厚木市長選挙「解説」 2011年2月6日執行 |
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小林常良氏の2期目の当選は大きく言えば失政がなかったことに尽きる。これに加えてマニフェスト達成率80%以上という実績が評価された。中でも地方分権を進めていく上でも不可欠なまちづくりの憲法ともいうべき「自治基本条例」の制定、日本で3番目となるWHOのセーフコミュニティの認証取得などを市民協働で取り組んだことが上げられる。自治基本条例の制定は先進市に大幅な遅れをとったとはいえ、市民協働の成果で、まずはこの2つにより自治体運営の足固めができたといえる。 また、小児医療費の無料化を小学校卒業までに引き上げたこと、平成21年10月からスタートしたごみ減量化・資源化新システムの導入によって大幅なごみの減量と資源化が進んだこと、職員103人の削減、就任当初1,015億1,000万円あった市債を、事業仕分けと行財政改革により4年間で172億円を返済したほか、B1グランプリを成功に導いたこと、12年間も心霊スポットとして不名誉な形容詞がついていた厚木恵心病院跡地の取得なども大方の市民の評価につながった。前市長・山口巌雄氏の路線から大きく舵を切って、情報公開の徹底、市民協働などの分権改革に着手したことも評価につながった。」 2期目も有権者との契約「マニフェスト(政権公約)」を誠実に実行していくことに尽きるが、厚木市は少子高齢化や人口減少、中心市街地の活性化など、課題が山積している。こうした課題解決のために小林氏の大胆かつきめ細かな行政手腕が問われることになるが、1期目のマニフェスト達成率が80%以上と上出来だったことを考えると、それを下回ると間違いなく黄信号が灯るだろう。 診療を続けながら現在地に建て替えるという市立病院建替事業を、事故なく遅滞なく進めることはもちろん、自治基本条例の制定、セーフコミュニティの認証取得を受けて、2期目はこれに魂を吹き込む作業に着手しなければならない。具体的な実施策である。また、ごみの中間処理施設の建設候補地の選定問題など、やり残した課題についての取り組みや一向に事業が進まない都市計画決定の見直しなども求められよう。 まちの活性化や子育て・教育日本一の施策展開はもちろんだが、まちづくりの根幹をなす「市民協働」をどう深化させていくのかが改革の大きな分かれ目になる。市民協働の到達点が「地域内分権」であることを考えると、市民協働を単なるパートナーという発想ではなく、住民の自主性や創造性、参画をベースにしたコプロダクション(協働」にまで高めるる必要があろう。事業やサービスの在り方を地域住民が決め、税金の使い方をコントロールするというやり方である。たとえば「地域委員会」なるものを立ち上げて、公民館や地区市民センターの仕事を市民やNPO、自治会などの行政協力団体が行うのも1つの方法だ。企業誘致だけが雇用の創出につながるわけではなく、市役所機能の分権化、スリム化が雇用を生むという発想で、全国の自治体ではこうした地域内分権がどんどん進んでいくだろう。市民協働や地域内分権はまさに行政改革なのである。 小林氏はマニフェストに行政改革の断行を掲げている。職員を100人削減して8億円の効果をうたっているが、行革は単に職員の数を減らせばいいというものではない。自治体の仕事のやり方を変える、その手法として市民協働、地域内分権があるわけで、その意味では小林市政の2期目はまさに、地方主権の在り方、その真価が問われることになるだろう。 |