第766号(2010.01.01)

2010新春インタビュー「小林市長に聞く」はこちら

『先人に学ぶ』を自費出版 郷土史家の中丸武夫さん

 

 厚木に伝わる故事・諺・格言など百句

 厚木市水引の郷土史研究家・中丸武夫さん(78)が、このほど古き時代から生活の中に生きてきた諺(ことわざ)と格言をまとめ『先人に学ぶ』と題して自費出版した。
 厚木地方の農家や庶民の家庭生活の節々で、親から教わった家の教えや村社会の教え、自然や農耕の教えをまとめたもので、今日でいう家庭教育のような話だ。一家の団らんの場である囲炉裏を囲んでコミニュケーションづくりをしながら、家庭のしつけや家の教えを自然に学んだいろり端の教え、四季の行事を通じた農耕の教えなど今に生きる先人の知恵を伝えている。
 中丸さんは依知村の農家の出身で子どもの頃から両親の背中を見て育ち、兄姉からもさまざまなことを教えられて成長した。長らく会社員勤めを経験、退職後は、趣味の郷土史の研究に打ち込み、厚木市の文化を考える会や公民館歴史民俗談話会、公民館の文化振興会、郷土資料館の運営協議会委員などをつとめながら、15年ほど前から生涯学習の郷土史講座を担当してきた。講座は現地学習を取り入れて年4〜5回開催、テキストもパソコンを使って、神社・仏閣や遺跡資料などの写真や地図を盛り込み自前で制作した。
 平成19年からは観光ボランティアガイドにも参加、鎌倉観光文化検定3級、神奈川県検定ライセンス3級の資格を取得、厚木や県内各地を訪れる観光客のボランティアガイドもつとめている。
 今回まとめた「先人に学ぶ」は、30年ほど前から生活の中で気がついたり思い出したことを、書き留めていたメモをもとに書き下ろしたもの。
 第1章の「今に生きる先人の教え」は平成7年度に1年間にわたって高校新聞に掲載したものを加筆補正したもので、古くから伝えられてきた年中行事や暮らしの中に生き続けてきた厚木の風俗や習慣、家の伝えなどをまとめている。第2章の「故事ことわざ百句」は、郷土史講座のテキストとして使用するため、折りにふれまとめたもので、1、2章とも相互に関連性を持たせているのが特徴だ。中丸さんは親から教わった話を幼い頃から聞き、噛みしめ、人間の生きざまをこの年になるまで、ずっと感じて生きてきたという。それだけに「現在の世相は、社会や政治にいたるあらゆる分野で、日本人の精神文化が地に落ちた感がする。また規範意識やマナーの悪さなどは目にあまるものがある」と嘆く。
 出版に際しては同市妻田に住む水墨画家・又村和夫さんが、カバーと表紙絵、挿絵など68点を描いてくれた。内容とマッチした素朴な感覚が書物を引き立てている。
 中丸さんは、「温故知新という言葉がありますが、本書は私が古くて新しい何かを求め、人生の中に生き続けてきたものをまとめたものです。若い方には『心の宝』としてお読みいただければうれしい」と話している。
 『先人に学ぶ』は1部1500円、有隣堂厚木店、内田屋書房一番街店で発売中。

