海洋画家・飯塚羚児偲び「評伝」刊行   画家や音楽家、随筆家など45人

  大正・昭和・平成の画壇を駆け抜けた海洋画家である飯塚羚児画伯を偲び、彼を取り巻く人たちが画人の生涯を毀誉褒貶に描いた評伝『怪物画人飯塚羚児』が、このほど「大和・花の画房」(市民かわら版社制作)より刊行された。同画伯を偲ぶ刊行委員の手によって編纂されたもので、画伯と交流のあった画家や音楽家、政治家、随筆家、落語家、画廊店主、海上自衛隊OBなど45人が思い出を綴った。
 同画伯は大正・昭和・平成の画壇を駆け抜けた孤高の画家で、戦前は東京小石川に住んで「少年倶楽部」「幼年倶楽部」「譚海」などの雑誌に帆船画、艦船画、航空画などの挿絵を描くことで名を馳せた。戦後は町田市の玉川学園や久里浜に移転して、旧海軍の戦艦大和や咸臨丸、帆船日本丸などの船を描いて「海洋画家」と呼ばれ、晩年は河童や動物の絵、屏風画、詩歌、絵手紙なども創作、横須賀市と大和市を舞台に多くの文人墨客と交流を深めたが、平成16年99歳で他界した。
 『怪物画人』には、画伯を代表する作品「日本丸」や「戦艦大和」な
ども挿入されたほか、童謡や童謡詩、没後に発見された歌集「港に居た頃」、年譜なども収録された。
 刊行委員会の編集長をつとめた随筆家の依田信夫さん(大和市)は「オレは平成の平賀源内だ。絵筆も握ればペンも執る。発想も狂気なら、発明もお茶の子さいさいだ、と天下に咆哮して彩管をふるった老大家の在りし日の姿を思い浮かべてほしい」と話している。
 B6判206頁で1700円(送料別)。問い合わせは大和・花の画房。電話264・7946番。