07県議選厚木選挙区

マニフェストの作成や争点づくりなど課題に
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自民現職の堀江氏トップ当選・民主新人の鈴木氏が初議席・ネット山本氏も議席守る

  統一地方選挙の第1ラウンド、神奈川県議会議員選挙は4月8日投票、即日開票の結果、厚木選挙区では、自民党の堀江則之氏(63・6期)と神奈川ネットワーク運動の山本裕子氏(50・2期)の両現職が当選を決めたのに加え、民主党新人の鈴木裕二氏(37・1期)が当選を決め、厚木選挙区では同党に初の議席をもたらした。今回の県議選は定数3に自民1、民主1、ネット1、無所属3の6人が立候補、保守乱立の激戦となったが、結果は公認候補が強さを発揮した。しかし、政策論争に乏しく、有権者も無関心で、投票率も出足から低調だった。同市は1月に行われた市長選が45・34%という投票率だったが、県議選はさらにそれを割り込み、前回よりさらに3・4ポイントも下回る37・42%という結果で、6割強の有権者が政治に無関心であることを示した。
 自民党厚木支部長をつとめる堀江氏は、同党唯一の公認候補として後援会組織をフル動員、自民の保守票をまんべんなく集め、6回目の当選を果たした。山口前市長派が3人の候補者を擁立するという保守乱立の中で、堀江氏は現職とはいえ票の大幅な目減りが避けられないと見られていたが、「改革前進・照一隅の政治を拓く」をスローガンに掲げ、平成2年から議会開催のたびに続けてきた本厚木駅頭での県政報告や5期にわたる実績と経験を訴えた結果、前回よりさらに577票上乗せして、大方の予想を覆す22,175票を獲得、トップ当選を果たした。
 民主党神奈川県16区総支部幹事長をつとめる鈴木裕二氏(37)は、参院議員浅尾慶一郎氏の秘書を経て、民主党の統一地方選挙公募に合格、昨年10月に行われた衆院補選では後藤祐一氏の事務局長をつとめた経緯もあり、連合神奈川などの支援を受けながら後藤氏と二人三脚の選挙戦を展開、「しがらみゼロ、選手交代」をスローガンに、非自民の受け皿として終始有利な戦いを進めた結果、13,418票を獲得して民主党に初議席をもたらした。
 神奈川ネットワーク運動の山本裕子氏(50)は、「元祖・生活者政治」をスローガンに、高齢者や障害者の在宅ケア、多様な働き方やニーズに応じた保育サービスの充実などを訴え、働く主婦層を手堅くまとめたうえ、保守層にも食い込み前回より943票上乗せして議席を守りきった。
 自民党厚木支部幹事長をつとめる松田則康氏(54)は、無所属(自民党推薦)で出馬したが、山口派分裂の影響で他の保守候補2人同様厳しい選挙戦となった。市議4期の経験と実績を即戦力に活かそうと、「子育て支援宣言、相鉄線乗り入れ実現」を政策に掲げ、燃える行動派を訴えたが、票を伸ばすことが出来なかった。
 同じく市議からの転身組である萩原新吾氏(38)も、無所属(自民党推薦)で出馬、「しがらみに勝つ」をスローガンに、若手を中心とした山口前市長派の支援を受け、世代交代と旧体制からの脱却を訴えたが当選には遠く及ばなかった。また、無所属で立候補した西山を守る会の事務局長・荻田豊氏(60)は、選挙戦を通じて西山裁判や「西山を守る」を訴えることができたものの、思った票の獲得には結びつかなかった。
 今回、候補者を擁立しなかった小林市長派は、市長選で支援を受けた山本、鈴木両氏に加え、山口派とはいえ保守3人の中では小林市長に最も近い堀江氏支持に回ったため、保守では堀江氏の1人勝ち、鈴木氏、山本氏も支持基盤に票を上乗せして確実に当選を決めたが、松田、萩原、荻田の3氏は自前の票を獲得するのが精一杯で、票を伸ばしきれなかった。
 昨今の有権者は劇場型パフォーマンスにより「政治的アパシー(無気力)」から一気に「政治的サポーター(観衆)」へと化す傾向にあるが、今回は争点なき選挙、話題性なき選挙といわれ、候補者が政策を訴えても、有権者意識は冷ややかで、厚木市の場合も3割台の投票が定着しつつあることを示した。こうした傾向に歯止めをかけるには、ただ単に立候補するのではなく、マニフェストの作成や争点づくりなど政策や選挙のやり方にも工夫が必要で、7月に行われる市会議員選挙でもこうした点が問われることになりそうだ。(2007年4月9日)

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