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では、現代ではどうであろうか。厚木市内では、唯一芸妓置屋組合と見番がある飯山温泉について見ることにしよう。 飯山では平成11年、小鮎川に架かる庫裡橋(くりはし)が新しくかけ替えられた。バス道路から飯山観音に向かう朱塗りの新しい橋には、六本の屋根付の外灯が取り付けられた。この外灯が、まさしく「たそやあんどん」の形をしているのである。 平成13年10月1日号の「ATSUGI 広報あつぎ」の第1面は、たそやあんどん型の外灯がともる庫裡橋を渡る芸妓姿の写真がかざった。「温泉旅情」と題した「広報あつぎ」始めの部分を引用してみよう。 夕暮れ時、橋の外灯に橙色の灯がともると、和服姿の芸妓たちが一人二人と姿を現す。小走りに宴の席に向かう者、橋の上で足を止め、芸妓仲間とたわいない言葉を交わす者。まるで小説の一シーンにあるかのような温泉旅情を醸し出す。(以下略) このほか、飯山では、元湯旅館でもたそやあんどんの伝統を見ることができる。元湯旅館入り口、門の右方の塀には屋根付きの灯籠が取り付けられて風情をそえる。これもたそやあんどんの形式を受け継いで造られていることが分かるであろう。 飯山温泉では、江戸時代からの伝統が、形を変えて現在でもなお生き続けているのである。 |
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