厚木市長選挙解説

 2月16日に執行された厚木市長選挙で、現職の山口巌雄氏が3選を果たした。山口氏は「厚木のまちづくりを盤石なものにしていくため、市民の皆様とともにあつぎハートプランを推進し、躍動から躍進をキーワードに心輝く躍動のまちづくりを進める」と3期目の抱負を語った▼厚木市はいま大きな課題をいくつも抱えている。市民意識調査でも指摘されたが、厚木市はこの5年間で治安が著しく悪化した。また、相次ぐ大型店の閉鎖や移転などで中心市街地が空洞化し、経済の地盤沈下が続いている。これをどう住みやすく活気のあるまちにしていくか▼債務超過に陥った第三セクターの厚木テレコムは再建不能だし、交通渋滞対策も抜本的な解決策を見い出し得ないでいる。山口市長はこうした課題にどう応えていくか、具体的な成果が望まれる▼市民が主役の行政手法も、自治会長だけに依存するというやり方は限界にきているだろう。4月からスタートする市立病院も、医療実績に応じて診療報酬が決まるという時代に、経営と併せて、医療のあり方や質をどう高めていくか課題山積である▼自民党県連の政治大学に参加した受講生が、卒業論文で厚木市職員のやる気のなさを指摘していたが、尸位素餐や不作為の罪を大量生産する職員が多い中で、分権の受け皿として能力を磨き改革を実行できる公僕をいかにして育てていくかという人事管理の面でも、山口市長の力量が問われてくる▼これらを注意深く見守りたい。

尸位素餐(しいそさん)/能力も人徳もないのに、ある地位についていて、責務を果たさないで、むだに俸禄(給与)をもらっていること。「尸位」は『詩経』五子之歌に見える語で、人が尸(形代)として仮に神霊の位につくことをいう。「素餐」は『詩経』伐檀に見える語で、無為無能でいたずらに禄を受けるだけであることをいう。俗に「禄盗人」といわれる。軍記物語の『源平盛衰記』には「素餐の家」などの表現がある。

不作為の罪(ふさくいのつみ/あえて積極的な行為をしないこと、すなわち仕事をしないこと。これは俸禄(給与)をもらっている公務員としては給料泥棒=罪に値する行為であるという意味。