ほんのりと桜の香り
横浜港を望むビル屋上で飼われた約4万匹のミツバチが集めたソメイヨシノのミツを、ビールの苦みをまろやかにする隠し味として使ったハチミツビールが開発され、昨年12月19日、横浜と厚木で発売された。醸造したのは厚木市水引にある地ビール製造会社厚木ビール。ビールの苦みが不得手という女性にも飲みやすく、ほんのりと桜の香りがすると人気は上々。
同ビールは横浜の都心部で養蜂を通して人と人のつながりを広げる「HAMA Boom Boom!プロジェクト」と、地ビールでの街おこしをめざす市民団体「芸術麦酒製造構想」の共同企画で生まれた。出来たはちみつビールを「HACHEY(ハッチー)」と名付け、昨年12月19日、横浜駅西口の地ビール専門店「横濱チアーズ」で、完成披露会が開かれた。
両者は昨年行われた横浜開港150周年記念事業「開国博Y150」に出店して知り合い、「開港150周年を記念したビールつくろう。地産地消で人と人を結びつける面白いことができないか」と思案、「ハチミツとビールのコラボレーション」というアイディアが生まれた。
原料のハチミツは、3月末から7月にかけて馬車道駅近くの旧帝蚕倉庫の歴史的建造物や元町のビルの屋上で、同プロジェクトと市民が西洋ミツバチ約4万匹を飼育して採取したもの。巣箱から2キロ範囲のソメイヨシノ、ユリノキなどの街路樹や、シロツメクサなどの草花をみつ源に200キロのみつが取れた。ミツバチを飼育するプロジェクトはいくつかの都市で実施されているが、市民参加で採れたものをビールの原料として用いるのは初めての試みだという。
ハッチーはソメイヨシノのはちみつを使用したもので、ハチミツビールの製造では定評のある厚木ビールが醸造者として手を上げた。麦芽、ホップに横浜産のハチミツを加えて醸造したが、ハチミツはビールの副原料でないため、分類上は発泡酒扱い。アルコール分は5%。
ボトルのラベルデザインとネーミングは、昨年10月一般公募、全国から682件の応募作が寄せられた。11月に公開審査会が行われ、大賞に選ばれたのは日本大学芸術学部3年の平川絵里子さんの作品。手書きのイラスト風で、カラフルなミツバチが太陽と緑を背景にハチミツを運んでいるところをデザインした。
厚木ビールの望月秀樹醸造長は「マイルドな味で飲みやすく、ほんのりと桜の香りのする上品な甘さが特徴です。ラベルも合わせ、女性に喜ばれている。今後はサクラ以外のミツを使用したビールも製造したい」と話している。1ビン330ml入りで550円。横濱チアーズでは樽生でも販売している。問い合わせは厚木ビール電話223・1515番。
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