夏の農道にふるさと想う(厚木市飯山)
 照りつける夏の日射しを受けて乾き切った土の道に、生垣の影が黒く落ちる午後のひと時。私は黒い影と澄みなす青空に浮かぶ白い雲に、幼き頃の懐かしい日々を思う。
 かつて住んでいた埼玉県草加市のわが家のそばに伸びていた土の農道は、昼なお暗い雑木林へと続いており、毎日捕虫網片手に夢中になってその道を駈け抜けた。あのとき仰いだ空も、走りに走った道も、今この場にて見ている景色とまったく同じである。
 時を経て再びわが前に現れたふるさとの道。奇跡を喜ぶと共に、不思議をおそれる。(2011年7月11日撮影)