電子ピアノと現代風紙芝居の世界「澄み渡るとき」

 音の魔術師 稲田志保子さんとともに

21世紀文化振興会 2月11日にファミリーコンサート

 厚木や海老名、大和を中心に活躍している21世紀文化振興会(吉田幸子代表)が、2月11日13時から、電子ピアノの演奏家・稲田志保子さん=写真左=を招いてファミリーコンサート「澄み渡るとき」を厚木市文化会館で小ホールで開く。
 舞台をかざるのは厚木のはとぽっぽ公園での青い国の「ぬのばあ」の話。稲田さんの電子ピアノとオカリナ演奏者、古布をよみがえらせているグループ、舞台での気功に取り組んでいる仲間、子どもたちの踊り、そして朗読家が織りなすコラボレーションを現代風紙芝居として上演する。出演者は「おばあさんが話してくれた昔話を、玉手箱のように大切にする心を大勢の人に伝えたい」と張り切っている。
 コンサートを企画したのは同会の代表をつとめる吉田幸子さん(59)。岐阜県出身の吉田さんは昭和47年、昭和音楽大学を卒業後、厚木で会社員として働いていたが、2000年に同じ学舎で学んだ大塚さち子さんと再開、2人の胸に若い頃のの思いがよみがえった。それは厚木で青春時代を過ごした二人が「いつか私の故郷で私がピアノを弾き、あなたが歌うのよ」と約束したことだった。
 結婚、子育て、仕事とあわただしく時間が過ぎていったが、夢を形にしようと、ふたりの「さっちゃん」が動き出した。2006年、長野県佐久市でひとりのさっちゃんのお母さんのための音楽会が開かれ、翌年にはもう一人のさっちゃんのお母さんのための音楽会「春の輝きコンサート」が海老名市文化会館で開かれた。大正生まれの青春を、渡された布から想うこと、亡き母への思いは、多くの人に助けられ、現代風紙芝居として成功をおさめた。
 2008年にはオカリナや気功、フラダンスなどの仲間も加わって「オーディション的コンサート」を開催、今回、厚木で初めてのコンサート「澄み渡るとき」が企画された。
 コンサートには「たった一人のオーケストラ」と評される電子ピアノの演奏家・稲田志保子さんを招いた。第1部は稲田さんの電子音が流れる舞台に、吉田さん原作の『青い国のぬのばあ』の世界を、厚木のはとぽっぽ公園を舞台に繰り広げる「現代風紙芝居」だ。
 ステージには小学3年生の子どもたち=
写真右、はとをナレーションする成原春菜さん、アナウンスを担当する二ノ宮要子さん、オカリナを演奏する丸山宣江さん・山村明美さんのデュオ・リベラ、舞台での気功に取り組んでいる小村輝子さんと門下生、和服を仕立て直し、古布をよみがえらせている中山しづえさんとそのグループ、そして朗読家・武順子さんなど60名が出演、スタッフを含め総勢100名がコンサートを盛り上げる。
 第2部は稲田志保子さんの「電子ピアノコンサート」。音の魔術師と呼ばれる稲田さんが「千と千尋の神隠し」「白鳥の湖第2幕」など10曲を演奏する。入場料は1500円。ペア席2000円。厚木市文化会館で取り扱い中。問い合わせは090・5499・7231番の吉田さんへ。 

あつぎ水辺ふれあい懇談会 相模川三川合流点の利用構想まとめる

 河川利用市民案を市長に提言

「川のまち厚木」を象徴する水辺の交流拠点に

 市民に親しまれる相模川の川づくりと将来像を考えようと、12月16日、厚木水辺ふれあい懇談会(関戸彰会長)が、相模川の三川合流点に関する河川利用市民案を作成、小林市長に提言した。
 同懇談会は昨年8月、、相模川の中で厚木の魅力を最大限に発信でき、シンボル性の高い三川合流点の河川利用のあり方を考えようと、厚木北・南・金田地区自治会、商工会議所、商連、観光協会、漁業組合、NPO法人厚木の川の環境を良くする会、県央自然史研究会など10団体の代表者が参加して発足、これまでに3回の全体会議と2回の個別調査を実施、このほど検討結果を「あつぎ三川合流点河川利用市民案〜水辺ふれあいの郷」としてまとめた。
 相模川は、現在、国と県において地域住民の意向を反映した河川整備計画の策定が進められており、市民からも河川利用の多様化やまちと連携したにぎわいづくりなどが求められている。その一方で、相模川の利用形態はスポーツ施設などによる限定的な利用や河川観光の悪化など、必ずしも市民意向に即していない面も見られ、市民が主体的に考える相模川の将来の望ましいあり方が求められていた。
 市民案は三川合流点を「厚木の水と人々が集まり、交流とにぎわいから、『川のまち厚木』の文化を創造・発信する水辺ふれあいシンボル拠点」と位置づけ、1中心市街地と一体となった利活用、2広域的な観光拠点としての利用、3地域住民の日常的な公共空間としての利用、4環境教育の場としての利用など4つの利用方針と景観形成や環境に配慮した整備方針を掲げている。
 整備方針にもとづいた機能や施設の導入では、三川エリアを自然ふれあい、水辺ふれあい、水辺の広場、多目的活動、水辺の活動、まちとの連動の6つのゾーンに分け、ビオトープや散策路、サンクチュアリ、せせらぎ、MTB(マウンテンバイク)コース、バーベキュー施設、花壇、桟橋と屋形船係留施設、浮き橋、桜並木を活用した遊歩道、移動式カフェ、緑化(修景バラ)、多目的広場と遊具広場などの導入を計画的に盛り込んでいる。
 市民案を早期に実現させるためには、市民と行政の共通した理解と協力が必要で、市民の役割としては、川を活かしたまちづくりに積極的に参画すると同時に自然環境に配慮した行動、整備した施設の運営管理を市民主体で行うことをあげている。県が管理している一級河川相模川の将来における河川利用のあり方を、市民が主体的に検討してまとめた案を市に提言するのは厚木市では初めて。
 関戸彰会長は「この提言は市民の声として作成したもので、この市民案を礎として活用していただき、三川合流点が『川のまち厚木』を象徴する水辺の交流拠点となることを期待している」と話している。

