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とうめい厚木クリニック
整形外科 三宅俊和
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図1 |
図2 |
高齢化社会の到来とともに腰痛疾患、なかでも腰部脊柱管狭窄による症状に苦しむ患者さんが増加してきております。
そこで今回は、腰部脊柱管狭窄症について取り上げたいと思います。
腰部脊柱管狭窄症とは
図1のように、各脊椎は椎体と椎弓より成立し、その間に脊髄神経の通り道、いわゆる脊柱管があります。腰部脊柱管狭窄とは、腰部脊柱管が腫瘍、炎症などによらず腰椎周辺の変性(骨性あるいは軟部組織性)により狭小化を来たし、脊髄馬尾神経と神経根の障害を生じている状態です。
臨床症状
1 最も特徴的なのは神経性間歇性跛行です。これは5〜10分くらいの歩行で下肢が前にでなくなり、しばらくしゃがんで一休みするとまた歩けるようになるのが特徴です。
姿勢の変化、前屈位で消失し、後屈にて増悪するかどうかが重要な点といわれています。
患者さんによっては、自転車はいくらでもこげる、のれるが、しかし歩けない。
または、シルバーカーを使えば歩けると訴える患者さんもあります。
2 下肢症状
坐骨神経ないし大腿神経領域の下肢痛、しびれ、冷感、脱力感など
3 腰痛
4 その他
膀胱直腸障害(排尿、排便の障害)、陰部灼熱感など
診 断
1 上述の特有な症状、病歴
2 X線、MRI所見(図2)
今ではMRI検査が非侵襲的検査で、高位診断とその程度をよく描出し、非常に有用です。
治 療
保存療法
腰椎前屈位の姿勢の重要性を説明指導する
安静、軟性コルセット、理学療法
鎮痛剤、血流改善剤の処方及び点滴
硬膜外ブッロクや神経根ブロックの施行
手術療法
上記の治療にても軽快せず、ADL(日常生活動作)障害が大きい場合は手術療法も考慮すべきとなります。その際には暦の年齢で判断するのではなく、個人個人の全身状態やQOL(生活の質)の評価によって治療方針を決定するべきです。
歩行距離の短い例(例えば電信柱の間くらいの距離しか歩けない)や、神経脱落所見の明瞭な例などは手術的治療の良い適応です。
特に、膀胱直腸障害が存在する例ではできるだけ早く手術治療を試みるべきであるとされています。
(手術療法の詳細については今回は省略させていただきました。)
最後に
以上、腰部脊柱管狭窄症について簡単に述べさせていただきました。
上記のような自覚症状のある方は一度、整形外科を受診することをおすすめします。
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