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ステージにつるした7個の風鈴の短冊に、鳥の羽を使って次々と触れていくと、チリン、チリリーン、と何とも言えないやわらかで神秘的な空気が流れる。やがて、その音に合わせるように、観客がゆっくりと体を左右に動かしゆらぎモードに入る。演奏するのは自称「世界で一人しかいない」という風鈴演奏家・吉田慎(しん)さん(38歳・厚木市田村町在住)だ。
吉田さんは中学生の時からピアノとシンセサイザーなどを使って作曲活動を続けてきたが、自分の求めるサウンドに「何か物足りなさ」を感じていた。そんな時に出会ったのが風鈴だった。
あるコンサートで中国製の小さい鐘の音を聞いたのがきっかけで、少年時代に聞いた安らぎの音、潜在意識として取り込まれていた風鈴の音が目を覚ました。
そして数カ月後、さまざまな風鈴の音とシンセサイザー、川のせせらぎの音などを組み合わせた幻想的な音楽「風鈴ミュージック」が完成した。初めてのCD「KAZAOTO」を制作してインターネットで販売したところ、学校や福祉施設から出演依頼の声がかかり、各地でコンサートやワークショップを開けるまでになった。これまでに制作した4枚のCDは音楽療法としても注目され、各地の医療機関で活用されている。
「人の生体リズムや自然界にはF分の1というゆらぎがあるといわれている。風鈴のゆらぎはアルファ波を誘発し、小鳥のさえずりや川のせせらぎなど自然界にある癒しの音と同じ高周波を含んでいるので、感情や情緒の安定効果が大きい」と話す吉田さん。まさに四季を通じて聴ける癒しの風鈴サウンドだ。
1昨年10月、食品メーカーの営業を退職、「風鈴演奏家」として本格的な活動を開始した。学校や病院、旅館、カフェ、公共施設、治 |
療院、お寺などさまざまなところでコンサートやワークショップを開き、全国を飛び回っている。
昨年10月には七沢の川のせせらぎと江戸風鈴だけで制作したネイチャーサウンド「風ゆらぎの森〜江戸風鈴」を発売した。七沢の自然の音を選んだのは、自分がとても気に入っていることと、同地が国土緑化推進機構の森林セラピー基地として推奨され注目を浴びているからで、そのPR役も兼ねている。
今年の2月には、「風ゆらぎの森」シリーズ第2弾として、七沢の自然の音と竹炭風鈴、5月には小田原風鈴をミックスした第3弾を制作する。また、「ふるさと」や「浜辺のうた」など日本のなつかしい曲を風鈴で演奏する「童謡風鈴」の制作も予定している。
演奏家である吉田さんは実は日本有数の風鈴コレクターだ。これまでに江戸風鈴、南武風鈴、竹炭風鈴、明珍風鈴、小田原風鈴、中国の風鈴など100種類以上集めた。演奏会にはこのうちの25種類ほどを持参する。
「風鈴というと、夏の風物詩というイメージが強いが、クリスマスソングなど冬の曲にもピッタリ合うんです。これから力を入れたいのが海外での演奏活動。いつか親子5人で風鈴を交えたさまざまな楽器を弾きながら、世界中を演奏して回りたい」と夢を語る。
■吉田さんが出演する「新春ゆらぎコンサート」が1月20日18時30分より、あつぎパートナーセンターで開かれる。定員50名で先着順。入場料2000円。TEL:206・8733番。 |
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