開質問状

四季を通じて聴ける癒しのサウンド 七沢の自然の音テーマにCD「風ゆらぎの森」を発売

 ステージにつるした7個の風鈴の短冊に、鳥の羽を使って次々と触れていくと、チリン、チリリーン、と何とも言えないやわらかで神秘的な空気が流れる。やがて、その音に合わせるように、観客がゆっくりと体を左右に動かしゆらぎモードに入る。演奏するのは自称「世界で一人しかいない」という風鈴演奏家・吉田慎(しん)さん(38歳・厚木市田村町在住)だ。
 吉田さんは中学生の時からピアノとシンセサイザーなどを使って作曲活動を続けてきたが、自分の求めるサウンドに「何か物足りなさ」を感じていた。そんな時に出会ったのが風鈴だった。
 あるコンサートで中国製の小さい鐘の音を聞いたのがきっかけで、少年時代に聞いた安らぎの音、潜在意識として取り込まれていた風鈴の音が目を覚ました。
 そして数カ月後、さまざまな風鈴の音とシンセサイザー、川のせせらぎの音などを組み合わせた幻想的な音楽「風鈴ミュージック」が完成した。初めてのCD「KAZAOTO」を制作してインターネットで販売したところ、学校や福祉施設から出演依頼の声がかかり、各地でコンサートやワークショップを開けるまでになった。これまでに制作した4枚のCDは音楽療法としても注目され、各地の医療機関で活用されている。
 「人の生体リズムや自然界にはF分の1というゆらぎがあるといわれている。風鈴のゆらぎはアルファ波を誘発し、小鳥のさえずりや川のせせらぎなど自然界にある癒しの音と同じ高周波を含んでいるので、感情や情緒の安定効果が大きい」と話す吉田さん。まさに四季を通じて聴ける癒しの風鈴サウンドだ。
 1昨年10月、食品メーカーの営業を退職、「風鈴演奏家」として本格的な活動を開始した。学校や病院、旅館、カフェ、公共施設、治
療院、お寺などさまざまなところでコンサートやワークショップを開き、全国を飛び回っている。
 昨年10月には七沢の川のせせらぎと江戸風鈴だけで制作したネイチャーサウンド「風ゆらぎの森〜江戸風鈴」を発売した。七沢の自然の音を選んだのは、自分がとても気に入っていることと、同地が国土緑化推進機構の森林セラピー基地として推奨され注目を浴びているからで、そのPR役も兼ねている。
 今年の2月には、「風ゆらぎの森」シリーズ第2弾として、七沢の自然の音と竹炭風鈴、5月には小田原風鈴をミックスした第3弾を制作する。また、「ふるさと」や「浜辺のうた」など日本のなつかしい曲を風鈴で演奏する「童謡風鈴」の制作も予定している。  
 演奏家である吉田さんは実は日本有数の風鈴コレクターだ。これまでに江戸風鈴、南武風鈴、竹炭風鈴、明珍風鈴、小田原風鈴、中国の風鈴など100種類以上集めた。演奏会にはこのうちの25種類ほどを持参する。
 「風鈴というと、夏の風物詩というイメージが強いが、クリスマスソングなど冬の曲にもピッタリ合うんです。これから力を入れたいのが海外での演奏活動。いつか親子5人で風鈴を交えたさまざまな楽器を弾きながら、世界中を演奏して回りたい」と夢を語る。
 ■吉田さんが出演する「新春ゆらぎコンサート」が1月20日18時30分より、あつぎパートナーセンターで開かれる。定員50名で先着順。入場料2000円。TEL:206・8733番。

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365日、休日も携帯電話で対応  光ケ丘医院副院 老山大輔さん

 厚木市恩名で3代続く地域医療のホームドクター。院長は老山(おいやま)良男さん(75)、長男大輔さん(39)が副院長をつとめる。大輔さんの祖父にあたる成(しげ)さんが同地に開院して66年。先祖は 島津藩の御典医13人の中の筆頭医をつとめたという老山岱淳(たいじゅん)。
 昨年、医院を改築、12月14日新装オープンした。昭和15年の開院以来、一貫して内科専門医として地域医療に当たってきた。現在は、大輔さんを中心に外来診療と在宅診療(往診)を行っている。 
 特に力を入れているのが在宅診療だ。寝たきりで通院できない患者を対象に高齢者総合サービスセンター森の里など3つの老人施設を回診するほか、一般家庭の患者も365日の往診態勢を整えている。
 病院に電話をかけて医師の携帯につながるクリニックはまず聞いたことがないが、休日や診療診時間以外に医院にかかってくる電話は、すべて大輔さんの携帯電話につながる仕組みだ。このため夜中でも起こされるときがある。
 「患者さんは急に熱を出すこともあります。休みであっても連絡があるとホームドクターとしては放ってはおけません。さすがに正月の3が日はみなさん遠慮されるようです」と笑う大輔さん。
 携帯がなればいつどんなときでも患者さんのところにかけつけるのがホームドクターとしてのモットーである。診察後、患者から携帯メールでお礼のメッセージが入ってくるときが一番嬉しいという。
 かつて祖父の成さんが、「名医になりたいとは思わない、良医であればいい」という言葉を語ったことがあるというが、この医師の精神が良男さん、大輔さんにもしっかりと受け継がれ、今日の医院が築かれた。
 大輔さんは、東海大学医学部を卒業後、慈恵医大第三病院、富士市立中央病院に勤務した後、父が診療するクリニックの後継者として6年前に赴任した。慈恵医大から派遣された富士中央病院在職中は、「本院に戻さないで欲しい」という嘆願書が出たほど患者から慕われた。
 日本内科学会専門医のほか、日本消化器学会、日本東洋医学会専門医の資格を持つ。漢方薬を使った治療や温泉療法を指導するなど、東洋医学も積極的に導入している。診療時間に患者を待たせないため、胃の内視鏡検査や腹部エコー検査は、外来診療が始まる前の8時20分から行うという。
 「地域医療は病気の早期発見と予防が大切。三大成人病の予防はもちろん、地域の人たちが、家族ぐるみで健康に暮らしていけるホームドクターとして、これからもお役に立ちたい」と話している。
■光ヶ丘医院(厚木市恩名2―23―26)TEL:221―1811番。休診日=木・土曜午後、日・祝日)。

