大会を世代交代の場に
「ハーモニカのまち」づくりを進める厚木市で、今年7月30日から8月4日まで、第4回アジア太平洋ハーモニカ大会」が開催される。アジアや日本のトッププレイヤーを含め、期間中延べ1万人のハーモニカ愛好者が厚木市を訪れるビッグイベントだ。大会を厚木市と共同主催する全日本ハーモニカ連盟副理事長で大会事務局長をつめる大矢博文さん(65)にその取り組みなどを聞いてみた。(聞き手は山本陽輝編集長)<敬称略>
■アジア大会が厚木で開かれる理由は何でしょうか。
大矢博文 今度のアジア大会は4回目になります。台湾、マレーシア、ソウルと続き、ソウル後にアジアの皆さんが21世紀の最初の大会はぜひ日本でやって欲しいという要望が出ました。
そこで、全日本ハーモニカ連盟で相談したところ、ハーモニカが盛んな厚木と、音楽のまち浜松が候補に上りました。ところが、浜松の方は厚木でやるのだったら降りますということで厚木に決まったわけです。
2つ目は厚木には岩崎重昭さんと平井武さん、そして私を含めたハーモニカの第1世代の長年の努力がありました。市民の皆様にそれを認めていただき、そして市が「ハーモニカのまち厚木」を掲げて下さるようになった。市にアジア大会の協力を申し入れたところ、会場費を持ちましょうということで快く主催を引き受けて下さいました。
3つ目の理由は、ハーモニカはまだ懐かしの楽器というイメージがあります。これは日本でも世界でもそうですが、今までハーモニカといえばオールドプレイヤーが主でした。ところが、厚木は岩崎さんという指導者のお陰で、世界的にも実力のある若い世代がたくさん育ってきたということも、厚木に白羽の矢が立った理由です。
■大会にはどのような地域の人々が参加しますか。
大矢博文 中国、韓国、マレーシア、台湾、香港、シンガポールなどの諸外国から500人前後、厚木ハーモニカ協会加盟70団体からおよそ900人、そして厚木市民や全国からの参加者を含めると延べ1万人の方が参加すると予想しています。今までと違うのは中国、台湾などからハーモニカを勉強している若い人の参加がかなり見込めることです。まさにハーモニカを通して国際交流が花開く大会となるでしょう。宿泊費などアジアの方にはかなりの負担になりますから、若い人たちには七沢自然教室を宿泊施設として提供するなど、市とも相談してできるだけお金のかからない方法を考えたいと思っています。
■アジア大会の基本方針はどこにありますか。
大矢博文 ズバリ世代交代です。指導も運営も厚木のハーモニカを、20代、30代という若い世代に引き継ぐ意味のある大会にしたいと思っています。そしてもう1つはハーモニカ愛好者のためのアジア大会ではなく、厚木市民あげての大会にしたいと考えています。
市が14公民館で行なっているハーモニカ講座の指導者も20代の若者で、講座を受ける年配の人たちとの間に、指導を通した世代間交流も生まれており、大会を盛り上げていただける市民の層が着実な広がりを見せています。
■どんな内容の大会になりますか。
大矢博文 これまでの大会はコンテストがメインでした。しかし、厚木での大会はお祭り的な要素を取り入れ、ハーモニカはこんなに面白いんですよという楽しい大会にしていきたい。
コンテストの他、ガラコンサートをはじめ、誰でも自由に参加できるオープンマイク、ジャズライブやワークショップ、日本のハーモニカをリードしてきた岩崎重昭さんや森本恵夫さんの特別講演、そしてハーモニカ治療院、お国自慢コンサートなど盛りだくさんのイベントを用意しています。また、屋外のテント村にはフリーステージやハーモニカグッズなどが並びます。
このほか、世界の一流プレイヤーの出演も予定されています。
■運営主体はどのようになりますか。
大矢博文 大会は厚木市と全日本ハーモニカ連盟の共催ですが、実働部隊は厚木ハーモニカ協会になります。市と共催だからといって、おんぶに抱っこという形にはしません。私たちは労力を惜しみませんし、延べ1000人ほどのスタッフが各会場に張りついて大会をサポートします。プロダクションには頼みませんので、文字通りハーモニカが好きな市民による手づくりの大会運営になると思います。
■名実ともに「ハーモニカのまちあつぎ」がスタートしますね。
大矢博文 市民の皆様から「8月の大会を花火にはしないで下さい」というご忠告もいただいております。誰でも花火は打ち上げられますが、その後が大変です。その意味でも私はアジア大会を20代から30代の人が中心になる引き継ぎの大会にしたいと思っています。
ハーモニカはいま、世代を問わず、自分の好きな音楽を奏でる選択の時代に入りました。若い人たちがアジア大会を成功させ、その経験と自信をもとに3年後に世界大会を再び厚木に誘致するんだという大きな夢を、ぜひ実現させていただきたいと思います。
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