第1回厚木子ども科学賞に21人

大賞は三浦悠希・花梨さん  ナミテントウのもようを観察

 厚木市内の小中学生が研究や実験・調査したリポートや絵、模型などの中から優秀な科学作品に贈られる「第1回 厚木こども科学賞」の受賞者が決定し12月13日、厚木市ヤングコミュニティセンターで表彰式が行われた。出席した21人の受賞者に小林常良厚木市長から、賞状と盾、記念品が手渡された。
 今回、応募のあった259作品の中で見事、大賞に選ばれたのは三浦悠希さん(厚木第二小5年)・花梨さん(同小3年)の「ナミテントウのもよう」というリポート作品。ナミテントウ虫の羽模様の種類や発生の過程を観察してまとめたもので、卵から成虫に育つ様子を分かりやすく説明している点や模様の表れ方を示した実験結果などが高く評価された。
 表彰を受けた二人は、「えさのアブラムシを取りにいくのが大変だったけど、大好きなナミテントウで大賞が取れたのでとってもうれしい」と弾ける笑顔で喜びを語っていた。
 科学賞は、同市長谷に拠点を置くSEL(半導体エネルギー研究所)からの寄付で創設された「厚木市SEL基金」により企画されたもの。自然科学分野の自由研究や作品の中で優れたものを表彰することで、子どもたちに科学に対する興味・関心を高めてもらうほか、科学的な思考力や表現力をはぐくんでもらう目的で実施された。
 応募作品は、観察や実験、調査などのリポートが主体だが、小学生は絵や模型で表現した科学作品での出品も可能だ。同研究所や市内工科系大学から集まった有識者でつくる審査会で、大賞1点、優秀賞3点、審査員特別賞1点、入選15点が決定した。
 この日行われた授賞式では、小林市長が「科学賞は、子どもたちに夢や希望を与えたいという気持ちで開催した。たくさんの応募があって良かった。これを機に、皆さんにはいろいろなものに興味を持ってチャレンジしてほしい」とあいさつ、受賞者を表彰した。金井徳兼審査員長(神奈川工科大学)は「疑問を解き明かそうとする皆さんの努力や工夫が感じられた。これで終わることなく、継続して科学に触れてもらいたい。そして周りの友達に科学の楽しさや素晴らしさを、ぜひ伝えてほしい」と講評した。

マイタウンサポーターズクラブがPR用冊子作成

料理やレジャー・歴史・民俗など盛り込む

 厚木市が提供するインターネット・サービス「マイタウンクラブ(http://www.mytownclub.com)の運営をサポートするボランティア団体「マイタウンサポーターズクラブ」(和田綾野代表・会員82人)が、発足から丸2年を迎え、これまでの活動の集大成としてPR用の小冊子を作成した=写真。
 同団体はマイタウンクラブのサービスの1つである「あつぎ地域SNS」を中心に、コンテンツ制作のサポートやサイト内のパトロールのほか、まちかどレポートとして、地域のイベントや人物、店舗などの魅力ある情報の発信、ライブ中継などを行っている。最近では閲覧数が320万ページビューを超えるなど、全国的にも大きな注目を集めている。
 また、インターネット上での呼びかけから、清掃ボランティア活動が始まるなど、実社会での新たなコミュニティも生まれている。

 小冊子は「高齢者やパソコンに不慣れな方に対して、地域SNSの魅力をどのように伝えていくか」という課題を検討した結果、地域SNSに投稿された情報を冊子にしようという計画が浮上した。5ヵ月間にわたる編集会議やネット上でのやりとりなどを経てこのほど完成した。 内容は「お料理コミュ特選20」(全50頁)「まちかどレポート・レジャー編(全32頁)「まちかどレポート・歴史・民俗編」(全67頁)の3種類。12月12日に行われた総会の出席者全員に配布されたが、今後は市内公共施設への設置やインターネットでの公開を予定している。
 マイタウンクラブは「日系地域情報化大賞2008」(日本経済新聞社主催)において、地域活性化センター賞、「全国広報コンクール2008」(社団法人日本広報協会主催)のホームページ部門(市部)で最優秀賞となる特選・総務大臣賞・読売新聞社賞を受賞。翌2009年にも入選するなど、全国的に高い評価を得ている。

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