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面や衣装・引き幕など展示 厚木の地芝居「萩原家の資料」

 厚木市教育委員会と厚木市文化財協会が主催する、平成18年度の厚木市文化財展「厚木の地芝居\面・衣装・小道具」が、12月26日から同市中町の市民ギャラリーで始まった。
 展示された資料は市内愛甲の萩原孝司家に残されているもので、一般公開されるのは今回が初めて。
 萩原家は江戸時代に神事舞大夫をつとめた家柄で、元禄3年(1690)から昭和年代に至る多くの古文書が残されている。神事舞大夫たちが行った神楽は、現在では日本神話の物語を仮面をつけて演じた神代神楽の源流をなすものと推定されている。安政6年(1859)萩原英之進が、相模国内の配札権を認可された。萩原家は神楽を演ずる一座を組織する元締めとして、神奈川中央部から西部にかけて各地のまつりで興行を行っていた。また地芝居の一座に面や衣装、道具などを貸し出すことを職業としており、萩原家には面や衣装・道具類が100点以上が残されている。神楽の伝統は現在、市指定無形民俗文化財「相模里神楽」として、市内酒井の垣澤社中(垣澤勉氏)に受け継がれている。
 今回の展示では、慶応4年(1868)「房成」の墨書がある長さ22センチ、幅15センチ、厚さ5・5センチの面をはじめ、幕末から
明治、大正、昭和へと受け継がれ使われた地芝居の面74面が展示されている。また、錦絵の絵柄が刺繍された「綿地源氏衣装」など羽織、長襦袢、半襦袢、袴、裃、綿入れ、単衣、袷(あわせ)、朱や緑、青など色鮮やかな衣装23点のほか、舞台引き幕、衣装箱なども展示されている。このほか、鎧、刀、槍、薙刀(なぎなた)、横笛、白扇、拍子木、締太鼓、鬘(かつら)の台なども展示され、訪れた人の目を楽しませている。
 会期は1月8日の10時から午後6時30分まで(最終日は午後2時まで)1月3日までは休館日。

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箏フレンズがニューイヤーコンサート 六段の調べ・春の海など演奏

 厚木市内を中心に小田原や町田で文化箏の教室や演奏活動を行っている「箏(こと)フレンズ」(水澤晴美代表・52名)のメンバー6人が、1月14日午後1時30分から厚木市上依知の依知神社神楽殿で「ニューイヤーコンサート」を開く。
 文化箏は長さが86センチで、通常琴の半分の大きさ。流派もなく誰でも気軽に楽しめるのが特徴で、童謡や民謡から演歌、ポピュラー、映画音楽に至るまで巾広いレパートリーが楽しめる。 
 箏フレンズは、同市上荻野に住む文化箏振興会認定講師の水澤晴美さんが指導しているグループで、月2回地域の公民館やカルチャーセンター、公共施設などで練習、音と心のハーモニーを楽しんでいる。
 これまでにレストランでのミニコンサート、老人福祉施設や病院、女性センターなどで演奏活動を行ってきたほか、2003年6月には、厚木市文化会館で初の自主コンサートを行った。また、昨年10月は「2006日豪交流年」の参加事業としてオーストラリアを訪問、キャンベラやクインビアン市の高校生、大学生と交流したほか、「日豪文化交流コンサート」にも出演、日本の伝統文化を紹介、交流を深めた。
 今回は新春に相応しく、依知神社の神楽殿を会場にしてのコンサートで、同グループのメンバー6人が、「六段の調べ」「春の海」「涙そうそう」など新春にふさわしいレパートリーを披露する。会場には、オーストラリア演奏旅行写真も展示される。コンサート終了後は文化箏の体験ワークショップも行われる。入場無料。
 水澤さんは「お正月らしい曲をたくさん用意しました。ご家族おそろいでご来場いただき、日本一の神楽殿で、文化箏の音色を楽しんでいただきたい」と話している。コンサートには「依知神社と「市民かわら版」が後援する。TEL:241・9795番。

