皆様、明けましておめでとうございます。新年にご挨拶が出来るということは、過去一年が恙なく過ぎたということでこれはまずまずおめでたいことだと思います。
お〜しょうがつはいいもんじゃ ちゃ〜んちゃんとはねついて ゆ〜きのようなままくって あぶらのようなさけのんで てっぽのようなへをこいて
こういうお正月を歌う歌から思えば、1月7日にどうしても七草粥を頂き、おなか具合を健康にしなければ今年一年の仕事に差し支えるということが分かる気がします。おまけに唐土の鳥が何か病気を持ってくる前に健康な体に戻しておこうという昔の人の知恵が伺えます。だってそうでしょ、インフルエンザ、あれって渡り鳥がもってくるんじゃないんですか? 香港型とかいってます。
私は何の因果か合唱団の指揮者をしております。合唱の指導も当然しておりますが、俗に言う発声練習はあまりしたことがありません、というより、やり方を知らないのです。それより日本の子供が美しい日本語で日本の歌を歌うためにはどうしたら良いかを考えています。正しく、美しく日本語を発音するためには優しくて、健気なわらべうたという言葉の離乳食を、ふさわしい時期にしっかり心に根付かせねばならぬと思っています。
わらべうたはその国の言語のエッセンスが凝縮されたもの。何処の国のわらべうたもピアノから生まれては来なかった。おばあちゃん、お母さん、そばにいる大人の肉声、周りの仲間たちのかしましい声から生まれてきたのでしょう。
1972年、幼児とお母さん、そして合唱団を教え始めたとき、すでに私の周りからは日常的にわらべうたは姿を消しつつありました。しかし、私がわらべうたを歌いだすと、子供たちは自然に遊び始め、最初の頃、童謡を歌っていた子供たちも『歌おうね』というと、当然のようにわらべうたを歌い始めました。多分、私の前ではわらべうたを歌うもんだと思っていると思います。それで良いのです。そういう場が人生にとっていくつも必要だと思われるからです。
最近、大人たちの間で再びわらべうたが注目されてきたようです。
伝えていかなければならない、言い換えれば教えてはいけないわらべうたが教材として取り上げられたり、教えなければ身につかない躾やモラルがほっておかれたりしたために、人間社会、ずいぶんギクシャクしてきました。ですからそういう時にわらべうたが市民権を得るということは良いことです。が、ブームにならないことを願います、ブームは必ず廃れるからね。
一言にわらべうたといっても色々あります。遊ばせるためのもの、喜ばせるもの、びっくりさせるもの、悪口を歌で言い合うもの、動物を、自然を、行事を歌うもの、そして生まれたばかりのチイサイ 小さい生き物をい〜い気持ちにさせる子守唄……など等。
いったいこういう歌は何のために生まれてきたのか考えれば考えるほど面白くなります。今年からこれらの歌のいくつかが、子供たちの心の中に、どう入っていくのか例も入れたりしてお伝えしていこうかと考えています。
おおくまのぶこ 1938年東京都生まれ。東京学芸大学卒業後、教師を経て町田コダーイ合唱団指揮者。町田市合唱連盟会長。NPO法人日本わらべうた協会顧問。「厚木わらべうた同好会」など、全国で講演活動と音楽指導を行っている。著書に『と〜りゃんせ とおりゃんせ』『わらべうたが子どもを救う』(共著)コダーイ『天使と羊飼い』(訳詞)など。
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