盛夏の山里(厚木市上古沢)

飯山方面を眺める

森の里方面を眺める

 蝉時雨は辺りを響かすも、かえって静寂を思わす。盛夏の山里、青田風になびき、山々の緑逞しき盛夏の山里は、厚木市上古沢の奥処に息付く市道(いちどう)谷戸である。
 私がこの地を初めて訪れたのも、やはり暑い夏の日であった。道に迷い、細い道を成り行きまかせに走っていた時、突如視界にひらけた風景は、ここが厚木市かと目を疑うような、まるで深山の山村を見るかのごとき錯覚におちいる程奥ゆかしいものであった。
 以来、1年を通じてこの山里を訪い、地域の人達にも親しく接していただいて現在に至っている。有り難い限りである。
 厚木にも、かくも趣深い、その土地に暮らす人々の生活のかたちが、今もなお変わらずに営まれていることを、私は嬉しく思い、誇りに思うものである。(2010年7月18日撮影)