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厚木の2人海外へ青年海外協力隊

 独立行政法人国際協力機構から、青年海外協力隊としてこの1月から海外へ派遣される厚木市在住の隊員2人が、12月20日、厚木市長を表敬訪問した=写真。
 派遣されるのは市内在住の上保智子さん(うわぼともこ)、菊池美菜さん(きくちみな)の2人。上保さんは病院に勤務していた医療技術を生かし、理学療法士として義足などの義肢装具の技術支援や理学療法スタッフ育成のためスリランカへ、菊池さんはNGOで5年ほど国内外の子どもの交流などを支援する活動を行っていた経験を生かし、子どもの教育やカウンセリングのためにザンビアへ派遣される。
 山口市長は「気候も風土も厚木と異なる異国の地ですが、体に気を付けて頑張ってきてください」と激励の言葉をかけた。2人は『現地にも協力隊員の仲間がいるので心強いです。少しでも皆さんの助けになればうれしい」と話していた。
 青年海外協力隊は、昨年9月30日現在、2412人が世界76カ国に派遣されており、今回の派遣で厚木市出身の隊員は現在赴任中の8人を含め、昭和41年度からは歴代57人となった。

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市民協働でまちをきれいに 環境美化パートナー第1号 上愛甲愛寿会 

 道路や公共施設などの身近な公共空間を市民協働できれいにしていこうと12月20日、厚木市環境美化パートナーの「上愛甲愛寿会」(落合好夫会長・66人)が愛甲地区内の道路や上愛甲公民館の美化活動を行った。同会園芸部の25人が参加し、清掃や樹木の剪定(せんてい)などに汗を流した=写真。
 環境美化パートナーは、同市のアダプト制度「厚木まち美化パートナー制度」の1つで、平成18年度に創設された。登録すると、市がパートナー団体に清掃用具や花の種を提供したり、活動を示す看板を設置するなどして活動を支援する。会員は市民活動保険に加入できるようにもなる。地域の環境美化を進めるとともに、市民がまちづくりへの参加意識や地域への愛着を高めるきっかけになることから期待されている。
 上愛甲愛寿会は、同地区の老人会。約40年前から、道路脇にサクラやアジサイを植樹し、その維持管理や美化活動などを自主的に行ってきた。今回、環境美化パートナーの第1号団体として登録した。同日も、これまでも維持管理してきたアジサイやサクラ周辺の草刈りや、上愛甲公民館周辺の樹木剪定、熊手やほうきを使っての清掃などを約1時間半かけて行った。
 落合会長は「市と自分たちが一緒になって地域をきれいにしていける素晴らしい制度ができ、会員たちのやる気も高まっている。これまでかかっていた用具や肥料などの負担も軽くなった。今後も、先人たちから引き継いできた活動を続けるとともに、ほかの地域へも広がるよう頑張っていきたい」と話していた。

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亜甲絵里香さんとメンバーたち ユネスコ国際ダンス会議に出席

 昨年11月、ギリシャのアテネで開かれたユネスコ主催の「第20回国際ダンス会議」に、厚木在住の舞踊家・亜甲絵里香さんと、亜甲さんが主宰するグローバルダンスシアターのメンバー5人が参加、このほど帰国報告をまとめた。
 参加したのは亜甲さんを含めて長男の瀬河寛一さん、長女の華織さんのほか、ロシア国立ノボシビルスク・オペラ・バレエ団プリンシパルのエフゲニー・グラシェンコさん、同バレエ団ソリストのイリア・ゴロブチェンコさん、フランスのダンサーエレオノール・アルヌールさんの6人。
 会議には世界70ヵ国から707人のダンサーや研究家、舞踊家が参加、バレエやモダンダンス、ジャズダンス、社交ダンス、民族舞踊などのワークショップ、パフォーマンスなど多彩な催しが繰り広げられた。
 亜甲さんは今回で5回目の参加。ワークショップでは亜甲さんの持ち味を生かした「気とダンス」をテーマに、「気」のかけ合いを行ったり、日本の伝統芸能「能」の音楽に合わせて「気」を流しながら摺り足でゆっくり歩いたり、「気」の存在を感じながら、参加者全員の「気」を1つにするという神秘の世界を表現した。パフォーマンスでは、瀬河寛一さん振付けの「ユニストワードゥ」を、寛一さんとアルヌールさんが共演したほか、亜甲さん振付けの「花の詩」を、亜甲さん=写真=と華織さん、山花玲美さんの3人で踊った、また、華織さんとグラシェンコさん、ゴロブチェンコさん、寛一さん、アルヌールさんの5人が、亜甲さん振付のギリシャ悲劇「オルフェウス」のパフォーマンスを披露した。
 亜甲さんの踊りや振付は、テクニックの美しさだけでは表現できない神秘的な表現の世界に観客を誘い込むため、踊りが終わるたびに拍手と歓声がわき起こり、会議に参加した人たちに衝撃を与えたという。

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